AERA with Kids+ Woman MONEY aerauniversity NyAERA Books TRAVEL
検索結果453件中 321 340 件を表示中

【石井光太 特別寄稿】新著『43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層』に寄せて
【石井光太 特別寄稿】新著『43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層』に寄せて  ノンフィクション作家・石井光太さん。アジアの貧困街の裏側を描いた『物乞う仏陀』(文藝春秋)、『神の棄てた裸体』(新潮社)、『レンタルチャイルド』(新潮社)や、東日本大震災をテーマに被災地の知られざる真実に迫った『遺体―震災、津波の果てに』(新潮社)、さらに実の親による子殺し事件にフォーカスした『「鬼畜」の家』(新潮社)。今まで発表してきた諸作で、現実に起きた事件、さらに今私たちが生きている社会の裏側までもえぐり取るように描写してきた石井さんが、次なるテーマに選んだのが「川崎中1男子生徒殺害事件」でした。  今回、Bookstandでは、『43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層』(双葉社)の発刊を記念して、石井さんご本人にご寄稿いただきました。  2015年2月20日、川崎区の多摩川河川敷で中学1年の上村遼太君が、17歳~18歳の少年A、B、Cにカッターナイフで43回切りつけられて殺害されるという事件が起きた。川崎中1男子生徒殺害事件である。今回、私はこの事件の全容を『43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層』(双葉社)というルポにまとめた。なぜ今、この事件ルポを著したのかということについて述べたい。  この事件は、筋金入りの不良たちがか弱い中学1年生を殺害したという、いわゆる不良たちのリンチ殺害事件ではない。実は、加害少年らは、小、中学時代はいじめられて不登校にまでなっており、いわば「マイノリティー」に属するような子だったのだ。そこで見えてきたのは、今の「不可視化」された社会の縮図だった。  たとえば、主犯の少年A(事件当時18歳)は、川崎でトラック運転手をしている日本人の父親と元ホステスのフィリピン人の母親との間に生まれたハーフだった。両親は力によってAを抑えつけていたらしい。言うことを聞かないと、父親は拳どころか、足で顔面を蹴りつけたり、5時間も6時間も正座させたりした。母親もまたハンガーで殴るなどしていたそうだ。  学校でも、Aは虐げられていた。同級生から「フィリピン!」と呼ばれていじめられていたのだ。中学に進学した後は、同級生ばかりでなく、下級生の不良にまで目をつけられて不登校になった。  家にも、学校にも、居場所がなかったAは、イトーヨーカドーにあるゲームセンターに入り浸った。ここは、同じような境遇のいじめられっ子や不登校児のたまり場だった。Aはそんな人々とグループをつくり、アニメやゲームに夢中になって寂しさを紛らわせていたという。  少年B(事件当時17歳)もまた、フィリピン人ホステスの母親が未婚の男性との間に産んだハーフだった。母親はBのことを育児放棄していたばかりか、日本語をほとんどしゃべることができなかった。Bは母親が語るタガログ語を理解できず、怒鳴りつけられたり、無視されたりしていたそうだ。  そんなBもまた学校でいじめに遭い、不登校になっていく。母親はそんな息子と向き合うこともせず、家に恋人をつれ込んで同棲をはじめたり、学校側から注意を受けたという理由だけでBをフィリピンへ数カ月置き去りにしたりする。  Bは信頼できる友人さえつくることもできず、中学を卒業すると都内の通信制高校へ進学した。母親は男と別れて別の恋人を見つけて新たなマンションへ引っ越すが、Bは家の合鍵さえ持たせてもらっていなかった。  AとBは同じ川崎区の出身だったが、学年が一年ズレており、出身中学もちがった。二人が友人を介して出会うのは、高校に入ってからだ。  Aはゲームセンターで知り合った不登校やいじめられていた少年たちとグループをつくっていた。大半が事情を抱えた家庭の子で、定時制高校か、通信制高校、あるいはフリーターだった。そこにBが交ざるようになるのだ。みんな、アニメとゲームでつながっている「オタク」っぽい子供たちだった。  事件の一年ほど前、このグループに新たに加わったのが、Cだった。Cは自分の思い通りにいかなければ、見境なく暴力をふるうような凶暴な性格だった。裁判でADHDの傾向が高いと指摘されていたこともあり、きちんと性格を理解して受け止めてくれる友人もろくにいなかった。  Aは、そんなCの暴力的な性格に憧れのようなものを抱いていたようだ。AはCの真似をしてサバイバルナイフを振り回したり、エアガンで無差別な攻撃をしたりするようになった。さらにAは酒癖が非常に悪かった。酒を飲むと別人のように見境なく暴力行為に及ぶのだ。  こんなグループとたまたま先輩を介して知り合ったのが、犠牲者の上村遼太君だった。島根県の西ノ島で小学六年の夏まですごしていたが、両親の離婚後しばらくして四人のきょうだいとともに川崎に帰ってきた。だが、母親は二つの仕事を掛け持ちしていただけでなく、恋人の男性をマンションに入れて同棲をしていた。そんな環境ゆえか、遼太君は夜遅くまで家に帰らず、Aたちとつるむようになっていたのだ。  グループの少年たちは、ゲームセンターでガンダムのゲームをしたり、携帯でアニメやゲームを楽しんだりしてつながっていた。金がなければ、万引きや、賽銭泥棒をすることもあった。3学期が始まる頃には、遼太君は学校へまったく行かなくなっていた。学校側も何度も親に連絡を取った。33回にわたって親に連絡をし、五回も家庭訪問をしたのだ。だが、遼太君を直接説得する機会は得られずじまいだった。  事件が起こるのは、遼太君がAたちと知り合って1カ月半ほどした後のことだった。  ある日、遼太君の中学の不良の先輩Xが、Aが酔った拍子に遼太君を暴行したことを知り、それを口実に賽銭泥棒で取った金を脅し取ろうと考えた。そしてAの家に乗り込んで警察沙汰を起こすのだ。  AはXに狙われたのは遼太君が告げ口したせいだと逆恨みし、2月19日の深夜、酒を飲んだ勢いもあって、遼太君を呼び出す。そしてB、Cとともに多摩川の河川敷につれて行った。河川敷は真っ暗でひとけがなかった。Aは遼太君を殴るだけにするつもりだった。だが、Cが持っていたカッターを差し出し、Aは虚勢を張ってそれでもって遼太君を切りつけた。Aは血で服が汚れたのを見て思った。  こいつを帰したら俺が捕まる。Xにも殺される。  そして殺害を決意。  Aは遼太君を全裸にしてカッターで首を切りはじめたが、気が引けて致命傷を負わせられない。BやCにもカッターを渡してくり返し切らせても同じだった。仕方なく、川で泳がせて溺死させようともした。だが、遼太君は泳いで一向に沈んでくれない。一時間ほどが経った後、Aは腹をくくって、思い切り遼太君の首を切りつけた。ついに遼太君は動かなくなった。  遼太君はまだかろうじて息があり、A、B、Cはそれをわかっていた。だが、助けることなく河川敷を去った。翌朝、遼太君の無残な遺体は見つかったのである。  この事件を取材しながら私が感じたのは、「家族」とは何かということだった。  A、B、Cの行為が残虐であり、決して許されるものではないことは明らかだ。彼らを遼太君と同じ目に合わせろという声も理解できなくもない。ただ、日本の法律ではそれはできないし、感情的な意見をぶつけてもしかたない。ただ、それ以上に加害少年の声を直に聞いたり、被害者遺族にインタビューをしたり、友人たちの話を聞いたりしていると、グループの少年たちのほとんどが家族に居場所を見つけられなかった者だということがわかった。  同じグループにいた少年の一人はこう語っていた。  「うちはシングルマザーなんだ。俺はずっといじめられて不登校で高校にも行かなかった。俺がAたちと一緒にいたのは寂しかったからだね。別にAやBと友達だと思ってなかった。寂しさを紛らわせられればそれでよかった」  家庭で母親はどうしていたのかといえば、韓流スターにはまってDVDを見たり、コンサートに通い詰めたりして、彼とほとんど向き合っていなかったという。BやCもまた親に構ってもらえなかった上、Aのことを友人と思っていなかったと語っていた。単なるヒマつぶしや、寂しさを紛らわす相手でしかなかったのだ。  少年たちをそんな孤独に追いやったのは何だったのか。私は少なからず家族の影響が大きいと思う。加害者たちの親も、グループに集まっていた少年たちの親も、子供を愛していなかったわけではなかっただろう。だが、きちんと子供と向き合っていたと言えるだろうか。詳しいことは、拙著『43回の殺意 川崎中1男性生徒殺害事件の深層』を読んで、それぞれで考えていただきたい。  この事件は、当初残忍な不良たちが犯した凶悪事件のように報じられた。だが、私は少年たちが抱えていた家族の問題は、現代の大勢の少年たちに敷衍する問題だと思っている。私は加害少年たちを擁護したいのではなく、根本的な原因に目を向けなければならない必要性があると考えているだけだし、本書を著したのはそのためだ。親も、教育者も、世間も、その「問題」をしっかりと見つめることでしか、再発防止の実現は難しいだろう。この事件ルポがその一助となればと願っている。 ********  2018年1月13日(土)に、本書発売に合わせ、「少年事件を報じるということ」と題して、本屋B&Bにてトークイベントを行います。著者の石井光太さんの他、佐世保小6同級生殺害事件を追った『謝るなら、いつでもおいで』(集英社)の著者で、毎日新聞記者の川名壮志さんをお招きし、語っていただきます。気になった方は本屋B&Bの公式サイトで詳細をご確認ください。 ■本屋B&B http://bookandbeer.com/
「むくみ」改善は“ゴキブリ体操”で! やり方を医師が伝授
