翌27日と28日は世界最大級のアイドル・フェス「TOKYO IDOL FESTIVAL」だ。いくつものグループが1日に複数の場所で公演するのだが、アプガこそ最も数多くライヴを行なった主演者なのではないだろうか。しかもその合間には、握手会や即売会もしているのだ。

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 一発目は昼ごろからフジテレビ近所の「お台場合衆国」にて「TIF2013 presents 夏☆1浴衣アイドル選手権」(入場料金は別途必要)。浴衣であっても(仮)マークを忘れないのが素晴らしい。途中からは裸足になって歌い踊っていた。この「浴衣アイドル選手権」にノミネートされたのは10グループ。帰るときにファンはスタッフから投票用紙を渡される。さらにその先を行くと、各グループの名前が書いてある投票箱があり、ファンはそれを「一番良かったと思うグループ」のところに入れるわけだ。見事第1位に輝いたグループは、8月29日開催の「夏☆1 グランプリ THE FINAL」出演に加え、地上波放送に出られる。もちろんアプガは首位を獲得した。皆が入れたのは各1票にすぎない。だけどぼくは5万票入れるぐらいの気合いをこめて投票した。それは他のファンの皆さんも同じことだろう。

 4時からはシンガー・ソングライター、大森靖子とのコラボレーションが「DOLL FACTORY」で行なわれた。大森靖子については、ライターの土佐有明さんへのインタビュー(http://diskunion.net/jazz/ct/news/article/6/34360)に詳しいが、とにかく道重さゆみ(モーニング娘。のリーダー)推しであり、ハロヲタ(モー娘。が所属する“Hello! Project”の大ファン)でもある。Hello! Projectの研修生部隊であるハロプロエッグを「辞めさせられた」「クビになった」アプガと、ハロヲタ大森の共演は実に楽しく、いっぽうで火花が散るようだった。モー娘。のカヴァー「しゃぼん玉」で、あの有名なセリフを森ティがシャウトしていたのもエモーショナルだ。

 7時過ぎから、アプガは野外の「SMILE GARDEN」に出た。しかしその直前、「AZURE STAGE」行きのエレベーター近くにある公開放送用のスペースで森ティが収録に臨んでいたのを知る者は多くないだろう。ぼくは別のグループを見終えて、エレベーターを降りたところだったのだが、そうしたら向こうから森ティのしゃべり声が聞こえてきたので、そのまま公開放送を見ることにしたのだ。

 「SMILE GARDEN」でのアプガは、「サイリウム」から始まった。サイリウムとは何か、というと、要するに昔はペンライトといわれていた光る棒のことである。アプガのメンバーにはそれぞれのイメージカラーがあり、ファンはそれぞれの「推し」にちなんだサイリウムを掲げる。それが、これから暗くなろうとする野外ステージに、実に映えるのだ。ステージを終えた後、感極まって泣いてしまったメンバーもいたときく。ライヴが始まると、あの「SMILE GARDEN」に人がどんどん集まってきて、しまいにはあの広いスペースが埋め尽くされるほどになったのだから、もう、これは、「勝利」というしかない。

 翌日は朝11時半ごろから「ENJOY STADIUM」に登場した。ということは面々は9時、ひょっとしたら8時には会場入りしていたはずだ。「サバイバルガールズ」等、プログラムは“攻め”いっぽう。アプガのファイトに朝も昼も夜も関係ないのだ。その後、握手会&夏ツアーのチケット即売会を経て(メンバー自らチケットを手渡ししたそうだ)、4時過ぎから「VENUS CHURCH」(ヴィーナス教会広場)で歌い踊った。ぼくはその前後の出演者も大いに楽しんだけれど、やっぱりアプガは「違う」。エンターテイナーとしての基礎体力、野球でいうところの“地肩の強さ”が圧倒的に抜きん出ている。

 さらに5時40分頃からメインの「HOT STAGE」(ZEPP TOKYO)に登場。昨年、アプガはメインステージに出られなかった。しかし今年は実質的なトリ扱い。この1年間の超人的な精進が、着々と認められている。「リスペクトーキョー」では“原宿なぅ”というところを“お祭りなぅ”と変えて、さらに雰囲気を盛り上げに盛り上げた。観客の熱気とアプガの気迫で、会場の屋根が吹っ飛んでしまったとしても、ぼくは決して驚かないだろう。そのくらい熱い。2006年にメロン記念日が創唱し、いまやアイドル・ポップスの古典的アンセムになった感がある「お願い魅惑のターゲット」をエンディング近くに持ってくるあたりも鋭すぎる。「アプガは、さらにミラクルを起こしてくれる」。ぼくはそれを強く深く確信した。この後、アプガはグランドフィナーレ、スペシャル・アンコール・ライヴにも登場したが、ぼくはクインシー・ジョーンズの公演に急いだので見ていない。どんな感じだったのか後日、ウェブサイトや雑誌記事で確認したいと思う。

 アイドル・フェスが終わっても、アプガは動き続ける。30日は渋谷パルコ・パート1にある「2.5D」のイベントに登場した。「マーブルヒーロー」、7月リリースのシングル2曲、そして9月発売の「SAMURAI GIRLS」など。ステージと客席の間の仕切りがないから、余計アプガの姿がダイレクトに視界に飛び込んでくる。動きはアスリートそのもの。だがふとしたときに、とんでもない可憐な表情がこぼれる。ああ、彼女たちはアイドルだったんだ、と思わされる瞬間である。それにしてもアプガが与える歓びをどう説明しよう。毎日のように見ても、毎日聴いても少しも飽きることがない。それどころか、もっと体内に注入したくなる。アプガの魔術は無限だ。

 そして8月3日には「ROCK IN JAPAN」、11日には「SUMMER SONIC」にそれぞれ初登場する。日本最大級の夏フェスの3分の2を、アプガがかっさらう。
 「対バン上等」を掲げるグループが「一曲入魂」のパフォーマンスで「侍魂 宣戦布告」。
 早くもとんでもないフェスになりそうな予感がする。伝説という使い古された言葉を超えた別の新しい何かが生まれつつある。
 そしてその翌々日からは「アップアップガールズ(仮)1stライブハウスツアー アプガ第二章(仮)開戦前夜」だ。誰に頼まれたわけでもない。別に宣伝してくれともいわれていない。だが日程と場所を、書かずにはいられない。

8月13日(火)長野県 CLUB JUNK BOX NAGANO
8月14日(水)群馬県 高崎club FLEEZ
8月15日(木)埼玉県 Heaven's Rock Kumagaya VJ-1
8月16日(金)栃木県 Heaven's Rock Utsunomiya VJ-2
8月20日(火)愛知県 豊橋KNOT
8月22日(木)兵庫県 神戸ウィンターランド
8月23日(金)京都府 KYOTO MUSE

 かの伊藤政則さん風に書かせてもらおう。
 すべての音楽ファンよ、見るがいい。聴くがいい。そして全身で感じるがいい、アプガの気迫と情熱を。
 光の速さで進化するアイドル・シーン、その尖端で暴れまわる“7人のサムライ”。全身全霊で放たれる魂の叫びが、島国の夏を焦がす。アプガ! アプガ!! アプガ!!![次回8/26(月)更新予定]