第31回 レーベルによる音楽の傾向 その21 リヴァーサイド[3] |AERA dot. (アエラドット)

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第31回 レーベルによる音楽の傾向 その21 リヴァーサイド[3]

文・後藤雅洋

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 リヴァーサイドの特徴としてピアノ系の充実ということをお話しましたが、ブルーノート、プレスティッジほどではないにしろ、ハードバップ・ファン愛聴盤には事欠きません。まずはギターの神様ウェス・モンゴメリーの極め付き『フル・ハウス』です。共演に迎えたジョニー・グリフィンの熱演もあって、とにかくジャズファン必携盤と言って間違いありません。そしてサイドのピアニスト、ウィントン・ケリーの名調子もこのアルバムの価値を一層高くしています。

 そして数あるリヴァーサイドのウェス盤のうち「もう一枚」という方には、ウェスのギター・テクニックの粋が詰まった『ジ・インクレディブル・ジャズ・ギター』も名盤です。こちらはギター・カルテットで、ピアニストはトミー・フラナガン。ケリーとの違いを味わうのも一興。

 また、いわゆる「顔合わせもの」に登場するウェスということなら、ミルト・ジャクソンと組んだ『バグス・ミーツ・ウェス』がオススメ。こちらもサイドのケリーが光ってます。尻取り的にミルト繋がりで行くと、やはり「顔合わせ」の傑作キャノンボール・アダレイとの共演盤『シングス・アー・ゲティング・ベター』がいい。キャノンボールの落ち着いた味わいが堪能できます。ちなみにこのアルバムもサイドのピアノはケリーです。

 そして同じくキャノンボールの隠れ名盤とも言うべき作品が、ビル・エヴァンスと共演した『ノウ・ホワット・アイ・ミーン』でしょう。異色の組み合わせながら、これがいいのです。キャノンボール版《ワルツ・フォー・デビー》は一聴の価値ありです。しかしキャノンボールといえば、何と言ってもファンキー路線ですよね。その代表作として挙げられるのが、弟ナット・アダレイと組んだ『キャノンボール・アダレイ・イン・サンフランシスコ』でしょう。
 また、ユーゼフ・ラティーフを加えた3管セクステット盤なら『キャノンボール・イン・ニューヨーク』がいい。こちらには、後に《マーシー・マーシー・マーシー》の大ヒットを飛ばすジョー・ザヴィヌルがサイドに参加しています。

 そして冒頭ウェストの共演でいいところを見せたジョニー・グリフィンに目を向けると、彼の代表作に挙げるべき傑作が2枚もリヴァーサイドにあるのですね。その1枚はグリフィン・ファンならご存知、渋めのグリフィンの魅力が満載の『ザ・ケリー・ダンサー』です。吹きまくりグリフィンの意外な味わいが堪能できるマニア盤です。その姉妹編とも言うべき隠れ名盤が、パーティ仕立ての傑作『スタジオ・ジャズ・パーティ』ですね。こちらはディヴ・バーンズのトランペットが参加した2管クインテットで、寛いだジャズの醍醐味が楽しめます。

 ホーン奏者の名盤として忘れてはいけないのが、ブルー・ミッチェルの代表作『ブルース・ムーズ』。トランペット1本のワンホーン・カルテットで聴き手を飽きさせないだけの個性をミッチェルは持っているのですね。そしてこちらもサイドのピアノ、ケリーが光っています。[次回2/15(月)更新予定]


(更新 2016.1.18 )


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プロフィール

後藤 雅洋(ごとう・まさひろ)

ジャズ喫茶店主、ジャズ評論家、ジャズサイトcom-post同人http://com-post.jp/。自ら経営する「いーぐる」でジャズを中心に幅広い音楽ジャンルの連続講演をそれぞれの専門家の方々にお願いし開催、現在495回を迎える。近著『一生モノのジャズ名盤500』(小学館101新書)『ジャズ耳の鍛え方』(NTT出版)『ジャズ・レーベル完全入門・増補版』(河出書房新社)。ブログ「いーぐる後藤の新ジャズ日記」http://d.hatena.ne.jp/eaglegoto/

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