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疲れが取れないのは「貧血」が原因のことも 漢方専門医に聞く女性の「疲れ対策」
疲れが取れないのは「貧血」が原因のことも 漢方専門医に聞く女性の「疲れ対策」
※写真はイメージです  コロナ疲れやリモートワーク疲れ、さらには年末の忙しさも加わって、疲れを抱え込んではいませんか?疲れが解消できないのは、ケアの仕方が間違っているのかもしれません。今回は漢方の観点から女性の疲れをタイプ分けし、その対策を紹介していきます。東京女子医科大学附属東洋医学研究所所長の木村容子先生にお聞きしました。前編・後編にわたってお伝えします。(自分で自分の健康を守るための健康情報を発信する「セルフドクターWeb」より転載) *  *  * 女性は35歳を過ぎると疲れやすくなる!?  女性ホルモンの影響を強く受けている女性の体。ホルモンバランスの変動が大きい時期や年代には、より疲れやすくなるといえます。女性ホルモンの変動が大きい時期の代表といえるのが、月経前。体温が高くなり、だるさや眠さ、疲れを感じやすくなります。これは「活動的にならないで」という体からのサインですから、サインに従って無理をしないことが大切です。  更年期になると、女性ホルモンの分泌量が急激に減り、ホルモンバランスが乱れやすくなります。女性の更年期は閉経前後の10年間を指し、一般的には45~55歳頃。ただし、ある日を境に急に更年期に入るわけではなく、女性ホルモンの分泌量は30歳前後をピークに、下降線をたどっていきます。「30代後半ともなれば女性なら誰しも、疲れやすさが気になり始めます」と木村容子先生は言います。 頑張り過ぎると老ける!?  漢方では古くから、女性は7年、男性は8年周期で体が変化すると考えられています。女性は28歳、35歳、42歳、49歳と7年周期で体が変化。体が最も充実する28歳をピークに、以降は「気(氣)」が減っていくと考えられています。28歳以降は徐々に「エネルギー(気)」が減っていきますから、20代でできたことが40代や50代ではできなくなるのは当然なのです。  こういった年齢変化を受け入れられない人は、「こんなはずじゃない……」とさらに頑張ってしまい、エネルギーを余計につかって、疲れやすい体になってしまいます。もともと体力のある人ほど、このような傾向があるそうです。加齢と共に疲れやすくなるのは、体の仕組みとしては当然のこと。そこでさらに頑張るのではなく、小さなエネルギーでも疲れないような工夫、疲れをこまめにケアすることが大切です。「特に女性は頑張り過ぎると疲弊し、老けてしまいます」と先生。キレイと健康のためにも賢い疲れ対策が必要です。 監修/木村容子先生 多くの女性が抱える「貧血」も疲れの原因に  貧血を原因とする疲れも女性特有のものです。貧血の多くが、体内の鉄が不足するために起こる「鉄欠乏性貧血」。月経によって毎月、血液を失う女性は、半数以上が貧血、あるいは貧血予備群ともいわれています。  鉄欠乏性貧血は、鉄が不足することで全身に酸素を運ぶ赤血球中のヘモグロビンがうまくつくれなくなり、体の酸素欠乏を招くというものです。貧血の症状は様々で、疲れの他、肩こりや肌荒れ、爪の変形などを引き起こします。また、鉄は皮膚のコラーゲン線維の生成にも必要なミネラル。鉄が不足すると肌の健康も損なわれて美容面にも影響します。  鉄欠乏性貧血の予防・改善には、食事が大切です。レバーや肉類、魚類に多く含まれるヘム鉄は吸収率がよいのでおすすめ。海藻類や野菜、大豆などに含まれる非ヘム鉄を摂る時には、鉄吸収を促進するビタミンCを多く含む食物と一緒に摂ると効果的です。  1日に必要な鉄摂取量は、月経のある女性の場合10.5~11mg。ただ、月経で30~80mLの出血があると、毎月15~40mgの鉄が喪失(血液1mL中に鉄約0.5mg含有)するため、食事だけは十分に摂取しにくいこともあります。この場合は、鉄分を配合したサプリメントやドリンク剤を上手に活用しましょう。 漢方における疲れは、「気」や「血」が不足した状態  漢方では、「気(き)・血(けつ)・水(すい)」を体の構成要素と考え、この3つのバランスが整っている状態を“健康”と考えます。「気」は生命活動の源となるエネルギー、「血」は血液、「水」はリンパ液や汗などの体液を意味しています。疲れは主に「気」や「血」が不足した状態です。  検査値に異常はないが「疲れやすい」「疲れがとれにくい」といった不調段階(未病)から治療に取り組めるのが漢方の特徴です。漢方が疲れにアプローチする場合、まずは不足分を補うことからスタート。最終的には、「気・血・水」の3つがバランスよく体内を巡ることを目指します。 疲れ対策の基本は、睡眠をしっかりとること 「気・血・水」は同列かというと、違います。「血」や「水」はいわゆる物質。物質を動かすにはエネルギーが必要です。そのエネルギーとなるのが「気」で、一番重要。疲れのケアとしては、不足した「気」を補うことが何より優先されます。 「漢方では、『気』を補うものは“食事”と“睡眠”と考えています。この2つのうち、優先すべきは睡眠。疲れている時は胃腸が弱っていることも多く、そこで無理に食べると消化・吸収のためにエネルギー(気)をつかってしまい、かえって疲れを助長してしまう可能性もあります」と木村先生。多忙な日が続いた後や、月経中などの疲れやすい時は、意識的に早く床に就き、普段よりも長く睡眠をとってエネルギーをチャージするようにしましょう。 「疲れを感じているうちは、まだよいほうです。疲れが慢性化すると、疲れに対して鈍感になり、疲れを感じにくくなってしまいます。また、疲れそのものよりも、冷えや肩こり、胃腸の不調、頭がボーッとするなど、多様な症状を訴えるように。こういった様々な症状の背景に、疲れが隠れていることが多いのです」と木村先生。疲れが慢性化すると虚弱状態が進行し、気力がなくなり、体も思うように動かなくなり、年齢以上に老け込んだ感じになってしまう恐れがあると言います。また、抑うつ状態など精神面にも悪影響を及ぼしてしまうこともあるそうです。  そうならないためにも、疲れはこまめに解消することが大切です。その日に消耗したエネルギー(気)は、その日のうちに十分に睡眠をとってチャージすることを心がけましょう。 30代半ば以降は、エネルギーの無駄づかいをしない 「女性は体のピークを過ぎた30代半ば以降は、エネルギー(気)の無駄づかいをしないこと。具体的には、家事も仕事も何でも100%こなそうと思わないことです。10代や20代の頃よりエネルギー(気)は確実に小さくなっています。何事も力任せで行うのではなく、経験に基づき、常に物事に優先順位をつけることが大切です。今、一番やるべきことは何かを考えて、意識して力を抜くことがポイントです。頑張るこがよいことだと思っている人は発想の転換が必要です」。  無理して頑張らないのが疲れないコツ。これは老化の予防にもつながります。賢く力を抜いて、明日の元気をつくりましょう! 後編<<あなたの「疲れ」は6タイプのうちどれ? 漢方専門医が教えるチェックリストと対処法>>に続く 監修/木村容子(きむら・ようこ)先生 東京女子医科大学附属東洋医学研究所所長、教授。お茶の水女子大学卒業後、中央官庁入省。英国オックスフォード大学大学院留学中に漢方と出会い、帰国後退職して東海大学医学部に学士入学。2002年より東京女子医科大学附属東洋医学研究所に勤務。医学博士。日本内科学会認定医。日本東洋医学会理事、専門医、指導医。著書に『女40歳からの「不調」を感じたら読む本』(静山社文庫)、『太りやすく、痩せにくくなったら読む本』(だいわ文庫)、『ストレス不調を自分でスッキリ解消する本』(さくら舎)他。 セルフドクターHP