「むくみ」改善は“ゴキブリ体操”で! やり方を医師が伝授 広川雅之さん(ひろかわ・まさゆき)/外科専門医。お茶の水血管外科クリニック院長。下肢静脈瘤治療の第一人者。近著に『下肢静脈瘤は自分で治せる』(マキノ出版)http://kekkangeka.com/ 毛細血管には小さな穴が開いている。そこから細胞の間に出てくる水分が、組織間液だ。この組織間液が多くなりすぎたときに「むくみ」が起きる 「むくみ」を防ぐには、飲み会の席で塩分の多い料理をとりすぎないよう、心がけること。「刺し身(醤油を少なめに)や野菜サラダ(ドレッシングを控えめに)を多めに!」(広川さん)  朝起きたときに顔がボワン。ギャー、このむくんだ顔のまま会社に行くのは嫌かも。近所にゴミ捨てに出ることすら、憚られるかも。ああ「むくみ」、何とする? 「そもそも『むくみ』というのは、身体の皮下組織に過剰な水分がたまった状態を言います。顔なら、顔の表面に水分がたまっている状態。足なら足の表面に水分がたまっているのです」と、外科専門医の広川雅之さん。皮膚の下には多くの毛細血管があり、細胞がある。 「実は毛細血管には小さな穴がいっぱい開いているんです。そしてそこから細胞の間に出てくる水分が、組織間液です。組織間液は細胞に酸素を届けるとともに細胞間の老廃物を回収し、また毛細血管に戻ります。このように皮下組織では常に、毛細血管から水分が出て、戻ってというのを繰り返しているんですね。そのバランスがくずれたときに『むくみ』が起きます」  毛細血管から漏れ出てくる水分量が多くなるか、あるいは毛細血管に戻る水分量が少なくなったときに「むくみ」は起きるのだ。 「原因はさまざまですが、“冷え”はむくみの大きな要因の一つです。夏はエアコンの冷気による冷え。今の季節は寒い空気による冷え。冷えから毛細血管、あるいは静脈の循環が悪くなり、むくんでしまうのです」  ではむくみ防止、むくみ改善のためにはどんなことをすればいいのだろうか。 「手足が冷えないよう、保温に気をつかうことはもちろん大事です。が、もっと大切なことは毎日少しずつでも運動をすることです。加齢とともに疲れやすくなってくると、ついつい身体を動かすのが億劫になってきます。そうすると肥満に拍車がかかります。そして身体が重くなってくるとますます身体を動かさなくなり、体内の循環が悪くなります。この負の流れに入ってしまうと、むくみと縁が切れなくなってしまいますよ」  広川さんのおすすめは、寝て行う二つの体操だ。 「一番のおすすめは『ゴキブリ体操』です。仰向けになり、足は肩幅に開いてください。両手は身体の横に置きます。そして両手・両足を天井に向けて上げます。手足はできるだけ垂直になるようにしてください」  そこで手と足の力を抜いたリラックスした状態で、手足をブルブルと小刻みに30~60秒ゆすることを3回繰り返す。両手両足を上げる姿勢がつらい場合は、足だけを上げてもかまわない。 「仰向けになると、血液は自然に心臓に戻ります。この『ゴキブリ体操』は、両手足を小刻みに動かすことで、その刺激が毛細血管への負担を減らし、心臓への血液の戻りをよくします。寝て行う体操の中で、最も効果が高いんですよ」  もうひとつは「足首体操」。仰向けになり両足を伸ばす。そして両手は自然に身体の横に置き、つま先を前後にゆっくり10回動かす。そのあとつま先を右回りに5回、左回りに5回、グルグルと回すことを3回繰り返す。両足同時に動かしても、片方の足ずつでもよい。 「いずれの体操も一日に数回行うことが理想です。が、日中仕事をしていて、寝て行うのが難しい場合は、夜寝る前にふとんの上で行いましょう」  また食生活においては塩分(ナトリウム)のとりすぎにも注意することが大切だ。 「塩分をとりすぎると、身体は体内の塩分濃度を下げようとして、体内に水分をためこんでしまう。だからむくみやすくなるのです」  これからのシーズン、会社や仲間同士の忘年会でお酒を飲む機会も多くなる。お酒のつまみというと、ついつい味の濃い、塩分の多いものを頼んでしまいがち。 「でも“むくみ防止”を考えるなら、刺し身や野菜サラダを多めにすることですね。もともと調味されていないものを頼んで、醤油やドレッシングは極力控えめにするよう、心がけてください」  年末年始は家で刺し身を食べる機会も多い。 「そんなときは、減塩醤油で。少しの気遣いを大切にしましょう」  それでも朝起きたときに顔のむくみが気になったら、 「酸っぱい顔をしたあとに、ニーッと笑う、顔の体操をしてみてください。顔の筋肉が動くことで血流が改善されるので、むくみとりには断然おすすめです」 (エディター・赤根千鶴子) ※週刊朝日 2017年12月8日号より抜粋
下北沢の本屋で著者と作品を読んで、飲んで、語れる読書会
下北沢の本屋で著者と作品を読んで、飲んで、語れる読書会 (写真:BOOKSTAND)  創業以来、毎日イベントを開催し、業界人の間にもファンの多い下北沢の本屋B&Bで、12月にちょっと変わった読書会が開催されます。  これは、「ひとつの作品をもっと少人数で掘り下げてじっくり読んでみたい」というB&Bのお客様から多数寄せられた熱いリクエストに応えて行われるそうで、「著者と一緒に作品を読んで、飲んで、考える」少人数読書会(全2回)というもの。  初回にお迎えする著者は、MBAプログラムを開講する「グロービス経営大学院」教授であり、コンサルティング会社「経営共創基盤パートナー」取締役の木村尚敬さん。木村さんがこの7月に刊行した近著『ダークサイド・スキル 本当に戦えるリーダーになる7つの裏技』を課題図書として、「上司と部下を自在に操るマネージャーになる!」をテーマに、人を動かすための"闇のチカラ"を血肉にするヒューマンスキルの鍛え方を全2回に渡って掘り下げる予定です。  12月6日(水)開催の第1回のモデレーターには、ソニーで新規事業・新商品を開発しながら、地方の商材をかわいくプロデュースして発信・販売するハピキラFACTORYの経営も行う「パラレルキャリア女子」の正能茉優さんが登場。  そして12月13日(水)開催の第2回は、著者である木村さんをお招きし、今すぐ使える"ダークサイド・スキル"を学びます。  アルコールを交えて著者とのトークを楽しめるこのイベント。気になった方は、詳細、応募方法など本屋B&Bの公式サイトでチェックしてみてください。 ■本屋B&B http://bookandbeer.com/
桐谷健太“天才役”演じる苦悩を救った言葉とは?
桐谷健太“天才役”演じる苦悩を救った言葉とは? 桐谷健太(きりたに・けんた)/1980年、大阪府生まれ。大学進学での上京と同時に役者を目指す。2002年、ドラマ「九龍で会いましょう」で俳優デビュー。映画「パッチギ!」やドラマ「ROOKIES」でブレーク。主な出演映画に「クローズZERO」シリーズ、「BECK」「くちびるに歌を」など。16年にはauのCMで歌った「海の声」が大ヒット、本人名義でアルバム「香音―KANON―」をリリースした。11月23日、主演映画「火花」が公開予定。(撮影/写真部・小原雄輝)  俳優、歌手などマルチに活躍する桐谷健太さん。昨年はCMソング「海の声」が大ヒット、今年は映画「火花」で主演されます。作家の林真理子さんがその舞台裏を伺いました。 *  *  * 林:映画、拝見しました。売れないお笑い芸人二人の青春が目まぐるしくて目まぐるしくて、笑っちゃうんだけど、最後は悲しすぎて……。青春の日は長く続かないよとわかってるけど、神谷さん(桐谷さん演ずる先輩芸人)は最後までわかってるのかわかってないのか。 桐谷:後輩の徳永(菅田将暉)はやめていきますけど、神谷はずっと続けるかもしれないですね。神谷がある種「天才やな」と思わせるのは、あきらめるというスイッチがないところやと思うんですね(笑)。 林:でも、天才を演じるって難しくなかったですか。 桐谷:理解されない天才ってどうあらわしたらええねん、と思いましたよ。たとえば観客がみんな「こいつ、天才やな」と思うキャラクターになったら「じゃ、売れるやろ」となってしまう。時代と噛み合ってない天才。そのバランスが難しかったです。 林:そうですよね。ほんとにおもしろかったら売れてますもんね。 桐谷:でも、最後のシーンで後輩の徳永にメッチャ怒られてもケロッとしてるあの感じが、神谷の天才たるゆえんかなと思えたんですね。僕も大阪から東京に出てきて、売れてない時期があってつらかったんですけど、そのときにしかないおもしろさがあったなと、あらためて思い出したりもしました。板尾(創路)さんが監督だったのも大きいですよね。 林:板尾さん、芸人さんですよね。 桐谷:そうです。 林:空気もよくわかってるし。 桐谷:全部わかると言ってました。 林:私がすごく好きなシーンは、神谷と徳永が、公園で変わった太鼓をたたいているお兄さんに出会うじゃないですか。お兄さんに神谷が「なんでたたくのやめるんや。自分を表現しようとやってるんやろ。俺はどんな音がするのか聞きたいんや。楽しませてくれや」と言うでしょう。あれが神谷の本質をあらわしていると思うんだけど、天才だけが言える真実があそこに込められてるような気がします。説教とも違うし……。 桐谷:怒ってるのとも違うし、ヤンキーっぽい言い方も違うし、ほんとにピュアに言ってるんですよね。 林:そうそう。大人の胸を打つすごく深い言葉だなと思いました。原作は撮影の前に読んでたんですか。 桐谷:読みました。友達が貸してくれたんです。その友達の連れが「これ、映画化されたら、神谷役、健ちゃんに来るわ」って言うてくれたんですよ。縁を感じましたね。 林:私もぴったりだと思いましたよ。又吉さんの原作を読むと、神谷さんの素晴らしい言葉が毎ページのようにあって、読者が圧倒されちゃうんですよね。贅沢に詰め込みすぎだよ、と思うくらいでした。でも、その天才神谷を演じるのって、ぴったりとはいえ大変だったと思う。 桐谷:苦悩したこともありましたよ。原作を読んだときに、神谷が一人の人間に思えなかったんですよ。もちろん人間いろんな側面がありますけど、それにしても。 林:神谷さんって、バカなことも言うんだけど、人生の真実を突いたような非常に哲学的なことを言いますよね。インテリっぽいところがあるかと思えば、とんでもないバカなところもあって。 桐谷:そうなんですよね。いざ演じるとなったときに、どうしたらいいのかわからなくなって。そんなときに、映画の中でコンビを組んだ相方役の三浦(誠己)君、吉本の元芸人さんで、いま俳優さんですが、その彼と代々木公園で漫才の稽古をしてるときに、「桐谷健太がおもしろいと思う言い方でやったら神谷になると思う」と言うてくれたんですよ。 林:ほーォ。 桐谷:その言葉がスポーンと入って。俺が持ってるもの、今まで培ってきたものをやればええんやな、と思いました。後輩にもタメ語を言われるような雰囲気とか、ほんと微妙なところをはずさずにやっていけばええんやと思って、苦悩しながらも何とかやりましたね。 林:その苦悩は見てて感じさせなかったですよ。「この人、何考えてるんだろう」というおもしろさがとても出てました。そうかと思うと、天才漫才師として徳永が見とれるほどのスピード感で演じなきゃいけないわけですよね。 桐谷:映画に使ったシーンは一瞬だったんですけど、実際に観客の前で4分ぐらいの漫才をフルでやったんですよ。観客からあったかい笑いをいただいて、監督も「すごくよかった」と言ってくださったんです。クランクインの前から代々木公園で相方と二人で漫才したり、カラオケ屋でやったり、ヨシモト∞ホールで見学したりしたんですよ。 林:菅田将暉さんもすごくいい感じを出してましたけど、菅田さんは東京の人ですよね。 桐谷:大阪です。地元、近いんですよ。だからあんな感じでできました。 林:そうですか。私、ずっと東京の人だと思ってました。この映画、本当に神谷さんがいるみたいで、桐谷さんの30代の代表作になるんじゃないかと思いますよ。本を読んだ324万人の読者が映画を見て、ジャンパー姿の桐谷さんが吉祥寺のハモニカ横丁にあらわれたとき、「神谷先輩だ」って思うんじゃないですか。 桐谷:そうならありがたいですね。(構成/本誌・直木詩帆) ※週刊朝日 2017年12月1日号より抜粋
朝から本屋で英語を学ぶ!? 下北沢でユニークな英会話教室
朝から本屋で英語を学ぶ!? 下北沢でユニークな英会話教室 (写真:BOOKSTAND)  下北沢にある本屋B&Bで、早朝から英語を学ぶユニークな企画参加者を募集中です。  実は始まって2年の実績と歴史があるこの早朝英会話スクール。毎期とも、多くの受講生で盛り上がっているそう。  第19期となる今期は、12月5日(火)より火・水・金の、各曜日2部制のコースで開講。気になるコースは、 ■ビジネスコース AM6:25~7:55(90分) ■日常会話コース AM8:00~9:30(90分) ※受講料 32,400円(全10回)  となっており、日本人が海外で苦手とされるコミュニケーション能力の向上に重点を置きながら、社会人、大学生、就活中の人、海外旅行が趣味といった人など、英語に興味がある人なら誰でも気軽に受けられる内容になっているそうです。  講師は英語教師としての経験豊富なネイティブの教師陣。気になった方、詳しい情報を知りたい方は、本屋B&Bの公式サイトでご確認ください。  朝、コーヒーを飲みながら、早朝の英会話でスキルアップしてみるのはいかがでしょうか。 ■本屋B&B http://bookandbeer.com/
猪瀬直樹、渡辺謙、蓮舫はなぜ、スキャンダルが発覚したのか? 実は、「冬」の【バイオリズム】が影響していた!
