私そういう“世間の意向”に逆らってまた毒を吐いておりますが、そしてまたしてもオヤジの話しになりますが、彼も本当に「メッセージ、メッセージ」言われてほとほと疲れている。「詩はメッセージではない、一人一人が感じてくれればそれでいい」と何度も何度も繰り返すのだけど、人(たずねる人)は「ある一定の解釈、指針」というものがないと心配でしょうがないらしい。

 ですが彼が「では、私からのメッセージは”電気はこまめに消しましょう”です」などと挑発的に受け答えしているのを傍らできいているとヒヤッとしてしまう。サービスでなんとなく適当に答えておけばいいのになあと小心者の私は思うのでした。

 さて「座右の銘」ではないが、最近読んだ『バート・バカラック自伝』(バート・バカラック・著 ロバート・グリーンフィールド・共著 奥田祐士・訳/シンコーミュージック・エンタテイメント・刊)から、私が最近毎朝“シャキッと襟を正す”すばらしい強烈な一文を、丸々引用させて頂きます。

 「まばゆいばかりのひらめきとともに、曲が完全にできあがったかたちで降りてくるという経験はまだ一度もしたことがない。わたしはいつもコツコツ作るタイプだ。いつまでも曲をいじりつづける。あまりにも簡単に浮かんでくるメロディはまったく使いものにならないと思っているので、さかさまにひっくり返したり、真夜中に見直してみたりする。ポップ・ソングは短い形式なので、なにひとつおろそかにできない。45分の作品なら少々無茶できるかもしれないが、3分半の曲でそれは許されない」(P132より)

 どうです。この世界遺産クラスの大巨匠にして、この謙虚な姿勢。私ごときがどうなるものでもありませんが、ここからは宣伝が入りますが、この上記の一言をまず毎朝肝に命じて約一ヶ月半作曲をした、ピッコロ劇団ファミリー劇場『赤ずきんちゃんの森の狼たちのクリスマス』(作 別役実 演出・振付 森田守恒 音楽 谷川賢作)がいよいよ8/5(土)開幕です。皆様、ぜひ見にいらしてください![次回、 8/21(月)更新予定]