セルフドクター
セルフドクター 2021/12/28 09:00
「ウマ娘」だけじゃない若い女性が競馬にハマる理由【独自アンケート発表】
「ウマ娘」だけじゃない若い女性が競馬にハマる理由【独自アンケート発表】
女性限定の休憩エリア「UMAJO SPOT」で競馬新聞片手に予想をする女性たち(2015年) 競馬好きの男性編集者によると、最近の競馬場はコロナ下で入場制限されているにもかかわらず、「おじさんより若い女性やカップルが目立つ」という。競馬に関する調査でも20代女性の4割は競馬に関するコンテンツに触れたことがあり、15%が馬券を購入したことがあるという。地方競馬場には放課後の制服姿の女子高生の姿まで……。競馬に若い女性を引き付ける背景には何があるのか。識者や競馬関係者に話を聞いた。 *  *  * 調査メディア「STRATE」が、20~29歳の男女400人を対象に「競馬に関するアンケート」を実施すると、「競馬に関するコンテンツを視聴・利用したことがある」と回答した20代女性は41.5%に上ることが分かった。「馬券を実際に買ったことがある」20代女性も15%いた。  競馬メディア『Pacalla(パカラ)』編集部の鑓(やり)由希子さんによると、「女性の競馬人気は昨今急にというよりは、じわじわと関心が高まってきた結果」だという。 「2013年頃から、JRAは『UMAJO(ウマジョ)』という若い女性向けの施策を始めていて、その成果が表れてきた結果だと思います。それまでは、女性が競馬のポジティブな情報に触れることは少なかったのですが、CMや女性誌とのタイアップ、女性タレントの競馬予想など、メディアを通して触れる機会が徐々に増えてきました」  さらに、インスタグラムなどのSNSが普及したことにより、これまで女性が立ち入りにくかった競馬場の様子が開かれ、情報として目に触れやすくなったことも大きい。競馬場でも女性を呼び込むために「映え」を狙った工夫をしているようだ。 「JRAの競馬場には女性専用のリラックススペース『UMAJO SPOT』があり、ワンドリンクのサービス等があります。また、食べるのがもったいないくらいかわいい馬をモチーフにしたケーキの販売なども。他にも内馬場で行われるグルメイベントや、東京競馬場ではアンダルシアンのホースショーも女性に喜ばれることが多いです」(鑓さん) 大井競馬場の大規模イルミネーション。デートスポットにもなっている(撮影/岩下明日香)  地方競馬の大井競馬場(東京都品川区)では、3年前から冬季限定で大規模なイルミネーション「東京メガイルミ」を開催。都心からアクセスしやすく、敷地の広い野外なのでコロナ下でも密を避けながら楽しめるスポットとして人気となっている。平日は学校帰りで制服姿の女子高生やカップル、休日はファミリーでにぎわうなど広い層に親しまれている。  東京都競馬株式会社のイルミネーション事業推進室の担当者は言う。 「競馬場といえば、カップ酒に赤鉛筆を耳にかけながら競馬新聞を握りしめる中高年男性が集まる場所というイメージでしたが、ここ数年は若年層や女性のご来場も多くなってきています。イルミネーションを機に競馬場がどういうところかを知ってもらい、認知度向上やイメージアップにつながっていければと思っています」  また、「ネット流行語」大賞にもなったゲーム「ウマ娘」の大ヒットも追い風となっている。ゲームエイジ総研が4月に発表した調査によると、「ウマ娘 プリティーダービー」のアクティブユーザーは206万人おり、男女比は88:12で、約25万人もの女性ユーザーがいることがわかっている。女性にとっては、ゲームが競馬との最初の接点になっていることも考えられる。  鑓さんによると、競馬に興味を示す女性はそもそもスポーツ観戦好きな場合も多いという。 「私に『競馬場に行ってみたい、連れてって!』と声をかけてくれる女性はスポーツ観戦が好き、特に野球好きの女性が多い気がします。私はもともと『馬が好き』から競馬に入っていますが、G1でのスタンドの一体感はスポーツ観戦としての魅力を感じますし、競走馬を“推し”のスポーツ選手みたいな感じで応援している女性は多くいると思います」 ■ベストオブ珍名馬に選ばれたのは?  もうひとつ、競走馬らしからぬポップな馬名が増えていることも、競馬ファンの裾野を広げているのかもしれない。「オニャンコポン」「オレデイイノカ」「ナオミニデレデレヤ」などの一風変わった名前の競走馬が活躍し、若者を中心に度々SNSで話題になっている。 AERA dot.がアンケート調査した「珍名馬レース」の結果(図表作成/岩下明日香)  そこで、AERA dot.では「珍名馬レース」と称して、インターネット上で好きな珍名馬をアンケートを行った(期間は11月16日~12月20日、回答数は111)。回答者は男性6割、女性4割となり、ここでも女性の関心の高さがうかがえた。年代別には20代と40代がそれぞれ27%、50代が23%、30代が17%だった。  アンケート結果は、「オヌシナニモノ」と「スモモモモモモモモ」が、それぞれ15票を獲得して同列1位。「オヌシナニモノ」を選んだ理由としては「初めて聴いた時、時代劇ファンの実況アナが叫んでいると思って大笑いしたから」(40代女性)などが挙がった。「スモモモモモモモモ」を選んだ人からは「名前はかわいいのに、一般人でも言いにくいから、実況アナはもっと大変だろうな。レース実況される方々をねぎらいたくなる」(50代女性)といった声が寄せられた。  「オヌシナニモノ」の馬主であるニットー商事の社長占部恵太さんは、「選んでもらえてうれしい」と語り、名前の由来をこう明かす。 「馬が生まれた当歳時、見た瞬間にすごみを感じました。前日に見た時代劇が頭をよぎり、その時の感動をそのまま馬名にしました」  一方、「スモモモモモモモモ」の馬主である井上久光さんは馬名をつけた時のことをこう振り返る。 「職場にスモモ(本名)という名前の若い女性がいて、たまたまスモモちゃんから『私の名前をつけて』と言われたんです。『スモモ』や『モモ』は既にいる馬名で、馬名審査に通らないだろうと思い、昔からある早口言葉の『スモモも 桃も桃のうち』から8個の『モ』をつけました。ちょっと実力は足りない馬ですが、名前でみんなから愛されていて、とても感謝しています」  26日には1年の締めくくりとなる「有馬記念」が開催される。有馬が引退レースとなる5歳牝馬の「クロノジェネシス」が有終の美を飾れるか注目が集まっている。今年の競馬界は最後まで「女性」が中心となりそうだ。(AERA dot.編集部 岩下明日香)