猪瀬直樹、渡辺謙、蓮舫はなぜ、スキャンダルが発覚したのか? 実は、「冬」の【バイオリズム】が影響していた! 歴史上の偉人から有名人まで、人間は9タイプしかいない?(※写真はイメージ)  99%の人間関係は『9code(ナインコード)』で解決できる!  経営コンサルタントである著者が、歴史上の偉人から有名タレント、経営者まで、世界最古の『易経』をベースに、運命学、帝王学などを交え、1万人のサンプリングを体系化。「水の一白」「大地の二黒」「雷の三碧」「風の四緑」「ガイアの五黄」「天の六白」「湖の七赤」「山の八白」「火の九紫」など、歴史上の偉人から有名人まで、人間は9タイプしかいない。「本当の自分」がわかり「人間関係」の悩みが解消するという『“強運を呼ぶ”9code(ナインコード)占い』が発売たちまち第4刷となった。 『9code(ナインコード)』とは一体どんなものか? 2034年までの幸運バイオリズムが一目でわかるという著者にこっそり語ってもらった(文中敬称略)。 ●これまでを持続する?それともイノベーション?【陰3年】成功の法則 【陰3年】(人間味をアップさせる精神充実期)のイメージは、秋も一層深まった晩秋、いよいよ冬へという時期になります。  この時期は、新しいことへのチャレンジはなるべく控えましょう。  実りの秋を終え、これからは心と体を休め、次の9年間に備えるための時間となります。  仕事においては、これまで培ってきたことの持続をメインとして、その延長線上の事柄・ビジネスのみに集中するが吉です。  また、現在【陰3年】にいるあなたが、昨年の【陰2年】で実りの秋を実現できないで、転職なども考えていたとしたら、この【陰3年】はチャンスです。  冬に入り、完全にエコノミーモードに入る前に、最後の力を振り絞り、自身のイノベーションを起こすのによいタイミングとなります。  この位置に来たら、まずは、これまでの自分を振り返ってみましょう。  精神面でひとまわり大きくなって次の【陽年期】を迎えられるよう、人間味をアップさせる時期なのです。  2年後から始まる、次の【陽年期】のスタートに向けて、これから何を学ぶべきなのか? 冷静に考えてみましょう。  じっくりと腰を落ち着かせて物事を判断できるようになれば、安心です。  仕事でもプライベートでも、「持続」と「イノベーション」という、相反する行動と思考が必要になるケースもある【陰3年】の時期ですが、自分の気持ちに素直になって、心と対話することを常日頃から心がけてみましょう。それが、何よりも大切です。  また、本書で詳しく解説していますが、この【陰3年】は※「八白の部屋」に入ることになります。【陰3年】の位置にいる人は、この年、「山の八白」の生き方を学ぶことも、人間力を磨くのに大切なことです。本書にて、ぜひ学んでみてください。 ※これを『9code(ナインコード)占い』では、「定位」「定盤」と呼び、位置は一定で変わりません。 ●スキャンダルも明るみに!鮮明な視野でアイデアを発掘!【陰4年】成功の法則 【陰4年】(明るく鮮明に物事がわかる頭脳明晰期)のイメージは初冬です。  冬の山のごとく、木の葉は落ち、山肌は鮮明、頂には初雪があります。  青い空に浮かぶ稜線も鮮明です。よって、初冬の自然界は、これまでと違い、いたって見通しがよくなります。  この自然現象からもわかるように、よいことも悪いことも鮮明になるというのがこの【陰4年】の時期です。  つまり、すべてが“明るみに出てしまう”一年なのです!  元東京都知事の猪瀬直樹は、2013年11月、徳洲会グループからの資金提供問題が発覚しました。  タレントのベッキーは、2016年1月、不倫が発覚し、様々な反感を買い、芸能界から干される事態となってしまいました。  俳優の渡辺謙も、2017年3月に不倫が発覚しています。  また、バトミントン選手の桃田賢斗は、2016年4月、違法カジノ店での賭博行為が発覚しました。  政治家の蓮舫も、2016年9月、二重国籍問題が浮上しました。  これらに共通するのは、上記にあげたすべての人物のスキャンダル発覚時期が、その人にとっての【陰4年】だということです。  近年だけでも、こんなにも【陰4年】の時期に、スキャンダルが発覚しているのです。  まさに、“明るみに出てしまう”一年であると言えましょう。  さらにこれは、人からの評価も同じです。  努力の結果も見えてきます。  見通しがよくなることで、視野が鮮明になり、アイデアも湧きやすい頭脳明晰な時期でもありますので、隠れた才能を発掘して次の【陽年期】に備えていきましょう。  また、この【陰4年】は※「九紫の部屋」に入ることになります。【陰4年】の位置にいる人は、この年、「火の九紫」の生き方を学ぶことも、人間力を磨くのに大切なことです。本書にて、ぜひ学んでみてください。 ※これを『9code(ナインコード)占い』では、「定位」「定盤」と呼び、位置は一定で変わりません。 ●わが人生に悔いなし!【バイオリズム】で人を救済せよ  さて、今日までの解説で【バイオリズム】の基礎はわかっていただけたかと思います。  まずは、人間のリズムにも「春夏秋冬」があること。季節それぞれに「因縁果報(いんねんかほう)」の法則が関わっていること。そして、【バイオリズム】の9年の周期には【陰と陽】の概念があり、年ごとに、やるべきこと、注意すべきことが異なること。  まずは、これらをしっかりと押さえてください。  本書では、もっと詳しく、著名人の事例なども加えて解説しております。 「わが人生に悔いなし」と、死ねるときに思えるかどうかは、この9年周期の【バイオリズム】の法則をいかに使いこなし、成功を掴んでいるかにかかっていると言っても過言ではありません。  事実、私も、コンサルティングの際には、この【バイオリズム】の法則を、必ず使用しています。  その結果、多くの経営者と会社を救えることができました。  本書でも赤裸々に語らせてもらいましたが、私自身も、自分の人生を【バイオリズム】に当てはめて考えてみると、人生の浮き沈みが見事に【陽と陰】でマッチングしています。  これも【バイオリズム】に根ざした統計なのでしょうか。  いま、社会人になりたての新卒が、入社してすぐに辞めるというのが増えています。  実は、新卒1年目というのは、就職浪人などしていれば別ですが、ほとんどの人が【陰5年】の位置にいる際に、入社をしているのです。  つまり、エコノミーモード真っ最中に、新しいことを始めてしまっているわけです。  本当は、新しいことは避けるべき年なのにかかわらず……。気力が弱まっているのですから、新しいことは難しいのは当然なのです。  しかし、その辛さに耐えられないと、人は辞めてしまいます。  せっかく就職活動を頑張って入社したのに、もったいないですよね。未来ある若者なのに。  もし、この【バイオリズム】の法則を知っている人が、会社にいれば、新入社員を理解してあげられます。  また、一人、人を救うことにもつながるかもしれないのです。  これを読んでいるあなたも、本書 を通じて、【バイオリズム】の法則を学んでみてください。きっと、世界観も変わるはずです。 ●藤井四段とひふみんが同じタイプ!?  2017年6月、中学生プロ棋士・藤井聡太四段(2002年7月19日生)が、30年ぶりの記録更新となる前人未到の29連勝を達成しました。とても14歳とは思えない、落ち着いた雰囲気と真摯な人間性で話題を集めています。  一方、同じ将棋界で大注目なのが、「ひふみん」こと加藤一二三九段(1940年1月1日生)です。  2017年6月20日に、最高齢棋士(77歳)として現役引退後も、その熱い語り口と独特のキャラクターで注目され、テレビでも大人気です。  真逆のキャラクターに見える2人ですが、実はこの2人が同じタイプ(気性)だとしたら、興味深いことではないでしょうか?  本書の『9code(ナインコード)占い』 では、藤井四段と加藤九段を、同じ「湖の七赤(しちせき)」と見ます。  紀元前に成立した歴史を誇る世界最古の『易経』をベースに、帝王学、運命学などを加味してできあがったものが、この『9code(ナインコード)占い』です。  戦国武将から芸能人、有名経営者、ビジネスパーソンまで、計1万人のサンプリングを体系化することで、統計学的な再現性を担保しました。  さらに、私が経営コンサルティングの現場で実践し続け、その効果を実証できたので、初めてまとめることにしました。  ですから、「これ、当たってる!」と感じる従来の占いとは一線を画し、本書は「現状を好転させる実践ツール」なのです。 ●人間は、9タイプしかいない? 『9code(ナインコード)占い』 では、人間を地球生命体の一部と考え、どんな人間も「生年月日」で次の9タイプに分けられます。  1.水の一白(いっぱく)、2.大地の二黒(じこく)、3.雷の三碧(さんぺき)、4.風の四緑(しろく)、5.ガイアの五黄(ごおう)、6.天の六白(ろっぱく)、7.湖の七赤(しちせき)、8.山の八白(はっぱく)、9.火の九紫(きゅうし)など、『9code(ナインコード)占い』では、それぞれのタイプが持つイメージを大切にします。 「湖」は水が集まってできるものであり、動物たちを癒すオアシスです。その特性から人々を楽しませ、癒し、安らぎを与えるという使命があります。  まったく違うタイプに見えた藤井四段と加藤九段ですが、「人を癒すキャラクター」としては、共通する特徴と言えるでしょう。雨が水の流れになり、小さな「澤」ができて、大きな「川」になり、「湖」になる。この一連の流れが人々を潤し、会話力や表現力、情報伝達力によって、人と人をつなげていくことになります。  ここから、かけ引きにすぐれ融通性がある、話上手で表現豊かなど、藤井四段と加藤九段を象徴するイメージが、まさに「湖」なのです。これに「色」を加えると、さらにイメージが広がります。 「湖」でありながら、「赤」を持つ「湖の七赤」は、情熱的・積極的な印象になります。クールに見えながらも、実はかなり負けず嫌いな藤井四段や、こだわりを貫き積極的に行動する加藤九段は、まさに「湖の七赤」なのです。  このように、『9code(ナインコード)占い』では、第一印象の思い込みを取り除き、9タイプから「本当の自分」と「他人の気性(本質)」を見極めることで、あらゆる人間関係を円滑にしていくことができます。 ●2034年まで『強運の大波』に乗る あなただけの『バイオリズム』  事実、私がこの『9code(ナインコード)占い』を使ってコンサルティングを行った結果、クライアント企業で争いやケンカが激減したという報告が相次ぎました。さらに、次のような事例が続出したのです。 1.仕事に悩んでいた営業マンが、最優秀新人賞を受賞した。 2.『9code占い』を取り入れた1年後に、会社の売上が2.6倍になった。 3.「本当の自分」に気づき、ベストな形で起業を実現した。 4.適材適所な人材配置で離職率が激減した。 5.レストラン経営で、「顧客リピート率9割」を達成した。 『9code(ナインコード)占い』の効果を実感した企業では、上司と部下の関係を改善するために、各自の相性を計算して部署やプロジェクトメンバーを編成し、タイプに合わせた話し方に変えたことによって、人間関係が良好になり、社内の空気が一変していきました。  このように、『9code(ナインコード)占い』は、実践的かつ実用的な人間関係ツールです。9タイプや色には、よいも悪いもありません。ただ、みな「異なる」だけです。同じ日本人でも「9の人種がいる」とわかっているだけで、悩みの多くが解決します。  巻末のスペシャル特典には、「2034年まで『強運の大波』に乗るあなただけの『バイオリズム』」を収録しました。  これさえあれば、今後18年間、あなたが何をするべきかがわかり、人生を考えるうえでの大きな羅針盤となるでしょう。本書を使いこなすことにより、「善意の誤解」や人間関係のストレスから解放されます。  また、「本当の自分」を知ることであなたらしい生き方ができます。多くの方々が豊かな人生の一歩を踏みだせることを願っています。 中野 博(Hiroshi Nakano) 信和義塾大學校創設者兼塾長、経営コンサルタント。早稲田大学商学部卒業。ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院ブランディング実践講座エグゼグティブコースを修める。ハーバードビジネススクールでは経営学を学ぶ(いずれも短期集中型の経営者クラス)。1992年、地球サミットに国連認定ジャーナリストとして参加したことを契機に環境ジャーナリストとして活動。1997年の地球温暖化防止京都会議を機に、株式会社エコライフ研究所設立。環境ジャーナリストとしての取材・分析力と経営コンサルタントとしての提案力をベースに、800社以上を環境ビジネスに参入させ成果を挙げる。その傍ら、住宅、環境を軸にした本を多数出版(本書が30冊目)。講演依頼も多く、国内外で2000回以上の実績。2005年、教育研修会社の株式会社ゴクーを設立。1万人のサンプリングを体系化した『9code(ナインコード)』をもとに、信和義塾大學校で指導にあたるほか、企業や各種組織で『9code』を利用したコンサルティングや人材活用研修も多い。現在、信和義塾大學校は、世界6か国20都市以上にあり、塾生は700名超。
ジャニーズWEST 初の7人全員でのドラマは「斬新すぎた」
ジャニーズWEST 初の7人全員でのドラマは「斬新すぎた」 ジャニーズWEST主演、Netflixオリジナルドラマ「炎の転校生 REBORN」の一場面(c) Kazuhiko shimamoto、SHOGAKUKAN/J Storm Inc  関西発の7人グループ「ジャニーズWEST」。2014年のデビュー以来、「ズンドコ パラダイス」など大阪的な曲とノリで人気を博す一方、ドラマやバラエティーでも活躍中だ。  そんな彼らがネットフリックスを舞台に、島本和彦原作の熱血マンガ『炎の転校生』のドラマ化にチャレンジした。  原作の主人公は謎の転校生・滝沢昇だが、ドラマではこの滝沢が校長を務める学園に、ジャニーズWESTの7人が転校生としてやってくる。そして彼らが、全国の学校に潜入して悪に立ち向かうという極秘ミッションに挑む、破天荒なストーリーだ。途方もなく予想外なビジュアルだというドラマについて、7人が語った。 *  *  * ──たくさんのトピックスがあるドラマだと思いますが、一番の特徴はどのあたりでしょう。 中間淳太:初のネットドラマということだと思います。偉大な先輩方がたくさんいらっしゃる中で、僕らで「初めて」ができたのがうれしい。 神山智洋:うれしかったけど、「世界190カ国で配信されるの!?」っていう驚きとプレッシャーはあったよね。 重岡大毅:海外、特にアジアでよく声をかけていただきますけど、そういう方々はなかなか地上波は見られへんと思うので、ネット環境で見てもらえるんは新しいし、面白いし、うれしいです。もちろん、日本の方も隙間時間でサクッと見られるドラマになってると思います。 小瀧望:僕は、ここまで熱く真剣にバカバカしいことをやっている青春ドラマってところが特徴だと思います。CGがたくさん入ってますし、「アホやな、こいつら」って素で思えました。 桐山照史:「ザザッ」とか「ドーン」とかマンガっぽい擬音がビジュアルで入るのも面白いところです。マンガって日本の文化ですからね。言葉を超えて世界に届けるために、顔芸も意識しました。とにかく、濃いぃんですよ。 藤井流星:ビジュアルのぶっとび感もすごいです。画を見ただけで「これ、絶対変なドラマやろな」ってわかる感じは、ほかにはないと思います。「出オチ」じゃないんだけど、出てきて即オチ、みたいな感じのキャラクターが何人かおるし。 濱田崇裕:初めての7人全員でのドラマがコレって、斬新すぎました。ぶっとんでるけど楽しかった。配信楽しみやー。 中間:コメディー感というか、こっちも楽しんでる感が出ていて、僕らはこの作品に合ってたんだなって思いましたね。 小瀧:逆に、僕ら以外のジャニーズで誰ができるか、思いつかない(笑)。僕ら、NGないので(笑)。みんなに笑ってもらえるなら何でもやります。 (構成/ライター・早川あゆみ、編集部・市岡ひかり) ※AERA 2017年10月23日号より抜粋
小池都知事と龍馬は「雷の○○」、イチローと宇多田は「火の◇◇」 人間は9タイプしかいない!? 『9code(ナインコード)占い』で一発判定!
