『ソー・ホワット:コンプリート1960アムステルダム・コンサーツ』 |AERA dot. (アエラドット)

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『ソー・ホワット:コンプリート1960アムステルダム・コンサーツ』

文・中山康樹

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60年のアムステルダム・ライヴが2枚組で登場
So What : The Complete 1960 Amsterdam Concerts (MCN)


 ちょっと興味深い2枚組CDが登場した。内容に関しては「ドッヒャー!」と驚くようなものではないが、それなりにきちんと整理された状態というのが、珍しいといえば珍しい。収録曲や詳細に関しては別表をご覧いただきたいが、誤解のないように、まずは注意点を挙げておこう。

 1枚目は全曲がジョン・コルトレーン入りの演奏に思えるが、最後の2曲《ウィスパー・ノット》と《イーズ・イット》はウイントン・ケリー、ポール・チェンバース、ジミー・コブによるトリオの演奏。しかも録音時期は、コルトレーン時代ではなく、ソニー・スティット時代というややこしさ。

 つまりこの2枚組は、基本的にソニー・スティットの参加音源を主体とし、そこにボーナス・トラック的にコルトレーンの参加音源をつけ加えたものという、まあいってみればじつによくある抱き合わせ商品というわけです。コルトレーンの看板におんぶに抱っことでもいいましょうか。

 しかし、これが一筋縄ではいかない。いちおう当コーナーの別表では正解と思われる録音月日を記したが、どうも資料によっては微妙にズレが生じ、このあたりの検証が再び必要になる気配が濃厚なのです。もっともソニー・スティット時代の音源を検証しても、さほど成果が上がるとは思えないが、少なくともコルトレーンの参加音源だけでも再度検証の要があるだろう。

 さて、このライヴだが、すでにマイルス者ならご存知すぎるほど有名な音源、よって詳細は割愛するが、最大の注目は、この2枚組のように、いまやブートレグとして登場していた音源が新たなソースとなり、堂々と大きな顔をして店頭に並ぶようになったことだろう。

 これはある意味で歓迎すべきことだが、いまだにいいかげんなクレジットやたんなるコピーまがいの商品が横行し、そういう意味では、まだまだ注意を怠ることはできない。これからこの種のCDを買う人は、くれぐれもそれが「特殊な商品」であることを認識しておかなければならない。というところで、ではまた。


【収録曲一覧】
Disc 1
1. Introduction by Norman Granz
2. If I Were A Bell
3. Fran-Dance
4. So What
5. All Blues
6. The Theme
7. Whisper Not
8. Ease It

Disc 2
1. Introduction by Norman Granz
2. But Not For Me
3. Walkin'
4. All Of You
5. So What
6. The Theme
7. Stardust
8. Old Folks
9. All Blues
10. The Theme

Disc 1
1-6: Concertgebouw, Amsterdam, Saturday, 1960/4/10 (midnight)
7-8: Concertgebouw, Amsterdam, Saturday, 1960/10/16 (midnight)
Miles Davis (tp:except for tracks 7 & 8) John Coltrane (ts:except for tracks 7 & 8) Wynton Kelly (p) Paul Chambers (b) Jimmy Cobb (ds)

Disc 2
Concertgebouw, Amsterdam, Saturday, 1960/10/16 (midnight)
Miles Davis (tp:except for tracks 7 & 8) Sonny Stitt (as) Wynton Kelly (p) Paul Chambers (b) Jimmy Cobb (ds)


(更新 2012/12/13 )


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プロフィール

中山康樹

 「スイングジャーナル」元編集長。『マイルス・デイビス自叙伝』やコレクターズアイテムも含めた全作品を解説した『マイルスを聴け!!』等で聴きだしたらとまらない「マイルス地獄」へ誘っている。

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