ウマ娘有馬記念珍馬名競馬
dot. 2021/12/26 10:00
天龍さんが振り返る“2021年” 共に戦った風間ルミさんの急逝、「ジジイ」呼ばわりした武藤敬司
天龍源一郎 天龍源一郎
天龍さんが振り返る“2021年” 共に戦った風間ルミさんの急逝、「ジジイ」呼ばわりした武藤敬司
天龍源一郎(てんりゅう・げんいちろう)/1950年、福井県生まれ(撮影/写真部・掛祥葉子)  50年に及ぶ格闘人生を終え、ようやく手にした「何もしない毎日」に喜んでいたのも束の間、2019年の小脳梗塞に続き、今度はうっ血性心不全の大病を乗り越えてカムバックした天龍源一郎さん。人生の節目の70歳を超えたいま、天龍さんが伝えたいことは? 今回は「2021年を振り返る」をテーマに、つれづれに明るく飄々と語ってもらいました。 *  *  *  2021年で一番大きなことは、女子プロレスラーの風間ルミが亡くなったことだなぁ。2021年の振り返りと聞いて、しばらくはそれしか思いつかないくらいだったよ……。彼女とは俺がWARを旗揚げしたときからの縁でね。WARを立ち上げたはいいが、目玉カードもなく、いい選手もいなくて、新日本プロレスや全日本プロレスにお客さんを食われてジリ貧なとき、LLPWの彼女に女子選手を入れてにぎやかにしたいと相談したら、快く協力してくれたんだ。それからWARや天龍プロジェクトでは女子選手も出るようになり、男子とも試合をやるっていう興行形態を確立できた。  彼女はLLPWで、日本のプロレス団体で初めて女社長になってね、ビジネスはビジネスで割り切るけど、甘えるところは甘えて、女性としてのかわいらしさも常に持っている人。神取忍が参議院議員になったときは公設秘書をやったりもしたよね。性格がよくて気持ちいい人で、楽ちゃん(現・三遊亭円楽)とパチンコ店経営してる岡ちゃんと俺のいつも飲み歩いているグループのみんなも風間社長のことが好きだったなぁ。人に媚びるわけじゃなく、自分の物差しでしっかりバランスを取って人に接するから、結果的に人付き合いがよくなる。経営者としても優秀だったと思うし、選手としてうちの団体に出るときは、あの150センチちょっとしかない小さなからだで、一生懸命練習してたね。  あんな小さいからだでキックボクシングもやっていたりと、生命力、生活力のある人で、なんでも自力で生き抜く人だと思っていたから、亡くなったと聞いたときはショックというか、びっくりした。三沢(光晴)のときもそうだったけど、死ぬなんて思っていない人が亡くなると、余計にショックだね。ここ7~8年は会ってなかったけど、てっきり今でもそのへんの社長を手玉に取っているんだろうなって思っていたからね……。本当に残念だよ……。 乾電池!? 天龍源一郎は実は電池で動いているとジョークのカット(天龍源一郎公式インスタグラム@tenryu_genichiroより)2022年天龍プロジェクト大阪進出決定!『Osaka Crush Night 2022』【チケット】12月19日12:00~先行販売開始 https://www.tenryuproject.jp/product/517 【開催日時】2022年2月12日(土) ※大阪大会は2部構成となっております。ご購入の際にお気を付けください。1stCrush12時開場/GONG12:30/2ndCrush16時開場/GONG17:00【会場】 大阪・176BOX  (大阪府豊中市庄内東町5丁目7-25)【チケット料金】(前売りチケット)※当日券は500円UP/全席自由席…4,000円/限定100名様のみ入場可/《2ndCrush》▽特別リングサイド…8,000円(最前列)▽リングサイド…6,000円(2列目)▽指定席A…5,000円▽指定席B…4,000円  その一方で刺激を受けることも多かったね。例えば、武藤敬司の活躍もずいぶん刺激になっている。俺が50歳近い年で武藤が持っているIWGPのベルトに挑戦したとき、あいつは「なんでこんなジジイとやらなきゃいけないんだ」って文句言っていたけど、今じゃあ、当時の俺の年齢をとっくに追い越しているだろう。吐いたツバは自分に戻ってくるんだぞ、わかったか!(笑)  改めて、2021年は、病気とか入院とか、いろいろあったけど、71歳にしたらこんなもんだろう。順調だったと思うよ。それよりも、振り返るとここ数年でいろいろなことをした1年だったね。天龍プロジェクトで毎月大会を開催しているから、その大会に向けて動かされて、毎日忙しくしていて、終わったらほっこりする。メリハリがあって、気持ちの中で躍動感も出てきたと思う。選手に触発されて、会場内を歩き回ったり、運動したりしてね。選手にただのジジイだと思われたくなくて、動いちゃうんだ(笑)。  2020年はコロナで外出もままならなかったが、そのせいでプロレスの試合がなかなかできないレスラーに活躍の場をあげたいと思って天龍プロジェクトを再始動させたんだから、なにがどう転ぶかわからないもんだ。やり始めたからには、コケて笑われたくないという気持ちもあるし、なにより続けることによってレスラーに恩返しができることが大きい。生きているうちに恩返しだ。ほら、引退したプロレスラーだって、今の現役レスラーに対して、なにもしていないやつ、いっぱいいるだろう(笑)。  まあ、いらん金もかかるし、自分自身や家族の食い扶持(ぶち)だけ稼げればいいっていうんだったら、俺もやらないけど、そうじゃないっていう決断だ。代表(※娘の紋奈さん)はいつも旦那に「ビジネス的にはバカだ」って言われているよ。本当、儲からないんだもの(笑)。それでもやるのは「情けは人のためならず、巡り巡って己がため」ということわざがどんなもんか実証してやろうと思っているからだ。俺の人生もあと何年か、死ぬ間際になって「あれは嘘だったのか!」とならないといいが……。  天龍プロジェクトの大会ではほぼ毎試合、2時間くらい解説としてしゃべっているけど、不思議なもんで、そのことが俺に活力を与えてくれる。いい試合を見れば満足感も得られるし、逆に下手な試合を見せられると腹が立つ。普段の生活とは違った形で喜怒哀楽が生まれて、これはきっと、クラシックを聴いてリラックスしたり、絵画を鑑賞したりして頭が活性化されるのと同じなんだと思う。