小池都知事と龍馬は「雷の○○」、イチローと宇多田は「火の◇◇」 人間は9タイプしかいない!? 『9code(ナインコード)占い』で一発判定!  99%の人間関係は『9code(ナインコード)』で解決できる!  経営コンサルタントである著者が、歴史上の偉人から有名タレントまで、世界最古の『易経(えききょう)』をベースに、運命学、帝王学などを交え、1万人のサンプリングを体系化した『“強運を呼ぶ”9code(ナインコード)占い』が発売前から話題となっている。 「水の一白」「大地の二黒」「雷の三碧」「風の四緑」「ガイアの五黄」「天の六白」「湖の七赤」「山の八白」「火の九紫」など、人間は9タイプしかいないと断言。「本当の自分」がわかり「人間関係」の悩みが解消、2034年までの幸運バイオリズムが一目でわかる、という著者に、発売前にこっそり語ってもらった(文中敬称略)。 ●大自然に紐づけられた『9code』  私は経営コンサルタントとしていろいろな経営者と接していますが、今回、歴史上の人物から有名タレントまで、世界最古の『易経』をベースに、1万人のサンプリングを体系化した『“強運を呼ぶ”9code(ナインコード)占い』を発表しました。 『9code』は、その名のとおり、9種類の「code(コード)」で成り立っています。  人間は9種類のタイプしかいないということです。本書に収録した『9code』判定法でわかります。 ●水の一白(いっぱく) ●大地の二黒(じこく) ●雷の三碧(さんぺき) ●風の四緑(しろく) ●ガイアの五黄(ごおう) ●天の六白(ろっぱく) ●湖の七赤(しちせき) ●山の八白(はっぱく) ●火の九紫(きゅうし)  歴史上の偉人や現代の著名人まで、それぞれのコードが大自然の現象に紐づけられています。  たとえば、ピーター・F・ドラッカーやタモリは「水の一白」、野村克也や落合博満は「大地の二黒」、坂本龍馬や小池百合子は「雷の三碧」、福澤諭吉や本田宗一郎は「風の四緑」、宮沢賢治や市川海老蔵は「ガイアの五黄」、伊藤博文や大谷翔平は「天の六白」、松下幸之助や加藤一二三は「湖の七赤」、徳川家康や三木谷浩史は「山の八白」、ビートたけしやイチローは「火の九紫」など、「生年月日」さえわかれば、誰でも9タイプに分別されます。  ですから、あなたにも個々に与えられた「コード」があり、必ずどれかのタイプに属することになります。『9code(ナインコード)占い』では、『9code』判定法により一発でわかるのです。 ●“秘密の暗号”を解いて、あなたの才能を丸わかりに! 『9code』は9タイプから成り立っています。  そして、自分のタイプがわかったら、生まれながらに与えられた本当の性格や才能など、その人の心の奥底にある“秘密の暗号”が解読できるのです。  たとえば、 ・子どもの本当の才能は“音楽”だったのか! ・営業よりも“研究職”のほうが向いていたのか! ・自分は“サポート役”こそが最大の力を発揮するのか!  など、あなたの内側に潜む魅力(気性)を見極めることが可能になります。  実際に、自分自身の『9code』から自分の魅力(気性)を理解し、人生の方向性をおもいきって変えたことで、今まで掴めなかった成功を勝ち取った人も、私のコンサルティング先の方で大勢います。  成功を掴むための第一歩は、“秘密の暗号”を解読し、自分自身の魅力(気性)を理解することから始まるのです。  そこで、その暗号の解読に必要になるもの。それが、あなたの「生年月日」なのです。 ●自分の本当の才能は“生年月日”が導いてくれる  その秘密の暗号を解くカギを握るもの。  それは、「生年月日」です。  生年月日はパソコンや携帯電話や家電などにたとえれば、「シリアル・ナンバー(製造番号)」と言っていいでしょう。  製造番号とは、製造された個々の特性や能力などを、誰でもその番号さえわかれば識別できるものです。  すべての人間には生年月日があって、名前・顔・姿は変わっても、誕生日は生涯変わることはありません。そして、そこには人としての身分や階級も一切関係ありません。  実は、こういった点に着目して、個々の人間に与えられた特性や能力は、人間が普遍にして持つ「生年月日」に隠されているということを、数千年以上前から研究していた人たちがいました。  そして、一部の皇室や財閥関係者たちによって、現代まで密かに語り継がれてきたのです。  日本の履歴書には、必ず生年月日を記載する欄があります。  これは、先人たちが、個々の自分の才能を発見するために生年月日を重要視していたからであり、その名残が現代まで息づいているのです。  海外では、生年月日を履歴書などに書かせない国もたくさんあります。  また、生年月日がわかってしまうと、自分のシークレットな能力が敵に知られてしまうということから、一国の主などは生年月日を公表しないことも珍しくはありませんでした。 ●『9code』で才能が開花! 1年で売上1億3000万円突破!? 『9code』を活用すれば、自分の生まれながらの才能を見出せます。  私が創設した信和義塾大學校(私塾)の塾生にも、自分の潜在能力を知り、その能力を使うことで、大きく業績を伸ばした社長がいます。    6年前に入塾したAさんは、インスピレーションが強く独創的なアイデアマン。  Aさんは行動力と直観力にすぐれた「雷の三碧(さんぺき)」の男性ですが、コツコツ事務作業をやるのは苦手なタイプです。  ただ、彼の会社は小さいため、社長自身がやりたくない事務仕事や経理業務もせざるをえません。  その分、独創的なアイデアを形にして会社を繁栄する時間が取れず、ストレスを抱えて空回りしていました。  しかし、この『9code』を知り、使いこなし、自分らしい成功のあり方がわかってからのスピードは、まるで稲妻のように違いました。  彼は不向きな仕事をすべてアウトソーシングし、得意とするアイデア出しに時間を費やしたのです。  その結果、それまで一度も年商5000万円を超えられなかったのに、わずか1年後には1億3000万円となりました。  さらには販売代理店もできて、倍々ゲームで売上が伸び始めたのです。  いまも規模を拡大し続け、着々と大企業へと成長しています。 ●9タイプは「種族」が違う  あたかも「人種が違うのでは?」というほど、9タイプはそれぞれ、感じ方や価値観までも違います。  でも、これは当たり前なのです。  あなたと、そもそものタイプが違うのですから。  国によって数々の人種がいて、それぞれで、感じ方、考え方、世界観が違います。  それと一緒なのです。 『9code』にある9タイプは種族が違うのですから、そこを理解して人と向き合うことが大切なのです。  もし、あなたがこれまで、些細な言い争いの末に、ケンカやトラブルを起こしがちな人なら、まずは、自分と相手はタイプが違うということを理解しましょう。  それができないと、人間関係は悪くなる一方です。  逆に、理解さえできれば、相手に対してそれほどストレスを感じなくなりますし、どんな相手ともよい関係を築けるでしょう。  本書の『9code』を通じて、人それぞれが持っている「性格」や「才能」が、こんなに違うのか、ということを多くの事例から学んでいただければと思います。  きっとあなたは、人との接し方を変えざるをえなくなります。  さらに、相手を理解することができるので、あなたはもっと、人にやさしくなれます。  ここで一つ、相手の気性・性格を理解しようと努力したからこそ、結果を得た事例を紹介しましょう。 ●お客の『9code』を分析して、リピート率9割を実現したレストラン  私のクライアントで、レストランを経営する傍ら、2人の子育ても頑張っている「湖の七赤(しちせき)」のCさん(30代後半の女性)は、努力と工夫でレストランの業績を上げています。  本業のレストラン経営では、お客様に会員になってくれることを勧めて、生年月日を知り、『9code』でお客様ひとりひとりを分析。  取得済の住所やメールアドレスからお客様の「感じ方」「気性」に合った手紙を出したり、一斉メールではなく、お客様のタイプ別の内容に変え、メールを出したりしています。  さらに、お客様の生年月日を『9code』で分析し、お客様が一番喜ぶ方法でプレゼントを渡しています。  すると、会員にさえなっていただければ、リピート率は9割を超えるようになりました。  確かに、『9code』の分析結果で、タイプ別にサービスするわけですから、お客様がファンになるのは当然の結果と言えましょう。  いまやどのレストランも「会員登録」後にくるメールやハガキで差別化するのは至難の業。しかし、ほんのひと手間、『9code』でタイプ別にメールやハガキを出すことで、大きな成果が出たのです。 『9code』を使い、相手の心中を察することができると、相手を理解できるようになり、相手に合わせることは苦痛でなくなります。  それどころか、他人を理解できて、合わせられる自分のことを「成長した」と、自分をほめてあげられるようにすらなるのです。 ●藤井四段とひふみんが同じタイプ!?  2017年6月、中学生プロ棋士・藤井聡太四段(2002年7月19日生)が、30年ぶりの記録更新となる前人未到の29連勝を達成しました。とても14歳とは思えない、落ち着いた雰囲気と真摯な人間性で話題を集めています。  一方、同じ将棋界で大注目なのが、「ひふみん」こと加藤一二三九段(1940年1月1日生)です。  2017年6月20日に、最高齢棋士(77歳)として現役引退後も、その熱い語り口と独特のキャラクターで注目され、テレビでも大人気です。  真逆のキャラクターに見える2人ですが、実はこの2人が同じタイプ(気性)だとしたら、興味深いことではないでしょうか?  本書の『9code(ナインコード)占い』 では、藤井四段と加藤九段を、同じ「湖の七赤(しちせき)」と見ます。  紀元前に成立した歴史を誇る世界最古の『易経』をベースに、帝王学、運命学などを加味してできあがったものが、この『9code(ナインコード)占い』です。  