第55回 NEIL YOUNG INTERNATIONAL HARVESTERS/ A TREASURE |AERA dot. (アエラドット)

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第55回 NEIL YOUNG INTERNATIONAL HARVESTERS/ A TREASURE

文・大友博

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 1980年代は、制作環境や音楽メディアなどの劇的な変化もあり、難しい時代だった。ニールは、信頼していたデイヴィッド・ゲフィンとの意見対立という問題も抱え、最終的にこの問題は法廷に持ち込まれる寸前まで行ってしまっている。82年、テクノと呼んでもいい『トランス』でそのゲフィン時代をスタートさせた彼は、つづいて、カントリー色を前面に打ち出した『オールド・ウェイズ』というタイトルのアルバムを仕上げていた。しかし、ゲフィン側が発売に難色を示したため、ロカビリーの『エヴリバディーズ・ロッキン』(リーゼントにピンクのスーツ!)を短期間で仕上げると彼は、ナッシュヴィル系のミュージシャンたちと長いツアーに出たのだった。

 2011年夏、数年前からニールが熱心に取り組んできたアーカイヴ・シリーズのVOL.9として発表された『ア・トレジャー』は、84年から85年にかけて行なわれたそのツアーをまとめたもの。バンド名義は、インターナショナル・ハーヴェスターズ。プロデュースも担当したベン・キース、のちに『プレイリー・ウィンド』や『フォーク・イン・ザ・ロード』でもギターを弾いたアンソニー・クロウフォード、ティム・ドラモンド、スプーナー・オールダム、ルイジアナ系のフィドル奏者ルーファス・ティボドウらが参加している。

 エレクトリック・ギターを豪快に響かせる場面もいくつかあるものの、全体的には、フィドル/バンジョー/スティール・ギターを生かした本格的なカントリー・サウンドが貫かれていた。『オールド・ウェイズ』プロジェクト関連の曲や未発表曲が大半を占めているが、過去の作品からも、『ハーヴェスト』収録の「アー・ユー・レディ・フォー・ザ・カントリー?」、バッファロー・スプリングフィールド時代の「フライング・オン・ザ・グラウンド・イズ・ロング」が取り上げられている。

 アルバムを出させてくれないなら、そのテーマとコンセプトで長いツアーに出てしまう。いかにもニールらしいやり方だ。このツアーのあいだに、『オールド・ウェイズ』はさらに磨き上げられ、結局、85年夏に発売されている。[次回4/2(水)更新予定]


(更新 2014.3.26 )


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プロフィール

大友 博(おおとも・ひろし)

 1953年東京都生まれ。早大卒。音楽ライター。会社員、雑誌編集者をへて84年からフリー。米英のロック、ブルース音楽を中心に執筆。並行して洋楽関連番組の構成も担当。ニール・ヤングには『グリーンデイル』映画版完成後、LAでインタビューしている。著書に、『エリック・クラプトン』(光文社新書)、『この50枚から始めるロック入門』(西田浩ほかとの共編著、中公新書ラクレ)など。

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