俺にとってのそれがプロレスだ。河野(真幸)のジャンピングニーパッドを見て、ジャンボ鶴田の姿を思い出したりね……。  出場しているレスラーには、この天プロのリングを踏み台にして、どんどん上に登っていってほしい。彼らにパフォーマンスの場を与えたくて大会を開催しているが、ここで満足していてはダメなんだ。会場を借りている新木場1stリングには悪いが、引退間近の2013年ころに初めてこの会場に来たときは「なんだここは……俺もついにこんな小さい会場で試合するまで落ちたのか……」と愕然としたもんだよ(笑)。  この会場を踏み台にして、両国国技館でメインを取ろうとか、そういう気持ちでやってほしい。世間の目なんてもんは「所詮、プロレスなんて……」という気持ちで見ている人もいるだろうから、それ以上のすごい戦いを見せて、思わず身を乗り出してしまう、声を上げてしまう、拍手してしまう、そういう試合を見せなきゃいけないことを忘れないでほしい。「俺のパフォーマンスを見に来ているんだろう」という気持ちでやっていたら、お客さんに痛いしっぺ返しを食らうことになる。それがプロレスなんだ。そういう意識改革を天龍プロジェクトで若いレスラーに植え付けたいね。  今年、天龍プロジェクトに出ていて、俺が一番印象的だったのは、レイパロマというレスラーだ。あいつは衝撃的だった! 最初は彼のことを全然知らなくて、代表が外国人レスラーをブッキングしたと思っていたら、派手なかっこうをした日本人の小さいおっさんが出てきて驚いたよ! しかも、入場曲は沢田研二の「ストリッパー」で、一丁前に照明の演出まで入れて、リングを一周してから入場するんだよ、会場のイスくらいの身長しかない小さいおっさんがカッコつけて(笑)。試合中も、絶妙なタイミングで尻をポロっと出したりして、最初見たときは「なんだこの野郎、ふざけやがって!」と思ったけど、俺がいつの間にかどんどんハマっちゃって(苦笑)。身内はレイパロマの試合中は、俺を見ているらしい。ずいぶん楽しそうに見ているからって(笑)。  今の若い選手は小利口というか、枠をはみ出さないで、バカをやらない、小さくまとまっている気がするんだよ。相撲もそうだしね。なんだろう、夢が見られない社会になったのか、夢見させないように抑えつけているのかわかんないけど、小さくまとまっちゃって。プロレスが好きで、この職業を選んで、こんなに痛い思いをしているんだから、もっとハジけて突き抜けてくれよ! そうじゃなきゃ自分がかわいいそうだろう。天龍プロジェクトのリングでハジけて、メジャー団体からピックアップされるようになってくれ!  俺は、レスラーは一気にトップを狙って、ドーンっとステージを上げられるだけ上げたほうが絶対にいいと思う。いきなり上に上げられて、そこで苦労して、工夫した方が、下で地道にやっていくよりもよっぽど身になる。下で地道にやっていると、嫌なことや駆け引きを覚えて、こすられて、小さくまとまって、なんとなくなレスラーになってしまう。パっとトップに行った人は、そういう人にしかない華やかさがあって、怖いもの知らずで、お客さんにとってもそれが魅力になるんだ。地道にやってきた人は、そこがなにか違う。  ビシっといい服を着ているんだけど野暮ったい靴をはいているような、こすられたものを背負っているのが見えるんだよね。「自分はまだそのポジションじゃない」って思っても、地位が上がったらそこでも意外にこなせるもんなんだよ。苦労して地位が上がるんじゃなくて、地位が上がってから苦労するんだ。それに、高みから世間を見たら、気持ちがいいもんだよ。  天龍プロジェクトはこのまま転がしていって、出ている選手が新日本や全日本、NOAHなんかのメジャー団体にピックアップされて、そこのチャンピオンと戦える選手に育ってくれれば、こんなに嬉しいことはないし、やっている甲斐があるってもんだ。今はそんな選手の成長を見ていたいという親心もあり、目標であり、楽しみだ。レイパロマが新日本のリングで尻を出したりしたら最高じゃないか(笑)。新日本にその度量があればだけどな!   レスラーは40歳になる前にハネないと大成しないと思っているから、今出ている若手の今後も見守りたいところだが、彼らが40歳になるまで俺は見届けられるか!? 2022年も引き続き、毎月大会を開催する予定だが、ダメだと思ったらすぐ止めるよ。明日には大会も止めて、レイ・パロマにも飽きているかもれない。天龍プロジェクトは三菱鉛筆と一緒、削るのは簡単だからな! では、みなさん、よいお年を! 来年もよろしく! (構成・高橋ダイスケ) 天龍源一郎(てんりゅう・げんいちろう)/1950年、福井県生まれ。「ミスター・プロレス」の異名をとる。63年、13歳で大相撲の二所ノ関部屋入門後、天龍の四股名で16場所在位。76年10月にプロレスに転向、全日本プロレスに入団。90年に新団体SWSに移籍、92年にはWARを旗揚げ。2010年に「天龍プロジェクト」を発足。2015年11月15日、両国国技館での引退試合をもってマット生活に幕を下ろす。
プロレスレイパロマ天龍プロジェクト天龍源一郎武藤敬司相撲風間ルミ
dot. 2021/12/26 07:00
福原愛が一般男性と熱愛報道「マイナスイメージは払拭できない」の指摘
福原愛が一般男性と熱愛報道「マイナスイメージは払拭できない」の指摘
福原愛  卓球女子元日本代表で、現在は解説者やタレントなど幅広く活動している福原愛(33)。今年7月に卓球元台湾代表の江宏傑氏との離婚が発表されてから5カ月あまりで、一般男性との熱愛が報じられた。 「NEWSポストセブン」の報道によると、デートのお相手は福原が江氏と婚姻関係だった今年3月に「横浜デート」が報じられた5歳年下の男性会社員だという。2人は中華街でAさんと食べ歩きなどを楽しむ様子が伝えられ、1日目は2人で高級ホテルに宿泊。翌日は男性が愛さん宅に泊まったという。Aさんも既婚者だったことから「W不倫」と騒がれたが、福原はマネジメント契約を結んでいる「電通スポーツパートナーズ」でコメントを発表。自身が今年1月に個人事務所を立ち上げて助言を求めるために気分転換も兼ねて男性と会ったと説明し、「一緒の部屋に宿泊した事実はありません」と不倫関係を否定していた。  記事によると、男性は11月初旬に離婚。2人の交際がスタートしたのは11月下旬だという。この時系列が事実ならば不倫関係ではないが、「週刊文春」の取材に応じた男性の元妻は離婚の原因が、男性と福原の不倫報道であることを認めている。 「ダブル不倫だったかについて真相はわかりません。気の毒なのは福原さんと江さんの間にできた2人の子供です。2016年9月に結婚し、SNS上でラブラブの写真をアップするなど、おしどり夫婦として知られていた。2人の子供も赤ん坊の時から写真が出ています。現在長女は4歳、長男は2歳。