戦国武将から芸能人、有名経営者、ビジネスパーソンまで、計1万人のサンプリングを体系化することで、統計学的な再現性を担保しました。  さらに、私が経営コンサルティングの現場で実践し続け、その効果を実証できたので、初めてまとめることにしました。  ですから、「これ、当たってる!」と感じる従来の占いとは一線を画し、本書は「現状を好転させる実践ツール」なのです。 ●人間は、9タイプしかいない? 『9code(ナインコード)占い』 では、人間を地球生命体の一部と考え、どんな人間も「生年月日」で次の9タイプに分けられます。  1.水の一白(いっぱく)、2.大地の二黒(じこく)、3.雷の三碧(さんぺき)、4.風の四緑(しろく)、5.ガイアの五黄(ごおう)、6.天の六白(ろっぱく)、7.湖の七赤(しちせき)、8.山の八白(はっぱく)、9.火の九紫(きゅうし)など、『9code(ナインコード)占い』では、それぞれのタイプが持つイメージを大切にします。 「湖」は水が集まってできるものであり、動物たちを癒すオアシスです。その特性から人々を楽しませ、癒し、安らぎを与えるという使命があります。  まったく違うタイプに見えた藤井四段と加藤九段ですが、「人を癒すキャラクター」としては、共通する特徴と言えるでしょう。雨が水の流れになり、小さな「澤」ができて、大きな「川」になり、「湖」になる。この一連の流れが人々を潤し、会話力や表現力、情報伝達力によって、人と人をつなげていくことになります。  ここから、かけ引きにすぐれ融通性がある、話上手で表現豊かなど、藤井四段と加藤九段を象徴するイメージが、まさに「湖」なのです。これに「色」を加えると、さらにイメージが広がります。 「湖」でありながら、「赤」を持つ「湖の七赤」は、情熱的・積極的な印象になります。クールに見えながらも、実はかなり負けず嫌いな藤井四段や、こだわりを貫き積極的に行動する加藤九段は、まさに「湖の七赤」なのです。  このように、『9code(ナインコード)占い』では、第一印象の思い込みを取り除き、9タイプから「本当の自分」と「他人の気性(本質)」を見極めることで、あらゆる人間関係を円滑にしていくことができます。 ●2034年まで『強運の大波』に乗る あなただけの『バイオリズム』  事実、私がこの『9code(ナインコード)占い』を使ってコンサルティングを行った結果、クライアント企業で争いやケンカが激減したという報告が相次ぎました。さらに、次のような事例が続出したのです。 1.仕事に悩んでいた営業マンが、最優秀新人賞を受賞した。 2.『9code占い』を取り入れた1年後に、会社の売上が2.6倍になった。 3.「本当の自分」に気づき、ベストな形で起業を実現した。 4.適材適所な人材配置で離職率が激減した。 5.レストラン経営で、「顧客リピート率9割」を達成した。 『9code(ナインコード)占い』の効果を実感した企業では、上司と部下の関係を改善するために、各自の相性を計算して部署やプロジェクトメンバーを編成し、タイプに合わせた話し方に変えたことによって、人間関係が良好になり、社内の空気が一変していきました。  このように、『9code(ナインコード)占い』は、実践的かつ実用的な人間関係ツールです。9タイプや色には、よいも悪いもありません。ただ、みな「異なる」だけです。同じ日本人でも「9の人種がいる」とわかっているだけで、悩みの多くが解決します。  巻末のスペシャル特典には、「2034年まで『強運の大波』に乗るあなただけの『バイオリズム』」を収録しました。  これさえあれば、今後18年間、あなたが何をするべきかがわかり、人生を考えるうえでの大きな羅針盤となるでしょう。本書を使いこなすことにより、「善意の誤解」や人間関係のストレスから解放されます。  また、「本当の自分」を知ることであなたらしい生き方ができます。多くの方々が豊かな人生の一歩を踏みだせることを願っています。 中野 博(Hiroshi Nakano)  信和義塾大學校創設者兼塾長、経営コンサルタント。早稲田大学商学部卒業。  ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院ブランディング実践講座エグゼグティブコースを修める。ハーバードビジネススクールでは経営学を学ぶ(いずれも短期集中型の経営者クラス)。1992年、地球サミットに国連認定ジャーナリストとして参加したことを契機に環境ジャーナリストとして活動。1997年の地球温暖化防止京都会議を機に、株式会社エコライフ研究所設立。環境ジャーナリストとしての取材・分析力と経営コンサルタントとしての提案力をベースに、800社以上を環境ビジネスに参入させ成果を挙げる。その傍ら、住宅、環境を軸にした本を多数出版(本書が30冊目)。講演依頼も多く、国内外で2000回以上の実績。2005年、教育研修会社の株式会社ゴクーを設立。1万人のサンプリングを体系化した『9code(ナインコード)』をもとに、信和義塾大學校で指導にあたるほか、企業や各種組織で『9code』を利用したコンサルティングや人材活用研修も多い。現在、信和義塾大學校は、世界6か国20都市以上にあり、塾生は700名超。
「底辺託児所」の現状から見た英国の今
「底辺託児所」の現状から見た英国の今  EU離脱、与党・保守党の敗北など混迷を深めるイギリス。その変容と実態を長きにわたり見つめてきた一人の日本人女性がいます。 ブレイディみかこさん。政治家でもジャーナリストでもなく、イギリスで働く保育士、ライターです。しかも、普通の職場ではなく、「平均収入、失業率、疾病率が全国最悪の水準」と言われた地区にある無料の託児所であり、「底辺託児所」とも称されるところでした。 本書『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』では、著者のブレイディさんが保育士として、2008年から2010年に携わった「底辺託児所」でのボランティアをはじめ、政府の緊縮政策のあおりを受けた「底辺託児所」改め「緊縮託児所」で再び働くこととなった2015年から2016年の日々が語られます。イギリスが抱える貧困問題や政治情勢の考察も交えながら、保育の現場から格差と分断の情景を描き出します。 中でも「底辺託児所」改め「緊縮託児所」となった最近の託児所の現状として語られる、移民と英国人の下層民の関係は、イギリスの今を映し出します。 かつては英国人がマジョリティだった託児所も、現在は外国からの移民がほとんど。そんな中、久しぶりに"典型的"といえる、ドラッグ依存症のシングルマザーとスキンヘッドにタトゥーが入った男性カップルを保護者にもつ英国人の子どもが入ってくると、移民たちは露骨に嫌悪を示したといいます。 「英国人とあまり触れあったことのない移民は、センセーショナルにタブロイド紙に書かれている下層民による犯罪や乱れきった日常生活など、ステレオタイプをそのまま鵜呑みにして必要以上にネガティブな反応を示すことがある。」(本書より) 例えば、ほとんどの託児所の子どもが通っている地元の公立小学校に、移民たちは「外国人の子どもはいじめられる」「貧民街の学校はレイシズムが激しい」などとささやき合い通わせたがらず、しつけが厳しいキリスト系の公立校にこぞって入れたがるというのです。 しかしながら、ブレイディさんはこの状況を「シュール」と一蹴したうえで、「ここはもともと、彼女たちが忌み嫌っているタイプの英国人が利用していた場所」だと語ります。移民と下層の英国人たちが生身でふれあい会話できることから、彼らのステレオタイプを払拭できる場として機能していたわけです。 新天地で「子どももできるだけいい学校に入れたい」と願う移民の母たち。向上心がある彼女たちにとって、何倍も恵まれた環境に生きているのに人生を無駄にしているように見える底辺層の英国人は到底理解できないのです。当然、触れ合う機会が減っているので、「『わからないもの』は『モンスター』」に見えてしまうようです。 本書によれば、この"下層の英国人がマイノリティ"という現状は、イギリスの都市部にも言えることで、英国労働党のジェレミー・コービン氏は、ロンドンが「労働階級の人々の姿が見えない街になった」として、「ソーシャル・クレンジング」という言葉で警告しているといいます。ブレイディさんは、こう嘆きます。 「『ソーシャル・レイシズム』だの『ソーシャル・クレンジング』だの、以前は民族や人種による差別を表現するために使用されていた言葉が、階級差別を表現するために使われるようになってきた。(中略)背景には英国がいかに底辺層を侮蔑し、非人道的に扱っているか、そしてそれが許容されているかという現状がある。それはまた格差を広げ、階級間の流動性のない閉塞された社会をつくりだした新自由主義のなれの果ての姿とも言えるだろう。」(本書より) 8月24日(木)には本屋B&Bで、ブレイディさんの近著『花の命はノー・フューチャー DELUXE EDITION』にからんだトークイベントも行われます。「政治とは議論するものでも、思考するものでもない。それは生きることであり、暮らすことだ」というブレイディさん。本書『子どもたちの階級闘争』に綴られた、"英国の地べた"を見てきた在英20余年の日本人保育士ライターの問いかけから、声なき声に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。■本屋B&Bhttp://bookandbeer.com/
平井堅の右手がヤバい! 草野マサムネも横山剣も…
平井堅の右手がヤバい! 草野マサムネも横山剣も… ...の敬意を込めた丹念な歌いぶりが印象深い。KANの「歌」では、平井の個性をふんだんに織り込み、あの仕草までを想像しながら作品を手がけ、平井らしく歌う歌唱指導もあったという。平井の魅力を最大限に引き出したとして、ファンなら納得のいく作品だろう。  先の草野マサムネのコメントではないが、シ...
