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第15回 ビートルズから始まるロック名盤:増補改訂版

文・中山康樹

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 2009年に講談社文庫から、書下ろしで『ビートルズから始まるロック名盤』という文庫を出した。その後何度か判を重ね、このまま細々と生きていくんだろうなと思っていたところ、夏の初めに「品切れ」になっていることがわかり、どうせ再版するなら増ページして、そろそろ増補改訂版にしたいという希望を伝えた。たまたまポール・マッカートニーの来日も決まったので、タイミングとしては悪くない。その代わり10月か遅くとも11月上旬には出さなければならない(なんとワガママな著者だろう)。さまざまな条件が重なった結果、紆余曲折を経て、廣済堂新書から増補改訂版が出ることになった(発売は本日から2日後の10月17日)。

 10組のミュージシャンやグループを追加し、増ページ分は40ページまで膨れ上がってしまった。今回追加した10組と10枚のアルバムは次のとおり(掲載順)。

 チャック・ベリー『セントルイス・トゥ・リヴァプール』
 オーティス・レディング『オーティス・ブルー』
 ピーター・ポール&マリー『アルバム』
 スモール・フェイセス『スモール・フェイセス』
 モンキーズ『小鳥と蜂とモンキーズ』
 レッド・ツェッペリン『レッド・ツェッペリン』
 キング・クリムゾン『クリムゾン・キングの宮殿』
 キャプテン・ビーフハート&ヒズ・マジック・バンド『トラウト・マスク・レプリカ』
 デラニー&ボニー『オリジナル・デラニー&ボニー』
 カーペンターズ『涙の乗車券』

 以上だが、なかには「なんでやねん」と思われるようなグループも含まれていることだろう。とくにピーター・ポール&マリー、モンキーズ、カーペンターズ等は風当たりが強いかもしれない。選考理由は本文で書いたが、60年代という枠組のなかで、60年代であるが故にとかく画一的になりがちの聴き方・接し方を広げたいとの思いから、より広範囲からミュージシャンやグループを選び、可能な限り俯瞰的な視点から「60年代ロック」の実相のようなものを浮かび上がらせたいと考えたとき、じつは前述の3組こそが絶対に外せないグループだということに思い至った。

 本書のオリジナル版『ビートルズから始まるロック名盤』は、前述したように、2009年に初版が刊行された。対象は60年代。その後の続編『ジョン・レノンから始まるロック名盤』(2010年)では、70年代を対象とした。そして『伝説のロック・ライヴ名盤50』(2011年)がつづき、今回の増補改訂版に至る(以上の文庫は、いずれも講談社文庫刊)。
 いつか機会に恵まれるようなことがあれば、今回と同様の作業を、70年代編『ジョン・レノンから始まるロック名盤』でも試みたいと思う。とはいえ同書はオリジナル版ですでに280ページに達し、どこまで増補できるかわからない(昨今の出版界は、そのような自由があまりきかなくなっているのです)。
 その一方では、早く80年代編を書かなければという思いが強くある。ポール・マッカートニーやジョージ・ハリスンやボブ・ディランといった大御所の「その後」をはじめ、スティーリー・ダン、トーキング・ヘッズ、ポリス、エルヴィス・コステロ等、どんなミュージシャンやグループが並ぶのだろう。はたしてヒューイ・ルイス&ニュースの運命や、いかに。[次回10月28日(月)更新予定]


(更新 2013.10.15 )


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プロフィール

中山康樹(なかやま・やすき)

 音楽評論家。1952年大阪府生まれ。最近はローリング・ストーンズ3部作(『ローリング・ストーンズを聴け!』『ローリング・ストーンズ全曲制覇』『ローリング・ストーンズ解体新書』)の執筆に没頭していたが、今年の後半にはジャズ書を執筆予定。目下研究・検証中のミュージシャンは、ゲイリー・バートン。いつか一冊にまとめてみたいと思っている。ジャズやロック、マイルスやビートルズ関連の著作多数。

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