子供は共同親権になったと聞きましたが台湾で生活しているため、日本にいる福原さんになかなか会えません。夫婦の形として離婚という選択肢は決して責められるべきではないですが、婚姻関係だった時に不倫騒動で話題になった男性と交際しているという記事を見た時は複雑な気持ちになりました。世間のマイナスイメージはなかなか払拭できないと思います」(テレビ関係者)  SNS、ネット上では「順番が違うよね?先ずは離婚してからデートなりすりゃあ良いのに福原さんは子供を預けたまま、お互い配偶者がいる中で会っていたんだよね。お互いに離婚して付き合おうが、再婚しようが自由だけどイメージは戻らない」、「一度きりの人生。次の恋をするのも分かる。でも、まだ小さな子どもたちを思い浮かべる事は無いのかな。置いてきた事に未練は無いのかな。自分が楽しければそれでいいのかな」などのコメントが。 「福原さんの卓球の解説は独特の例えを引用しながら、分かりやすく伝えてくれるので視聴者に好評でした。頭の回転が速く、イメージを言語化するのがうまい。選手からも『分析力、洞察力が深いので解説を聞いているだけで勉強になる』という声が上がっていたのですが、プライベートの一連の報道で、解説者として起用することに不快感を示す声が高まっている。中国では現役時代から相変わらずアイドル級の絶大な人気を誇るので、日本より中国での活動がメインになる日が来るかもしれません」(スポーツ紙記者)  今後の活動でマイナスイメージが払しょくされる日が来るだろうか。(村田直)
dot. 2021/12/24 11:00
羽生結弦の4回転アクセル成功なるか 五輪切符をかけた全日本選手権が開幕
羽生結弦の4回転アクセル成功なるか 五輪切符をかけた全日本選手権が開幕
羽生結弦(はにゅう・ゆづる)/ソチ、平昌と五輪2連覇中。昨季の世界選手権は3位。けがの状況次第で、出場への最終判断が決まる  北京五輪代表の最終選考会となる全日本フィギュアスケート選手権が12月23日から26日にかけて開催される。男女シングル3枠、アイスダンス1枠をめぐって五輪への切符を手に入れるのは誰か。AERA 2021年12月27日号では、運命の決定戦を目前にしたフィギュア選手たちの各プログラムの見どころをレポートする。 *  *  *  男子の3枠争いは、五輪連覇の羽生結弦(27)、世界ランキング1位の鍵山優真(18)、平昌五輪銀メダルの宇野昌磨(24)の3人が一歩リードし、若手の佐藤駿(17)や、悲願の五輪出場を狙う友野一希(23)、山本草太(21)、2度目の五輪を目指す田中刑事(27)らが追う形だ。  一番の注目は、今季初登場となる羽生。11月に右足首を痛め、NHK杯とロシア大会を欠場。回復の状況次第での参加となり、けが明けの初戦で調子を合わせられるかが一般的には懸念されるだろう。しかし、けがからの復帰戦だった平昌五輪も、身体と向き合い調整をしてきた。昨季も全日本選手権が初戦だったが、ショート、フリーともに新プログラムをほぼパーフェクトに演じ切った。むしろ、彼自身がこの全日本選手権の目標を何と位置づけるかが重要になる。具体的には、4回転アクセルにこだわるのか、五輪3連覇の偉業を目指すのか、だ。 ■清塚信也のピアノ曲  かねて「最終目標」と宣言した4回転アクセルは、彼の最大のモチベーション。昨季の全日本選手権でも、非常に質の高いトリプルアクセルを跳び「4回転アクセルを練習していることで余裕が出てきた」と話していた。この全日本選手権では、国際大会での成功に向けてプログラムで初挑戦することや、公式練習で披露することが考えられる。観客がいるシチュエーションで跳ぶことで新たに掴むこともあるだろう。  ただ一方で、五輪3連覇の偉業への期待もある。3連覇が与えるメッセージの強さは羽生自身がわかっているはず。そのためには、全日本選手権で優勝し、日本王者として北京五輪に出場することの意義は大きい。昨季のようなパーフェクトの演技で責任感を示す、という生き様を選ぶかもしれない。 鍵山優真(かぎやま・ゆうま)/今季はグランプリシリーズのイタリア大会、フランス大会で2連勝。羽生に続く、日本の次世代エースの筆頭  またショートは初披露となる「序奏とロンドカプリチオーソ」。スペイン風のリズム感に特徴のある作品で、バイオリンによる演奏が原曲だが、羽生と交流のあるピアニスト清塚信也が演奏したピアノ版である。ショパンの「バラード第1番」でピアノ曲との相性の良さを示してきた彼がどんな情熱的なロンドを踊るのか、注目だ。  フリーは昨季の「天と地と」を続行。昨季の全日本選手権は4回転ループ、サルコー、トーループの「3種類4本」を成功させ、215・83点の高得点をマークした。昨季、羽生は「4回転アクセルを入れるなら冒頭の1本目」と話しており、その1本目にどんな夢を乗せて跳ぶのか楽しみだ。27歳で迎える3度目の五輪を前に至った境地を見られるだけでも価値がある。 ■1位になる練習をする  羽生と日本王者争いを繰り広げるのは、鍵山と宇野。鍵山は今季前半の国内大会で4回転ループに初挑戦したものの決められず、グランプリ2戦は昨季同様に2種類3本の4回転をまとめる作戦で連勝した。しかし4回転を4~6本入れるネイサン・チェン(米国)や羽生、宇野との対決に向けて、守りの姿勢ではいられない。 「世界と戦うには実力がまだ足りません。全日本選手権に向けて4回転ループを入れられるよう確率を高めたいです」(鍵山)  宇野は平昌五輪以降のアップダウンを経て、今季は4回転5本に挑む。NHK杯では290・15点で自己ベストを更新しており、調子は上向きだ。 「難度の高い構成にはリスクはあるけれど、練習していても楽しいです。今は『1位になれたら嬉しいな』ではなく『1位になれる練習をしていこう』という考えに変わりました」(宇野) 宇野昌磨(うの・しょうま)/今季はNHK杯優勝、アメリカ大会2位。ステファン・ランビエルに師事。精神的、技術的に円熟期を迎える  女子は、3枠の予想がつかない混戦。  女子の3枠争いは、NHK杯優勝の坂本花織(21)が一歩リードしつつも、トリプルアクセルを習得した樋口新葉(20)はフランス大会3位、休養を経て復調してきた三原舞依(22)もイタリア大会4位と、追い上げる。さらに平昌五輪4位の宮原知子(23)の美しい滑りも健在。全選手の演技が終わるまで切符の行方はわからない。 村元哉中・高橋大輔/男子シングルでバンクーバー五輪銅メダリストの高橋がアイスダンスに転向して注目を浴びる。結成まだ2年目だが急成長。今季NHK杯6位  そして北京五輪の新たな注目となるのがアイスダンス。村元哉中(28)&高橋大輔(35)組と小松原美里(29)&尊(30)組が1枠を争う。直接対決となったNHK杯では、村元&高橋組が6位、小松原組は7位となり実力は拮抗している。 ■「和」を感じさせる効果  村元&高橋組の戦略は、いかに長所と個性をアピールするか。今季のリズムダンスに「ソーラン節&琴」という、和の曲のリミックスを選んだ。海や波をイメージした振り付けや、村元が魚となって釣り上げられるリフトなど、アイデアの詰まった作品。日本語のボーカル曲の採用は、海外ジャッジが「音楽解釈」の評価をする上で、強く「和」を感じさせる効果もある。 「歌舞伎、忍者、芸者、あと浮世絵の世界も。いろいろな日本っぽさを表現している」と高橋は説明。基礎的な技を磨くだけでなく、振り付けや演技で2人の長所を引き出す作戦は、理にかなっているだろう。11月のワルシャワ杯では、リズムダンスの演技構成点ですべて8点台以上と、世界トップレベルの評価を得て勢いづいた。 小松原美里・尊/2016年からカップルを組む。17年に結婚し、夫婦カップルとなった。昨季の全日本選手権、NHK杯で優勝。今季はNHK杯7位  小松原組は、ビザの問題で本拠地のカナダに渡れず苦戦を強いられているが、伸びのあるスケーティングを武器に、ベテランとしての意地を見せるだろう。  4年に一度となる、運命の夜。誰もが、渾身の演技を見せてくれることを祈りたい。(ライター・野口美恵)※AERA 2021年12月27日号 
羽生結弦
AERA 2021/12/23 11:00
最新女子アナランキングに“異変” 「落ちた人」「上がった人」明暗を分けたのは?
立花茂 立花茂
最新女子アナランキングに“異変” 「落ちた人」「上がった人」明暗を分けたのは?
テレビ朝日の弘中綾香アナ  毎年恒例の「好きな女性アナウンサーランキング」(ORICON NEWS調べ)が今月3日に発表され、テレビ朝日の弘中綾香アナ(30)が3連覇を達成した。  弘中アナは“あざとかわいい”と言われるキャラが人気となり、同局のエースアナとして「激レアさんを連れてきた。」や「ノブナカなんなん?」、「あざとくて何が悪いの?」などに数多くの番組に出演中だ。中でもフリーアナウンサーの田中みな実アナ(35)とともにレギュラーを務める「あざとくて何が悪いの?」は、年越しスペシャルとして今年の大みそかの午後11時から年をまたいで放送されることが決定。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いを感じさせる人気ぶりだ。  芸能ジャーナリストの竹下光氏はこう語る。 「1年の中で最も注目度の高い年越し番組に、局アナがメインMCを務める番組が抜擢されるのは異例と言えます。弘中アナといえば、緊急事態宣言下の今年8月に大学時代の同窓生の自宅で行われた誕生パーティーに参加したという『宅飲み“密”パーティー』報道もありましたが、その影響をみじんも感じさせない人気ぶりです」  弘中アナ以外の上位常連組の動向を見てみると、今年は昨年2位の田中みな実アナが7位に、昨年3位の有働由美子アナ(52=フリー)が2位に、昨年4位の大下容子アナ(51=テレ朝)が5位に、昨年5位の大江麻理子アナ(43=テレビ東京)が9位にスライドした。 「数字だけ見ると、田中アナ、大下アナ、大江アナは昨年よりも順位を落としていますが、毎年かなりの数の新人アナが入って来るなかで、ベテランになった今も上位10位にランクインすること自体がスゴイ。特に田中アナは、近年はアナウンサーとして仕事よりも女優業やタレント業での活躍が目立っているのに7位とは非常に健闘しています」(前出の竹下氏)  そうした中、昨年6位の徳島えりかアナ(33=日本テレビ)が3位に、昨年9位の永島優美アナ(30=フジテレビ)が4位にステップアップ、江藤愛アナ(36=TBS)が初登場で8位にランクインし、存在感を放っている。 元NHKの有働由美子アナ  情報番組も担当する放送作家は「3人とも30代ですが、率直に言ってアナウンス技術にたけていて番組進行やそのサポートもそつなくこなす、各局を代表する実力派アナが上がってきた印象です」と話し、こう続ける。 「慶応義塾大学卒でクラシック・バレエで培った抜群のスタイルを誇る徳島アナは、朝の番組にふさわしい爽やかでクリーンなイメージで人気を集める一方、『AKB48』の大ファンだったり、『名探偵コナン』などのアニメ好きだったりとオタク気質も持ち合わせており、そのギャップも魅力です。父親に元サッカー日本代表でスポーツキャスターの永島昭浩氏を持つ永島アナはお嬢様らしい気品とおっとりとした柔らかな雰囲気で視聴者ウケも良く、今年3月に1年先輩の局員と結婚しましたが、独身時代と変わらぬ支持を集めています。江藤アナは報道、バラエティーどちらも対応できる守備範囲の広さや出しゃばりすぎない程良い進行ぶりが業界内でも好評で、明るく真面目な性格も相まって中居正広さんら共演者や番組スタッフからも信頼が厚いと評判です」  今夏開催の東京五輪の開会式での安定感ある生中継実況が高い評価を受けた10位の和久田麻由子アナ(33=NHK)も30代の実力派アナとして知られており、かつてささやかれた“女子アナ30歳定年説”など、もはや隔世の感がある。  偉大な先輩アナの高い壁があるなかで、若手アナで一人気を吐いているのが、昨年の8位から6位にアップした岩田絵里奈アナ(26=日テレ)だ。  入社4年目ながら、同ランキングではすでに“殿堂入り”を果たしている水卜麻美アナの後任として朝の情報番組「スッキリ」の司会を担当している。そのほか「世界まる見え!テレビ特捜部」や「沸騰ワード10」などのバラエティーでも幅広い活躍をみせている。 「岩田アナは入社前にはタレント活動もしていて、当時は大沢たかおさんとのデートを写真週刊誌にキャッチされたこともありました。ただ、もともと父親に有名医師を持つお嬢様ということもあってか、そうした過去をあまり感じさせない、気取りのない明るいキャラクターが光っています。女子アナに対して厳しい目を持つ主婦層にもウケは悪くない。“大食いキャラ”という一面があるほか、仕事に対して真面目で一生懸命なので、現場からネガティブな話が漏れ伝わってくることがほとんどない。こうした点も先輩の水卜アナと共通しているところですね」(前出の放送作家)  最後に竹下氏は令和の女子アナ像についてこう語る。 「女子アナというと、容姿に恵まれ、幼い頃から勉強にも励んで優秀な学歴も手にするなど才色兼備を地で行く存在でした。そのため、ひと昔前は高嶺の花のような華やかさが求められ、そのぶん、気位の高さや向上心の強さが鼻につくケースもありました。しかし近年は芸能人と同様に華やかさよりも親近感や好感度が人気のバロメーターになっている印象で、それがランキングにも表れています」  女子アナのランキングにも、時代を反映した“世相”があらわれているようだ。(立花茂)
女子アナ岩田絵里奈弘中綾香徳島えりか
dot. 2021/12/21 11:30
ロシア女子フィギュア選手の一躍旋風と淘汰 戦国時代を勝ち抜くのは誰?