「JulyBooks」が下北沢の本屋B&Bに7月限定で復活
「JulyBooks」が下北沢の本屋B&Bに7月限定で復活 (写真:BOOKSTAND)  下北沢北口一番街商店街にあった、古本と雑貨の小さなお店「JulyBooks(七月書房)」。5年間の営業の後、2016年11月に惜しまれながら閉店しましたが、そのJulyBooksが、下北沢の本屋B&Bに期間限定で復活します。  クローズ後もイベントへの出店やウェブショップを続けているJulyBooksですが、この7月で5周年を迎える本屋B&Bにて、7月1日から31日までのまるまる1ヵ月間の限定出店ということで、まさに"JulyBooks(七月書房)"の名前にぴったりな催しに。  本屋B&Bの品揃えと、JulyBooksの売り場を同時に楽しめる、貴重な1ヵ月。本好きな人はもちろん、これまで本屋にはなかなか足が向かなかったという人も、普通の本屋とはひと味違うセレクションの数々に引き込まれてしまうかも。ぜひふらりと立ち寄ってみてはいかがでしょうか。 ■JulyBooks(七月書房) http://7gatsubooks.wixsite.com/july ■「本屋 B&B」 http://bookandbeer.com/
ゆる~り、でもちょっとしんみりする兼業主夫のエッセイ漫画
ゆる~り、でもちょっとしんみりする兼業主夫のエッセイ漫画  ひと昔前の「夫は外で働いて稼ぎ、妻は家の中のことをするもの」というスタイルから、"専業"主夫や"兼業"主夫になる男性も増えている昨今。その一端がうかがえるのが、劔樹人さんによるエッセイ漫画『今日も妻のくつ下は、片方ない。妻のほうが稼ぐので僕が主夫になりました』です。 劔さんの奥様は、作家・エッセイストの犬山紙子さん。サブタイトルにもあるとおり、犬山さんのほうが収入が多かったことから結婚後は劔さんが兼業主夫に。慣れない家事の難しさや面白さ、夫婦としてのささやかな幸せやモヤモヤなどが、劔さん独特のゆる~いタッチで描かれています。 そもそもなぜ劔さんが兼業主婦になったのか? 本書の「はじめに」でそれが紹介されています。34歳のころフリーランスの音楽プロデューサーとして活動していたという劔さんですが、仕事がないときは月収が6~7万。これを見かねて、当時付き合っていた犬山さんがかけたひとことが「よし、結婚しよう」(男前!)。「いい? 私たちふたりはちょうどお互い得意不得意の分野が逆なんだよ。私はお金を稼ぐことが好きだけど、あなたは基本的にお金に興味がない。でも人の面倒を見るのは得意でしょう? だから結婚して家のことをやってほしい」(本書より)と犬山さんに言われ、「つまり僕は兼業主婦になればいいってことか。よし、やってみよう」となったのだとか。 こうしてスタートした劔さんの兼業主夫ライフ。家賃や生活費は収入の多い犬山さんが負担し、そのかわりに家事はすべて夫である劔さんの担当しているのだそうですが、そこには日々さまざまなトラブルやお悩みが降りかかります。 たとえば、とつぜん犬山さんから「昨日食べたタッカンマリが美味しかったから、今度うちでも作ってみてよ」という難しい発注があったり、犬山さんが寝室で脱ぎ散らかしたくつ下がかたっぽだけいつも見つからなかったり。よくある家事や、主夫の「あるある漫画」として共感を呼ぶものではなく、あくまでも劔さん目線の日常のしょうもない風景がゆるゆると綴られているのが本書の特徴ではないでしょうか。 それが少し、けれどたしかに変わるのは、最後のほうで犬山さんの妊娠がわかってから。妊活や妊娠という問題に直面し、劔さんの奥底にある悩みや心境の変化が漫画にも現れます。 主夫という仕事にやりがいや楽しみはそれなりに感じていたものの、「妻に稼いでもらっている」「本当は音楽の仕事で生活して普通の稼ぎのある男になりたい」というモヤモヤをずっと抱いていた劔さん。妊活について夫婦で話すことが多くなると、子どもが生まれた先の生活について自然と思いをめぐらせ不安を感じるようになります。そして、そこにおとずれた奥さんの妊娠。劔さんがどう感じ、どのような結論を出したのか......中盤までとはちがうテイストのしんみりしたラストにも注目です。 本書と、犬山さんの著書『私、子ども欲しいかもしれない。 』刊行を記念した、劔さんと犬山さんのトークイベントも、7月2日(日)に本屋B&Bで開催されます。望むものをすべて手に入れられることはできない私たちですが、その中から何を選んで何を幸せとしていくかはその人次第。「人がどうであろうと、人にどう思われようと、その時、その場所で自分の幸せを決めてゆく」(本書より)という劔さんの生き方は、ライフスタイルや夫婦のスタイルが多様化した今の時代、私たちが自身の幸せを見つけるためのヒントになるかもしれません。■「本屋 B&B」http://bookandbeer.com/
進化するグルメ缶詰が飲兵衛を救う
進化するグルメ缶詰が飲兵衛を救う パケ買いしたくなるようなスタイリッシュなパッケージも増えた新世代のグルメ缶詰(撮影/写真部・大野洋介)  疲れ切った。酒場に行く元気も、自力でつまみを作る気力もない。でも飲みたい! そんな夜のお供には、缶詰がイイ。 「利尻島産むしうに」やら、「だし巻き」やら、「名古屋コーチン胡麻担々」やら「貝柱のアヒージョ」やら……日本料理店の元板前あたりが開いた、創作料理店のメニューではない。なんとこれ、本当にある「缶詰」なのだ。  またの名を「グルメ缶詰」とも呼ばれるクオリティーで、お値段は1缶300~1千円前後が中心。しかも最近は、近所のコンビニやスーパーで、手軽に買えるものも増えている。  そんな缶詰の進化話の前に、ちょっとその歴史のおさらいから。実は缶詰のルーツは1800年代の初め、かのナポレオンが遠征するフランス軍のために、食品の長期保存のアイデアを公募したことにさかのぼる。  このとき採用されたのが、ガラスびんに料理を真空詰めにして、びんごと加熱して殺菌するアイデア。数年後、これをヒントに、ブリキの缶に食品を真空詰めにして保存する「缶詰」が発明された。 ●万年床から料亭へ  とまあ当初は最先端技術を駆使したバリバリのイノベーションだった缶詰技術だが、200年の時を経た現代の日本では、味気ない酒のつまみの代名詞に成り下がったこともあった。サバ缶とワンカップを開けるときの「プシュ」音のハーモニー。これほど、万年床のアパートに似合うものもなかった。  そんな缶詰が、大きく様変わりしたのはここ数年のこと。缶詰で酒を飲む「缶詰バー」の草分け、「mr.kanso」を運営するクリーン・ブラザーズの川端三知夫さんはこう話す。 「1号店を大阪市の南堀江に開いたのが2002年。当時はおつまみになる缶詰といえば、サバとツナくらいしか思いつかないような時代でした。それが今、店で用意する缶詰は300種類以上。爆発的に増えました。さまざまな食品の缶詰開発に、多くのメーカーが挑戦して、おいしい缶詰が数多く登場した結果ですよね」  そもそも「どんな食品でも、詰めるだけなら可能」(川端さん)という缶詰だが、缶を開けたとき、食品本来のおいしさを簡単に再現できるかというと、そうでもない。実は同社も、全国から見つけてきたおいしい缶詰300種類以上をバーで提供しているほか、自社でもオリジナル缶詰を開発。ネットショップや店頭で販売もしている。  たとえば、ヒットしている同社オリジナル商品の「だし巻き」。老舗料亭とのコラボで、関西のおつまみの定番「だし巻き」を缶詰にした商品だが、 「製造工程で、缶への加熱の温度と時間を少しずつ変えながら、味や食感の変化を観察、時間をかけてようやくたどり着いた自信作です」(同)  なるほど、そのふんわり+ジュワーの食感は、上等な器に盛りつければ、料亭で仲居さんが運んできてもおかしくないレベル。こうして「おいしい缶詰」が続出したころ、東日本大震災をきっかけに防災意識が高まり、保存食としての缶詰も注目されるように。 ●家飲みブームにマッチ  また前後して、おいしくなった新世代の缶詰が「家飲み」「宅飲み」のブームにもマッチ、こうして数年前から空前のグルメ缶詰ブームが起こっている。  このブームをリードしてきたのが、大手缶詰メーカーだ。明治期から缶詰の販売を行ってきた大手食品卸「国分グループ本社(国分)」は、1990年代以降市場規模が縮小の一途をたどっていた缶詰製品に危機感を感じ、2010年、缶詰製品の新たな展開を仕掛ける。今やグルメ缶詰の代名詞にもなっている「缶つま」シリーズの販売開始だった。  缶詰を素材にしたつまみのレシピ本『缶つま』(世界文化社)の発売をきっかけに、「おいしいおつまみの素材」という用途を絞り込んだ缶詰「缶つま」シリーズを開発。 「無料のレシピブックなどとともに初年度発売された14アイテムは、500~800円という、缶詰にしては高めの価格にもかかわらず、年間100万個以上を売り上げるヒットになりました」(国分広報部) ●リアリティーを重視  こうしてグルメ志向の缶詰という、缶詰界の新たなジャンルを確立。現在は、「缶つま★レストラン」や、燻製アレンジの「缶つまSmoke」「缶つまプレミアム」「缶つまホルモン」など、高級居酒屋のつまみ風から、一杯飲み屋のつまみ風までラインアップも充実させ、100種類以上のシリーズ商品を世に送る。  というわけで、大盛り上がり中のグルメ缶詰ワールド。人気の30種類の人気投票を、編集部でおこなった。ルールはこう。mr.kansoのネットショップや、国分が運営するセレクトショップ「ROJI」(東京・日本橋)のほか、デパ地下、コンビニなどの缶詰売り場を物色して、人気の缶詰商品を購入。編集部にいた約30人が、ワイン(白・赤)、日本酒、ビールという3種のアルコールとのマリアージュで、それぞれ相性がいいと思った商品に投票した。  ちなみに缶詰といえば、世の女性誌では、缶詰を素材に使ったレシピを紹介する企画が花盛りだが、AERAではそれらを尻目にリアリティーを重視。 「仕事でヘトヘトになって家に帰り着いた時でも、開ければすぐさまおいしいつまみになるかどうかが知りたい」  という、酒好きデスクのリクエストで、ノミネートした缶詰の加熱や調理は一切なし。開けたまんまを味わって投票した。  まず、ずらりと並べてわかったのは、ナポレオンもびっくりの豊富な缶詰のバリエーションだ。たとえば昔の缶詰おつまみの定番、オイルサーディンなど魚介類の缶詰にしても、アヒージョ風に仕上げたり、はたまたトマト煮など凝った味付けを施したりと、1ランクも2ランクも進化している商品が多い。  そして、ここでファンファーレ! 気になる投票結果は……。  まずビールとの相性で人気を集めたのが「イベリコ豚ランチョンミート缶詰」(アシストバルール)だ。コンビーフのイベリコ豚版のようなミート缶で、「素材の濃厚な味わい」を冷たいビールでぐびぐび洗う至福の時が楽しめる。  続いてワインの部で得票トップは「缶つま★レストラン 厚切りベーコンのハニーマスタード味」(国分)。「甘じょっぱさがいい」と、とくにすっきりした白ワインとの相性の良さを挙げる声が多かった。日本酒では、「かにみそ かに肉入り」(マルハニチロ)がトップ。かに缶は昭和のお中元の定番だったが、こちら「かにみそ」缶。かに肉の存在もしっかり生きていて、日本酒をちびちびやるのにぴったりの一品となっている。 ●グランプリは……あれ  そしてワイン、ビール、日本酒の3部門の票をまんべんなく集め、グランプリに輝いたのは、意外にもこちら。「いぶりがっこ」(こまち食品工業)だった。  いぶりがっことは、秋田県の名物として知られる大根の漬物のこと。いぶり、つまりスモークした風味がほんのり香る、大根漬物界の重鎮だ。その缶詰は「歯触りのよさ」や「きっぱりした塩気がいい」などのコメントとともに大量得票。たしかに、缶詰を感じさせないパリパリとした食感や切り立ての味わいが、どんな酒にもよく合う。  だったら、缶詰じゃなくてもよくない?とか言わないで。こちら賞味期限3年の長期保存が身上。仕事でヘトヘトになって帰り着く予定のある酒ラバーたち。常備せよ! ※AERA 2017年6月5日号
40代以降の転職のカギ「名刺複数枚持ち」とは?
40代以降の転職のカギ「名刺複数枚持ち」とは? ...ッドハンターサミット2017」受賞者で、KANAEアソシエイツの阪部哲也さんは言う。 「ミドルキャリア層は確実に若い人より転職しづらいですね。成功は上位1~2割のイメージ。そこに入れば、ヘッドハンターのほうから声をかけてきます」 「剣山マッチング」の転職市場で“モテ人材”になるため...
