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『ホワイトハウス・ジャズ・フェスティヴァル1978』

文・中山康樹

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ホワイトハウス・ジャズ・フェスティヴァル1978

ホワイトハウス・ジャズ・フェスティヴァル1978

カーター大統領主催のジャズ・パーティーにセシルもオーネットも参加
Whitehouse Jazz Festival 1978 (So What)


 まさかいまごろになって、このような音源が登場しようとは。あるいはネット上では飛び交っていたのかもしれませんが、ともあれ1978年6月、当時の大統領ジミー・カーターが主催したホワイトハウス・ジャズ・フェスティヴァルのハイライトがCD化されたのです。年季の入ったジャズ・ファンは、カーター大統領に声をかけられた車椅子のチャールズ・ミンガスが涙を流したというエピソードとともに記憶されていることでしょう。

 このフェスティヴァルというか、ジャズ・パーティーといいますか、仕掛け人はニューポート・ジャズ・フェスティヴァルの主宰者ジョージ・ウィーンで、おそらく彼がカーター大統領側にもちかけ、「ジャズはアメリカが世界に誇る文化です」とかなんとかいって実現させたのでしょう。それはそれで批判されるべきものではなく、じつに正しい行為だったのではないかと思います。

 まあものすごいメンバーです。アメリカ・ジャズ史の総覧を現実化したような、といいましょうか、もはやナンデモアリの状況とでもいいましょうか。よくぞこれだけ集められたものです。しかも全員ノーギャラと思われます。ちなみにこのイヴェントの完全記録を作成しようとしている人がいて、その人によれば、当日の演奏曲目は次のようになります。

1. Boogie Woogie Beguine
2. Memories of You
3. St. Louis Blues
4. History of Jazz
5. In a Mellow Tone
6. Oh, Lady Be Good!
7. Sonnymoon For Two
8. Caravan
9. How High the Moon
10. Georgia on My Mind
11. Lush Life
12. In the Good Old Summertime
13. Flying Home
14. Salt Peanuts

 しかし別表と比べていただければ一目瞭然ですが、この人のリストには、オーネット・コールマンやセシル・テイラーが入っていないのです。これではダメです。このフェスティヴァルの注目点は、ディジー・ガレスピーやイリノ・ジャケーやライオネル・ハンプトンといった王道系大御所に混ざって、オーネットやセシルといった「嫌われ者」まで出演陣に加わっていたことにあります。そう、これぞアメリカ・ジャズの神髄なのです。そしてソニー・ロリンズ、ハービー・ハンコック、チック・コリア、ジョージ・ベンソン等々、もはやため息をつくぐらいしかできません。音質とバランスは上級。これは推薦に値する、価値ある、そして楽しい1枚です。それではまた。


【収録曲一覧】
1 I'll Remember April
2 Caravan
3 Earth Soles / Nether
4 Solo Improvisation
5 How High the Moon
6 Georgia on My Mind
7 Lush Life
8 In The Good Old Summertime
9 Flying Home

Roy Eldridge, Clark Terry, Benny Carter, Illinois Jacquet, Teddy Wilson, Jo Jones, Sonny Rollins, McCoy Tyner, Ron Carter, Dexter Gordon, Herbie Hancock, Lionel Hampton, Chick Corea, Ray Brown, Stan Getz, Zoot Sims, George Benson, Louis Bellson, Gerry Mulligan, Pearl Bailey, Dizzy Gillespie, Max Roach and others
1978/6/18 (Washington D.C.)


(更新 2012/12/27 )


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プロフィール

中山康樹

 「スイングジャーナル」元編集長。『マイルス・デイビス自叙伝』やコレクターズアイテムも含めた全作品を解説した『マイルスを聴け!!』等で聴きだしたらとまらない「マイルス地獄」へ誘っている。

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