ロシア女子フィギュア選手の一躍旋風と淘汰 戦国時代を勝ち抜くのは誰?
カミラ・ワリエワ/2020年世界ジュニア女王。4回転2種類とトリプルアクセルを跳び、安定感も抜群。誰も勝てない存在として“絶望”の異名を持つ  毎年のように新星が現れるフィギュアスケートのロシア女子。2年前は「3人娘」が話題になり、今季はカミラ・ワリエワが世界最高点を更新、北京五輪の頂点へと駆け上がりそうな勢いだ。AERA 2021年12月20日号では、ロシア女子たちの強さの秘密に迫る。 *  *  *  11月に開かれたグランプリ(GP)シリーズの第6戦。ロシア杯の頂点に立ち、あどけない笑顔を見せたのは、今季シニアデビューしたばかりのカミラ・ワリエワ(15)だった。しかし、その点数と演技に幼さは残らない。ショートとフリー合計でトリプルアクセル2本と4回転3本を成功。自身が持つ世界記録を更新する272・71点をマークした。昨季までの世界記録は240点台であり、異次元の得点だった。 「最高の力を出せましたが、まだまだ伸びしろがあります。もっとプログラムに磨きをかけていきたいです。ロシアの観客の応援が力となって、楽しんで演技できました」(ワリエワ) ■時代を開いた「3人娘」 アレクサンドラ・トルソワ/今季のロシア国内大会では、フリーで「4種類5本」の4回転を降り話題に。潜在能力をどこまで引き出せるか  なぜここまで強いのか。それを語るには、ロシア女子の戦国時代を振り返ることになる。  4季前、平昌五輪でフレッシュな滑りで金メダルを手にしたのは、当時15歳のアリーナ・ザギトワ(19)。姉弟子であるエフゲニア・メドベージェワ(22)が銀だった。2019年の世界選手権(さいたま市)もザギトワとメドベージェワが金と銅。彼女らは「3回転+3回転」の連続ジャンプと演技力を武器にする戦い方だった。伊藤みどりが1989年にトリプルアクセルを成功させてから30年、女子は3回転で勝てる時代が続いていた。  時代の扉を開いたのは、19年にシニアデビューした「3人娘」だ。アンナ・シェルバコワ(17)とアレクサンドラ・トルソワ(17)は4回転を跳び、アリョーナ・コストルナヤ(18)はトリプルアクセルを武器にする。19年GPファイナルでは3人が表彰台を争い、コストルナヤが247・59点で世界記録を更新して優勝。最下位の6位となったザギトワは、17歳にして休養に入ってしまった。 アンナ・シェルバコワ/2021年世界選手権女王。女子初の4回転ルッツ2本の成功者で、4回転フリップも持つ。演技、ジャンプのバランスが良い  特筆すべきは、この女子すべてがエテリ・トゥトベリーゼの門下生であること。ジャンプコーチ、振付師、ダンス講師、トレーナーらが集結したチームで、少女たちは英才教育を受けて育ってきた。特に、ジャンプを跳ぶ瞬間の回転のかけ方は“門外不出”で、筋力の少ない女子でも高速回転させて大技を跳ぶコツを身につけていた。 ■「独走態勢」に待った  この独走態勢に待ったをかけたのは、エリザベータ・トゥクタミシェワ(24)だ。エフゲニー・プルシェンコを育てた名伯楽アレクセイ・ミーシンの秘蔵っ子。13歳のとき練習でトリプルアクセルを降り、15年の世界選手権で初成功した。スランプを経て、21年世界選手権では6年ぶりの表彰台となる銀メダルの快挙を遂げた。 エリザベータ・トゥクタミシェワ/18歳のとき女子史上6人目のトリプルアクセルジャンパーに。24歳の現在もショート1本、フリーで2本を武器にする才女 「2年前からトリプルアクセルの技術は確実になり、怖いものが無くなりました。24歳で復活した秘訣(ひけつ)は、フィギュアスケートの進化と共に自分も進化することです」(トゥクタミシェワ)  ソチ、平昌と逃した悲願の五輪に向け、今季も好調だ。  そこに満を持して登場したのが、ワリエワ。シニアデビュー戦から3戦連続で世界記録を更新し続けるという“一人旅”で、一気に北京五輪の金メダル最有力候補となった。  この高得点の源は「トリプルアクセルと4回転の両方が跳べること」に尽きるだろう。  女子のルールは、ショートで4回転を跳べないためトリプルアクセルが最難度の技となる。ロシア女子で今季、トリプルアクセルの成功率が高いのはトゥクタミシェワだけ。しかもワリエワは両手を上げた空中姿勢で跳び、着氷後の流れもある。成功すれば確実にショートで首位を取れるのだ。  またフリーもトリプルアクセルがあることで、ダブルアクセル(2回転半)を入れないジャンプ構成が可能となり、ロシア杯のフリーでは、トリプルアクセルと4回転3本で得点を積み増した。さらにワリエワは、独自の身体表現をすでに確立している。長い手足を生かした美しいポジションは秀美で、ロシア杯ではショート、フリーともに演技構成点の5項目すべてで9点台をマーク。特にフリーの「ボレロ」は貫禄の世界観で観客を引き込んだ。  ジャンプだけでいえば、フリーで「4種類5本」の4回転に挑戦できるトルソワの方が、予定する基礎点は高い。しかしパーフェクトに決まらなければ、ジャンプでの減点だけでなく演技構成点も下がり、4回転をたくさん跳んだ割に点が低くなる。 ■男子なら世界3位相当 アリョーナ・コストルナヤ/2019年GPファイナル女王。昨季はエフゲニー・プルシェンコのもとに移籍したが、古巣に戻りトリプルアクセルの復調を目指す  また、コストルナヤは、滑りや演技が卓越しているが、トリプルアクセルはスランプからの回復途上だ。どの選手も「トリプルアクセル」「4回転」「演技力」のいずれかを武器にしてきたなか、全知全能で、まさにトゥトベリーゼの集大成ともいえるのがワリエワなのだ。  しかもこのロシア杯で記録した272・71点は、違う視点でも偉業だった。ルール上、男女の集計法が違うため、男子の計算式にあてはめると301・14点。これはネイサン・チェン(米国)、羽生結弦に次いで世界3位に相当する。しかし、「男子と戦いたいか」という質問に、ワリエワはこう答えた。 「いいえ。男子は筋力も耐久力もあり、女子よりも4回転は簡単です。女子が4回転を跳ぶのとは違います。私は女子のカテゴリーの中で戦いたいです」  ちなみに初来日するはずだったGPファイナル(中止)に向けて、何をしたいか聞かれると、15歳らしい一面も見せていた。 「日本の有名な料理である寿司を食べたいです。あとシェルバコワたちが日本ですごく美味しいキャンディーを買ってきてくれたことがあるのですが、今回は外出できないので、町を窓から眺めるだけです」  ロシア女子選手は12月から来年1月にかけて、北京五輪の3枠をかけ激突する。  恐ろしいのは、すでにロシアのジュニア女子には、トリプルアクセル成功者が2人、4回転成功者が4人、次の五輪を待ち構えていること。少女たちは激動の時代のなか、自らを信じ、高みへと上がっていく。 (ライター・野口美恵)(AERA 2021年12月20日号より) ※AERA 2021年12月20日号
