――コンサートの映像を見ると、みなさんの後ろで生バンドが伴奏していて、前を見ると何千何万ものファンが声援を送っている。30数年前、まだイヤモニ(音楽家等がマイクロホンで収録した音声や音響をチェックするために使用するヘッドフォンの一種。カスタムインイヤーモニター)もなく、PA設備も現在より整っていなかったであろう時期に、あれほど歌うことのできた、おニャン子は「実力派」だと断言したいです。

 難易度は高かったと思います。気持ちよく歌いたいというのが歌手活動のベースにあり、2万人、3万人の声援の中で歌う解放感、臨場感はなんていいものなんだろうと感じていましたので難しさは気になりませんでした。忙しすぎてツアー中の移動のことや今どこで歌っているのかもわからないままツアーをしていましたが、大きな会場でのあの声援のすごさはしっかり記憶に残っています。

――86年11月にはソロ・デビュー曲「蒼いメモリーズ」、87年3月にはアルバム『LUNCH TIME』がリリースされます。

 周りの方は「遅い」と言っていましたが、私は以前にもソロ曲がありましたので(アルバム『夢カタログ』の「シーサイド・セッション」、「お先に失礼」のB面「プリントの夏」など)、順番が回ってきたという感覚でした。「蒼いメモリーズ」はTVアニメ「タッチ」の挿入歌で、本当に忘れられない一曲です。中森明菜さんなどの楽曲を担当されていた売野雅勇さん(作詞)と芹澤廣明さん(作曲)のコンビに楽曲を作っていただいたのも本当に嬉しかったですし、歌いこなすことにすごい責任を感じましたね。『LUNCH TIME』も、今でも大好きな一枚です。キーの高い楽曲や音域の広い楽曲など、おニャン子クラブで歌っていた楽曲とは違う難しさがあって、すごく勉強になりましたね。

――そして今年はおニャン子解散から30年です。個人的には「もうそんなに経つのか、あっという間だった」という印象を受けます。

 本当にあっという間ですよ。今は当時よりもっと、「歌いたい」という気持ちでいっぱいです。待ってくださっているファンの方がいらっしゃるし、ご期待に添えるようにがんばっていきたいと思います。もっとみんなに会える場所を作って、歌を続けていきたいですね。