カンヌ映画祭でブーイングと喝采を浴びた韓国版“宮崎駿”のストリーミング作品
カンヌ映画祭でブーイングと喝采を浴びた韓国版“宮崎駿”のストリーミング作品 ネットフリックスをめぐり、意見が割れた今年のカンヌ国際映画祭の審査員たち。 (左から5番目)審査委員長のペドロ・アルモドバル(映画監督・スペイン)とウィル・スミス(俳優・アメリカ)ら オクジャ@Netflix 撮影/yuko takano 撮影/yuko takano  70周年を迎えた世界の3大映画祭の1つ、カンヌ国際映画祭が開幕したが、頻発するテロに対する警戒態勢は昨年にも増して厳重となり、劇場やイベント会場の入り口のチェックは空港並みで、どこの入り口にも長蛇の列ができた。  初日に審査員の記者会見が行われたが、ここで最高賞パルムドールを競うコンペ部門に、劇場公開の予定のないネットフリックス(Netflixl)のストリーミング作品の『Okja(オクジャ)』と『The Meyerowitz  Stories(メイロウィッツ・ストーリー) 』がノミネートされたことについて、大きな論争が巻き起こった。  そもそもの発端は映画祭直前に、インターネット上で映像、音声などをユーザーに送信し、劇場公開をしないストリーミング作品についてフランス映画館連盟(FNCF)が「フランスの法律に反している。コンペで上映すべきではない」と抗議したこと。  その結果、来年度から劇場公開されない映画はカンヌ映画祭のコンペには入れないことが決定した。  記者会見でこの点について質問された、審査員長を務めるスペインの映画界の巨匠・ペドロ・アルモドバルが「個人的には、劇場公開されない映画が最高賞を受賞することは想像できない」と発言。映画館連盟の立場を擁護した。  しかし、審査員の一人である米俳優のウィル・スミスは、「僕の10代の子供たちは映画館にも行くし、家では映画館で観れない映画をストリーミングで観ているので、支障はない」とコメントし、論争は解決するどころか、さらに炎上した。  今年コンペ部門に選ばれた渦中の1本であるネットフリックスの『オクジャ』は米韓共同制作による韓国のポン・ジュノ監督の最新作だ。  豚のような見た目の巨大な生き物を『オクジャ』と名付け、韓国の山奥で育ててきた少女ミジャ(アン・ソヒョン)の物語だ。CGIで創り出したオクジャは巨大で愛らしい。  食肉加工を手掛ける多国籍企業ミランド・コーポレーションがオクジャをニューヨークへ連れて行こうと画策。オクジャを救うため、立ち向かうミジャの成長、遺伝子組み換えや自然保護、動物愛護、マスコミ、資本主義などをユーモアと涙、アクション満載で描く。  悪しき大企業、ミランド・コーポレーションの社長である双子姉妹を演じるのはティルダ・スゥィントン、動物愛護テロリストをポール・ダノが演じる。  プレス試写の後の会見でポン監督は「大きな予算をもらえ好きなように自由に作らせてもらった。ネットフリックスからの制作に対する介入は一切なかった」と語った。  オクジャと少女が山中で生活するシーンは、自然の美しさや尊さを映像で見せつけるかのよう。  これらのシーンについて「スタジオ・ジブリの宮崎駿さんに影響を受けたのでは?」という質問が相次いだ。 ポン監督は「宮崎さんをはじめ、今村昌平監督や野村芳太郎監督などの日本映画にも影響をうけた」と語った。  長編映画製作の最大の難関はなんといっても大型予算を集めること。予算が大きくなればなるほど出資者の介入が多くなり、脚本家や監督は多難な制作過程となる。  ところが近年はネットフリックスやアマゾンといった企業がテレビ・ドラマ、長編映画の世界にも出資するようになった。より大規模な予算で、アーティスティックな点で妥協をせずに制作する機会をもらえるという理由で、映画界の名監督も進んでアマゾンやネットフリックスと共作するようになっている。  今や長編映画、テレビ・ドラマ、オンライン・ゲームなどの境界線が不確かになってきた事実を、業界の関係者の間では広く認識されている。  今回のカンヌ映画祭で映画館とストリーミングの対立問題が浮上したが、進化する映像産業の最前線なので、有効な対策が求められる時期だと痛感させられた。 (文・高野裕子)
セクシーな下着がセックスレスをさらに悪化させる!?
セクシーな下着がセックスレスをさらに悪化させる!?  大好きだったはずなのに、結婚後には相手に不満ばかりで理想と現実のギャップに苦しむ夫婦も少なくないでしょう。ほとんどの場合、男女の意識差から生まれるもので、セックスレスや産後クライシス、家事ハラなど夫婦の危機として問題視されています。 おおたとしまさ著による本書『<喧嘩とセックス>夫婦のお作法』では、こうした夫婦問題を取り上げ、人が常に成長しているように、夫婦関係も常に変化し成長するものとして必要なものであると捉えて解決策を模索します。 例えば、セックスレス。日本性科学会によれば、「病気など特別な事情がないのに、1か月以上性交渉がないカップル」と定義される状態のことです。 今年2月に発表された一般社団法人日本家族計画協会の「男女の生活と意識に関する調査」によると、「セックスレス」の既婚者は47.2%にのぼり過去最多を更新。実に約半数の夫婦がセックスレスの状態であることが浮き彫りなった衝撃的なデータでした。 その対策として、よく聞かれるのは妻が夫の気をひこうと、いつもとは違うセクシーな下着を身に着けるという作戦ですが、効果はあるのでしょうか。おおた氏はこう指摘します。 「効果は限定的でしょう。夫がそういう非日常を求めているのであれば、それこそほかの若い女性を口説いているほうが楽しいのです。結局ゴールインできなかったとしても、非日常を求める自体が楽しいです。セックスには大きく分けて二種類あります。『非日常のセックス』と、『日常のセックス』です。よくやってしまうのが、『日常のセックス』を『非日常のセックス』にしようとする努力です」(本書より) 本書によれば、「非日常のセックス」とは、若い頃に抱く「セックスってどんな体験なんだろう」「この子、ベッドの中ではどんなになっちゃうんだろう」という好奇心、AVを見て新たなプレイに興味が沸く感覚など、セックスそのものを求めることだといいます。 対して、「日常のセックス」は、すべてをさらけ出しても受け入れてくれる安心と癒しを感じられるセックス。体中で結婚相手こそを感じたいという欲求から、新鮮さよりも2人の歴史がその悦びを高めてくれるもので、夫婦が目指すべき理想のセックスだといいます。 その意味で、セクシーな下着は真逆の「非日常のセックス」を刺激する行為であり、根本的な解決にはならず、「日常のセックス」がなおざりになり、かえって関係をこじらせてしまう可能性さえあるというわけです。 では「日常のセックス」を充実したものにするにはどうすればいいのでしょう。 それにはまず、結婚相手を、自分のすべてを受け入れ、老いても病んでも逃げないと約束してくれた"奇跡のような相手"として立ち返ることだといいます。すると、親密でいられることに「このうえない悦び」を感じられるようになるというのです。 「若いころ情熱的に愛し合った思い出、一緒に子育てした喜び、ちょっとやりすぎた夫婦喧嘩、ちょっぴり増えた贅肉やしわ、病気やケガの心配......すべてのことがセックスの味わいを増す"隠し味"となります。セックスが、二人の人生の"隠し味"を溶け込ませて、お互いの人生をより味わい深くする営みとなります。『非日常のセックス』では絶対に到達できない極みが見えてきます。」(本書より) 問題につまづいても安易に避けるという結論を出さず、成長や変化の予兆として捉えることで、新たな夫婦関係を築けるエッセンスが詰まった本書。5月19日には、下北沢本屋B&Bでこちらの関連イベントも開催されるそうです。■本屋B&Bhttp://bookandbeer.com/
外国人が「日本人に嫌われてる?」と思う瞬間
外国人が「日本人に嫌われてる?」と思う瞬間 カン・アンドリュー・ハシモト/アメリカ・ウィスコンシン州出身。英会話教室や東京都内の小学校で英語を教えた経験を持つ。音声・映像コンテンツ制作を手がける(株)ジェイルハウス・ミュージック代表取締役。著書に『3語でできるおもてなし英会話』(DHC)ほか多数(撮影/写真部・長谷川唯)  英語のスピーキングに自信がない……という人は少なくない。しかし、日本人エイゴでもポイントを押さえれば十分思いは伝わる。現在発売中の『AERA English 2017 Spring&Summer』(朝日新聞出版)で、バイリンガルのカン・アンドリュー・ハシモトさんが、そのポイントを解説している。そのなかから、いくつか紹介しよう。 *  *  *  カン・アンドリュー・ハシモトさんはアメリカ生まれ。学生時代は日本とアメリカを行ったり来たりして育った。母語は英語だ。20歳から日本で音楽の仕事をスタート。その傍ら日本人に英語を教える機会も持ち、英語教材の映像制作、脚本執筆などの仕事にも20年以上、携わってきた。そんなカンさんが、昨年、『本当はちゃんと通じてる! 日本人エイゴ』(アルク)を上梓した。 「日本人は英語のスピーキングに自信がないようだけれど、大丈夫だってことを伝えたかった」  カンさんが育った米・ウィスコンシン州は、スイスからの移民が多い土地。祖父母の代はフランス語を話す人が多く、フランス語訛りの英語を話す人が多かった。 「母語に影響された英語の発音をバカにするような感覚はないよ。だから、日本語訛りの英語だって、全然問題ない。僕と同じ感覚のアメリカ人は絶対に多いと思うよ」  カンさんは、中学、高校で学ぶ英語の基礎があれば、会話では十分通じる、と続ける。 「アメリカ人は小さいころからスピーチやディベートの練習をさせられるけれど、話す上でいちばん大切なのは、言いたいことを短くシンプルにまとめることだって教わってきた。まわりくどい話し方よりも、中学英語の基礎だけを使ったシンプルな話し方は、アメリカ人にむしろ好まれるよ。教科書の表現はold-fashionedじゃないかっていう心配は無用。どんな場合でも使える、スタンダードなものばかりだから」  ポイントは、完璧を求めないこと。 「90点は“惜しい”じゃなくて、“Well done!”だと僕は言いたい。ネイティブスピーカーじゃない人が完璧に話せないのは当然だって!」  スピーキングは、相手に推測してもらえる部分も十分に利用すればいい、とカンさん。 「例えば日本人は、単数形と複数形の使い方がわからないってよく言うよね。日本語にはそういう概念がないのだから、仕方がないよ。会議の場で意見を聞かれたとき、“I have no ideas.”(案がありません)と言うのと、“I have no idea.”(さっぱりわかりません)って言うのでは、ニュアンスは確かに違う。でも、礼儀正しいまじめな日本人が“no idea”と言ったとしても、会議の場に何も考えてこないなんて、ありえない。ちょっと言い間違えたんだろうなって想像できる。多少の間違いは気にしないこと。そういうことを指摘するほうが、なんだかいじわるだなって僕は思う」  カンさんの仕事の現場では、英語のネイティブスピーカーと日本人とが一緒に作業を行うことが多い。仕事後、ネイティブスタッフからカンさんのもとに、ある共通の悩みが寄せられることが多いそうだ。「あの日本人スタッフは、僕(私)のことを嫌いなのか?」その真意とは……? 「目を合わせないで話すから。そういう日本人って案外多いんだ。英語を流暢に話す人でも、こういうケースは少なくない。僕たちは子どものころから相手の目を見て話すように教え込まれている。だから、目を合わせてもらえないとすごく不安になってしまうし、自分は嫌われているのかなって考えてしまう。これは日本人に気をつけてほしい点だね。相手の目をじっと見るのが恥ずかしいのかもしれないけれど、目を見ないで話すのは失礼にあたるよ。英語を話すときは、とくに注意してみてほしいな」  カンさんが気になるもう一つの点は、日本人が相手の名前をあまり呼ばないこと。 「英語では、会話の中で、文の最初や最後に相手のファーストネームを呼びかけるのが普通なんだ。“What do you think, Kan?”みたいにね。ささいなことのようだけれど、ネイティブは必ず心がけていること。だからこれも逆に名前を呼ばれないと、なんだか違和感を覚えるんだよね。意識すればそんなに難しいことではないと思うので、英語を話すときは、ぜひ取り入れてみてほしい。名前を呼ぶだけで相手との距離がぐっと縮まるし、例えば仕事の上なんかでもプラスに作用すると思うよ」  さらにカンさんは、ボディーランゲージの大切さを指摘する。 「英語では身振り手振りをつけて話すのが普通。それも含めて、意味や気持ちを伝えるということなんだ。だから、身振りを加えていない場合は、その気持ちが“少ない”と思われてしまいがちなんだよね。身振りを加えると、本当にうれしいんだなって感じが増すでしょう? 急に身振りをつけて話せって言われても、難しいかもしれない。日本語を話すときよりは、少しオーバーに表現しようって意識するといいと思う。英語で話すとき、自分のキャラクターを変える必要はないけれど、少しだけ、英語の文化に近づく気持ちで、英語を話してみてほしい」  最後にカンさんはこうアドバイスする。 「僕が英会話教室の講師をしていたとき、上司からフリートークでは日本人生徒に“What do you think?”という質問をしないこと、と注意された。日本人は意見を述べるのが苦手だからという理由だった。でも、自分の意見なんだから、とやかく言われる筋合いはない。“I think”で話し始めればいいんだよ。自信を持って英語でどんどん話してみてほしいな」 (取材・文/岡田慶子) ※『AERA English2017春夏号』より
【連載】「パーフェクトブルー Tokyo Idol Portrait」
