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第2回 ジャズ名盤を聴け!

文・谷川賢作

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「ファンは黙ってついてこい」(c)矢野顕子、を標榜する私。敬愛する中山康樹さんについて書くなんて畏れおおいのですが、どうしても一言いっときてえんでい、だんな! という訳でこの『ジャズ名盤を聴け!』。なぜ絶版なん(怒) この2014年の今でさえ「ジャズ~? なにきいていいかわかんな~い」なんていうあほなねえちゃんたちのために、私はこの本を50冊手元に常備しておきたい(断言) 「貸せばいいのに?」なに言うてんねん、もし戻ってこなかったらどうすんねん! 「コピーとっちゃえばあ?」このどあほ~中山先生になんて失礼なことを~(絶叫)

 思いきって申しあげましょう。この本が「ジャズ知らんけどこれからジャズに行くけんね、よろしく」という人のための最初の一冊です。ぼむっ太鼓判! あと次に『東京大学のアルバート・アイラー』(菊地成孔+大谷能生著・文春文庫 「歴史編」「キーワード編」2冊とも現在入手可能)行って、あとはどこへでも好きなとこ行きんしゃい。マイルス地獄? ええで、ええで~(^^)

 なぜに大絶賛? ってあーた、とにかくこれくらい食欲(実音聴きたい&ひたりたい欲)わくように書かれている本はないのである。そして「愛にあふれているのだが、時に急所をズバッと突く毒舌」これがまたホントのことなのだからたまらない。むやみにぬるく褒めてあったって、食指が動くわけではないのだ。人を「よし次このプレイヤー聴いてみよう!」と向かわせるには技がいるのです。世には「ふふん。こんなことおれにはとっくにわかってるし、あんたも通だから阿吽で共感せな」的な上から目線の本が氾濫しすぎでございます。ああ、嘆かわしい。およよ(泣)
  
 で、この本にはジャズ史に燦然と輝く(←よい子の言い方(^_^;)32人のジャズメンと2つのグループが取り上げられているのだが、たとえば、ああ、ジャコ。あの神と言われているジャコ。「ジャコ・パストリアスは結局『そこまで』のミュージシャンだった」((c)中山康樹、以下引用多々)の衝撃の一言ではじまり、「とくに死後、さまざまなかたちで出回っているジャコ盤は、かつて天才だった男の残像でしかない」とくる。どうよ、この外角低めの150キロのキレのあるストレート。根底には敬意があるのだけど、容赦なく真実を射ぬくきびしさを書けるのが真の評論家だと、私は思います(再び断言。でもさあ、ファンは「残像」でもなんでもむさぼり聴いてみたくなっちゃうもんなんだよねえ。アホやねえ、でもそれでこそのファンなのさ!)

 そしてロリンズの項。ロリンズ=大阪人という切り口がなんとも上手い。座布団2枚。標準語にコンプレックスを持った彼が、しまいには開きなおり大阪人としての「コテコテ街道」まっしぐら、というロリンズ史を軽妙洒脱にまとめあげる、この手腕。しびれるぜっ!

 ジャズはなんと言っても「ノリ」なのだが、文章にも読ませる「ノリ」が必要。これぞまさしく「ノリにノッた中山節の炸裂」に我々はただただページをめくるのみである。この本、ジャズファン、そうでない人どちらに「チラ読み」させても大好評。私も鼻が高いのであ~る。[次回6月9日(月)更新予定]


(更新 2014.5.26 )


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プロフィール

谷川賢作

谷川 賢作(たにかわ・けんさく)作/編曲家 ピアニスト

1960年東京生まれ。ジャズピアノを佐藤允彦に師事。演奏家として、現代詩をうたうバンド「DiVa」、ハーモニカ奏者続木力とのユニット「パリャーソ」に所属。また父である詩人の谷川俊太郎と、朗読と音楽のコンサートを全国各地で開催。80年代半ばより作・編曲の仕事をはじめ、映画「四十七人の刺客」「竜馬の妻とその夫と愛人」、NHK「その時歴史が動いた」テーマ曲等を手がける。88、95、97年に日本アカデミー賞優秀音楽賞受賞。2014年度船橋市文化芸術ホール芸術アドバイザー。音楽を担当した最新映画は「カミハテ商店」「SAYAMAみえない手錠をはずすまで」。最新刊『げんきにでてこい』(カワイ出版)、最新CD『うたがうまれる』 谷川賢作オフィシャルサイトhttp://tanikawakensaku.com/

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