【連載】「パーフェクトブルー Tokyo Idol Portrait」  写真家・小野啓が、自らの視点で選んだアイドルたちを活写。「あえて笑顔を撮影しない」というスタンスで、アイドルたちのリアルを写し撮る。 使用機材:ペンタックス67II、マミヤ7II・90mmF2.8、80mmF4L・フジPRO400H *  *  * 神崎風花(sora tob sakana)神崎風花 (C)小野啓 【本人からのコメント】 ――sora tob sakanaのグループとしての特徴はどこにあると思いますか?  やっぱり楽曲だと思います。あと個人的に思うのが、いろんなジャンルのアイドルさんと対バンすることです。似ている楽曲のアイドルさんや、同じ事務所のアイドルグループ、同じレーベルメイトのアイドルさん、同い年くらいのアイドルさんなどいろんなジャンルのアイドルさんと対バンすることがあるので、そこも特徴かなと思います。 ――神崎さんはこの春、中学校を卒業されたそうですが、中学時代の思い出や、これからへの意気込みなどを教えてください。  あまり中学時代での思い出がないんですけど、同じクラスで勉強と部活の両立がうまくできてる子がいたので、そういう子を見習って高校生活では、勉強とアイドルの両立を頑張っていきたいです。 ――メンバーはみなさんお若いですが、「若いからできること」や「若いから難しいこと」などがありましたら教えてください。また、他のアイドルグループとの違いはどこだと思いますか?  私たちの妹分がもっと若いので、自分たちが若いと言われたら少し戸惑うのですが(笑)。年齢が低い分、ライブの出演時間が早まったり最後までライブを見学できなかったりするので、それは少しもったいないなと思います。よく大人の方に若いっていいねって言われますけど、あんまりそんなことはないです(笑)。 ――休日や、仕事がオフの日はどうやって過ごされていますか? 趣味や最近ハマっていることなどを教えてください 。  趣味は少女漫画を読むことです。いままでいろんな趣味があったのですが、大体飽きちゃって、「ずっと好き!」っていうものがあんまりなかったんですよ。でも漫画だけはずっと小さいころから飽きずに読んでます。最近は特に昔の少女漫画にハマってます。「ママレードボーイ」とか「天使なんかじゃない」がオススメです! ――その他ファンへ伝えたいことなど、ご自由にお願いいたします。  この春はsora tob sakana、右肩上がりに頑張るのでみなさんもsora tob sakanaについてきてください!! 【sora tob sakana(そらとぶさかな)・プロフィール】 2014年7月21日に結成された平均年齢14歳のユニット。メンバーは、風間玲マライカ(れい)、神崎風花(ふうちゃん)、寺口夏花(なっちゃん)、山崎愛(まな)の中学生、高校生4人からなるユニット。照井順政(ハイスイノナサ、siraph etc)による楽曲は、ポストロックとエレクトロニカを基調にした物語性が強いものとなっており、メンバーの表情豊かでまっすぐなパフォーマンスとの融合で独特の世界感を生み出している。4月30日にはリキッドルーム(恵比寿)でワンマンライブ開催予定 【ライブ・イベント情報】 ●4月22日(土) HMV 大宮アルシェ(埼玉県さいたま市大宮区桜木町2-1-1) 「sora tob sakana/cocoon ep」CD発売記念インストアイベント イベント開始時間:15:00 ●4月23日(日) 恵比寿CreAto(東京都渋谷区東3丁目14-19 オークヒルズB1F) sora tob sakana定期公演 ~月面の遊覧船~ 30匹目 12:00開場 12:30開演 ●4月30日(日) LIQUIDROOM(東京都渋谷区東3-16-6) sora tob sakana 単独公演「月面の音楽隊」 14:15開場 15時開演 ※その他、詳しい情報は、sora tob sakana official HPをご覧ください! http://zizoo.jp/soratobsakana/ おの けい:1977年京都府出身。2002年より日本全国の高校生のポートレートを撮り続けている。写真集『青い光』で注目され、集大成となる『NEW TEXT』で「写真の会」賞受賞。『桐島、部活やめるってよ』(朝井リョウ)、『アンダスタンド・メイビー』(島本理生)など装丁写真も手がける。『うたうとは小さないのちひろいあげ』(村上しいこ)の表紙にはBELLRING少女ハートのメンバー、甘楽をモデルとして撮影した写真が使用された。また、乃木坂46「ハルジオンが咲く頃」のジャケット写真も手がけている 受賞暦 03年、富士フォトサロン新人賞奨励賞 06年、第26回写真『ひとつぼ展』入選、ビジュアルアーツフォトアワード大賞 14年、写真の会賞 「パーフェクトブルー Tokyo Idol Portrait」の記事一覧
絶品ご当地グルメが味わえる美術館は?
絶品ご当地グルメが味わえる美術館は? ...館内にある「ル ミュゼ ドゥ アッシュ KANAZAWA」は、石川県出身であり、スイーツの世界大会で数多く優勝しているパティシエ・辻口博啓さんがプロデュースするカフェです。ここでは、「珠洲の揚げ浜天然塩」や「輪島産発芽玄米」など、能登や金沢の天然素材を使ったメニューが見受けられるそう。...
第72回『ライヴ・イン・ジャパン1996』ベルリン・コンテンポラリー・ジャズ・オーケストラ
第72回『ライヴ・イン・ジャパン1996』ベルリン・コンテンポラリー・ジャズ・オーケストラ 『ライヴ・イン・ジャパン1996』ベルリン・コンテンポラリー・ジャズ・オーケストラ  1996年は前年から23組減となる114組が来日した。10~11年前の水準だ。29組で首位となる新主流派/新伝承派/コンテンポラリーと、26組のフュージョン/ワールド/スムーズ、同数の主流派とは大差ない。18組のヴォーカル、7組のフリー、6組のモダン・ビッグバンド、各1組のトラッド/スイングが続く。下げ幅が大きいのは14組減のフュージョン~と7組減の新主流派~だ。あとの順位は前年から変わらない。  参加作は前年から2作減の23作で、1作はスタジオ録音とライヴ録音に二分される。重複して数えると、ホール/ホーム録音を含むスタジオ録音は14作、日本人との共演は13作で3作が和ジャズだ。ライヴ録音は10作、日本人との共演は6作あり和ジャズは1作のみ。和ジャズ1作と長期滞日者の2作を除く候補作7作から、ベルリン・コンテンポラリー・ジャズ・オーケストラの『ライヴ・イン・ジャパン1996』を取り上げる。選外作の評価や除外要件はデータ欄の【1996年 選外リスト】をご覧いただきたい。  同オーケストラはベルリン市の後援により1987年に結成された。アレキサンダー・フォン・シュリッペンバッハと夫人の高瀬アキが率いたフリージャズ・ビッグバンドだ。約10年間にわたって活動し、1989年にECM盤を、93年にFMP盤を、96年に推薦盤を残している。ラスト作となる推薦盤は唯一の来日時に神戸と東京で録音された。総勢18名、日本から五十嵐一生(トランペット)ら5名が臨時で参加した欧日混成だ。プログラムは同夫妻のオリジナルと、ジャズやブルースのオリジナルに二分されている。作品至上でもインプロ至上でもなく新旧の素材を独自の調理で供するというお膳立てだ。  幕開けは高瀬編曲の《エリック・ドルフィー・メドレー》、3部構成で17分に及ぶ。  〈ザ・プロフェット〉は厚くブリリアントなテーマ合奏に始まり、ゲルト・デュデック(テナー)、ヘンリー・ロウサー(トランペット)らの真っ当なソロがスポットされる。見せ場はポール・ラザフォード(トロンボーン)とポール・ローヴェンス(ドラムス)のフリーデュオだ。第一人者がブリブリ言わせたあと、短いテーマ合奏から次に滑り込む。  〈シリーン〉はテーマ合奏抜きで、鬼才エヴァン・パーカー(ソプラノ)が切り込む。重音奏法と循環呼吸法によるグチョングチョンのフリーインプロで咆哮しまくったあと、デュデック(クラリネット)とルディ・マハール(バスクラ)を従えテーマとドルフィー流!のソロを吹奏して片山広明(バリトン)と交代し、3管のテーマ合奏で次につなぐ。  〈ハット・アンド・ベアード〉は夫妻のフリーデュオがひとしきり、マハールを先導役に厚いテーマ合奏に入る。原曲の跳ねるような感覚を祝祭感に変換した心浮き立つ合奏だ。夫妻とデュデック(クラリネット)のフリーインプロを経て賑やかなテーマ合奏で終える。  シュリッペンバッハ作の《モーロックス》は夫妻のフリーデュオに始まり、集団即興、林栄一(アルト)の高速無伴奏ソロ、集団即興で締める。林のブチ切れぶりと暴風逆巻き混沌渦巻く集団即興が実に痛快、60年代アヴァンギャルドをも彷彿させる奮闘巨編だ。  《詩情の哀》はコルトレーン作の《至上の愛》をモチーフにした高瀬のオリジナルだ。お馴染みの反復フレーズを片山が唱え、伸びやかなテーマ合奏、デュデック(テナー)のトレーン流のソロ、剣呑な空気がおおう集団即興が続き、片山の反復フレーズで終える。トレーンの抹香臭さとは無縁で、第一級のパロディと呼びたくもなるハッピーな演奏だ。  W・C・ハンディ作の《ウェイ・ダウン・サウス・ホエア・ザ・ブルース・ビガン》はシュリッペンバッハの編曲。ソロ・ピアノに始まり、ロウサーがテーマを吹奏、そのままテーマ合奏をリードする。やがてブルージーな曲想は見世物小屋風に一変し、マハール、片山がソロをとり、集団即興やデュデック(クラリネット)の囀りを交えた合奏のあと、ご陽気なテーマ合奏で締めくくる。緻密にしてワイルド、無闇に楽しい。本作の白眉だ。  シュリッペンバッハ作の《ジャックハマー》はモダンジャズの流儀にのっとっている。ストレートアヘッドと言っていいだろう。夫妻のテーマ連弾に始まり、テーマ合奏を経て主にトリオをバックにラザフォード、林、デュデックほか(テナー)、ロウサーのソロが続き、テーマ合奏で終える。主要ソロイストのショーケースとして楽しむに如くはない。  ラストはずばり《グッドバイ》だ。ベニー・グッドマン楽団のクロージング・テーマで締めるとは洒落が利いている。フリージャズの雄、ウィレム・ブロイカーの編曲とあって身構えたがオーソドックスで拍子抜け。甘くおセンチに仕上げて頬が緩むクローザーだ。  フリージャズだが懸念するには及ばない。花も実もある前衛エンターテインメントだ。とはいえ、ベイシー風の醍醐味を求めてはいけない。このオーケストラの面白さは至ってオーソドックスな合奏とフリーインプロの対比の妙と、それらの配置と配分の妙にある。サービス精神に溢れるオーケストラによるドルフィー、ハンディ、グッドマンの有名曲に夫妻のオリジナルというアトラクションを巡るジャズのテーマパークとして楽しみたい。 【1996年 選外リスト】fine>good>so-so>poor Untold Stories/Elements (Wavetone/?) good Tokyo '96/Keith Jarrett (ECM/March 30) good+ Ki/Werner Ludi (Intakt/April 20) good, *1 Two Chaps/Evan Parker & Motoharu Yoshizawa (Chap Chap/April 29) good+ Konnichiwa! II/Climax Jazz Band (Tormax/May 3-6) good~ Unaccompanied Live in Yokohama/Lee Konitz (P.S.F./October 24) good+ *1: compi (1995,96), 1/2 on the date, 1/2 at studio in Zurich. ※評価は当該演奏のみ。 【収録曲】 1. Eric Dolphy Medley: The Prophet - Serene - Hat and Beard 2. The Morlocks 3. Shijo No Ai 4. Way Down South Where the Blues Began 5. Jackhammer 6. Goodbye Berlin Contemporary Jazz Orchestra: Alexander von Schlippenbach, Aki Takase (p, cond, comp, arr), Thomas Heberer, Henry Lowther, Axel Dorner, Issei Igarashi (tp), Marc Boukouya, Paul Rutherford, Wolter Wierbos, Haruki Sato (tb), Walter Gauchel (ts), Evan Parker (ts, ss), Gerd Dudek (ts, ss, fl, cl), Rudy Mahall (bcl), Eiichi Hayashi (as), Hiroaki Katayama (ts, bs), Nobuyoshi Ino (b), Paul Lovens (ds). Recorded at Shin-Kobe Oriental Theater, Kobe, on August 6, 1996 except track 2 at Nakano ZERO Hall, Tokyo, on July 31, 1996. 【リリース情報】 1996 CD Live in Japan '96/Berlin Contemporary Jazz Orchestra (Jp-DIW) ※このコンテンツはjazz streetからの継続になります。 ※掲載当初、3段落目に「(BCOJ)発足時はベルリンのミュージシャンだけで編成されていたが」という記述がありましたが、誤りがあったため削除しました。BCOJには最初のコンサート時からベルリン以外に住むミュージシャンも在籍していました。お詫びして訂正に替えさせていただきます。(2017年4月16日 記)

カテゴリから探す