フィギュアスケート
AERA 2021/12/19 11:00
巨人投手の夫人は業界初の快挙も…選手以上に注目浴びた「助っ人の妻」たち
久保田龍雄 久保田龍雄
巨人投手の夫人は業界初の快挙も…選手以上に注目浴びた「助っ人の妻」たち
元巨人のマイルズ・マイコラス(左)とローレン夫人  プロ野球界は毎年数多くの助っ人たちが来日するが、時には同伴で来日した夫人のほうが夫以上に世間の注目を浴びてしまうケースも少なくない。  その“華やか”さで一躍人気者になり、テレビのバラエティ番組にも出演したのが、2015年に来日したマイルズ・マイコラス(巨人)の妻・ローレンさん(当時27歳)だ。  マイコラスとは高校時代の同級生だったローレンさんは、前年11月に結婚したばかり。来日後は、夫が登板するたびにスタンドで応援するのが、お約束となった。  6月4日のオリックス戦で、マイコラスが来日初完封勝利を挙げると、ローレンさんは「ファンタスティック!」と叫び、スタンドから投げキッス。直後、記念撮影を求めるファンが殺到した。その佇まいから、“スタンドの女神”の愛称でマスコミに紹介され、すでに有名人になっていたのだ。  さらに6月20日の中日戦で、マイコラスは7回を無失点に抑え、3勝目を挙げると、お立ち台で「巨人に来てよかったです」と日本語を披露したあと、グラウンドでローレンさんと熱いキスをかわす。この濃厚ラブシーンには、スタンドの大観衆も当てられっぱなしだった。  その後、大手芸能事務所と契約したと報道され、グラウンド外でも注目を集めたローレンさんは、事務所には所属せず、フリーで芸能活動をスタート。7月26日放映の「行列のできる法律相談所」(日テレ系)に出演し、同27日に発売された「スポーツカードマガジン」(ベースボールマガジン社)9月号では、夫とのツーショット写真がベースボールカード化。野球選手の妻のカード化は、もちろん業界初の快挙だった。  巨人入団時、「彼女は僕より有名になるかもしれない」と語ったマイコラスだが、その言葉は、数カ月後には現実のものとなった。  華やかさでは前出のローレンさんにヒケを取らず、夫への“献身ぶり”もマスコミで話題となったのが、同じ15年にソフトバンク入りしたリック・バンデンハークの妻・アナさん(当時24歳)だ。  6月15日の広島戦で夫が来日初勝利を挙げると、球場の通路で祝福のキスを贈り、熱い抱擁をかわした。  さらにチームが2年連続優勝へマジックを「2」とした9月16日のオリックス戦では、アナさんはソフトバンクのユニホームを身にまとい、敵地・京セラドーム大阪のスタンドで手を叩きながら、マウンドの夫を一生懸命応援。試合中、工藤公康監督がスタンドのアナさんを目ざとく見つけ、「君のワイフがあそこにいるよ」と指差して教えるひと幕もあった。  そんな愛妻の熱い視線に応えるように、バンデンハークは8回を4安打10奪三振の無失点と付け入る隙を与えず、開幕から無傷の9連勝で、マジックをひとつ減らす立役者に。これもアナさんの内助の功の賜物だった。  食事面はもとより、運転免許を持たない夫に代わって毎朝ハンドルを握り、練習場を往復。バンデンハークも「妻の支えなしではやってこられなかった」と感謝するばかりだった。  その一方で、アナさんは大濠公園や水郷・柳川、糸島の夫婦岩を訪問するなど、福岡での生活もエンジョイ。バス停にきちんと列をつくって並ぶ日本人にビックリしたこともツイートしていた。  今季はヤクルトでプレーしたバンデンハークだが、0勝1敗、防御率15.43と結果を出せず、9月29日に自由契約となった。コロナ禍で最愛の家族と一緒に過ごせなかったことも影響したのかも?  最後に紹介するのは、親子ほどの年齢差で話題になったロベルト・ペタジーニ(ヤクルト-巨人)の妻・オルガさんだ。  99年の来日当時、オルガさんは夫より25歳も年上の52歳。連れ子の長男・ミッシェルさんもペタジーニより4歳年上で、義理の息子のほうが年長という異色のファミリーだった。  実は、ミッシェルさんはペタジーニの親友で、家に遊びに行ったときにオルガさんと“運命の出会い”をはたしたことがきっかけで、93年に結婚。「オレは真実の愛を見つけた。家族のためにも頑張る」と一念発起したペタジーニは翌94年、念願のメジャーデビューを実現している。  来日後も、練習の合間も含めて、時間の許す限り、愛妻へのラブコールを欠かさなかったペタジーニだったが、スペイン語しか話せなかったオルガさんは、日本での生活に寂しさを募らせ、同年6月2日の仙台遠征、広島戦では、試合前にベンチ裏で一人泣きじゃくる姿も見られた。  だが、「ガッツポーズをすれば、元気が出る」と教えられ、ホームシックを克服すると、以来、本拠地・神宮での試合終了後、クラブハウス前で報道陣を見かけるたびに「皆さんも元気にしてあげる」と両手を握りしめてガッツポーズを披露するようになった。  ペタジーニも、オルガさんが球場に来る日は本塁打量産率が上がり、同年は松井秀喜(巨人)に2本差の44本塁打で見事本塁打王を獲得した。  現役引退後、ネットではペタジーニが「女子大生と不倫したことが原因で離婚した」という噂が流れたが、19年に夫妻揃って7月7日放映の「ジャンクSPORTS」(フジ系)に出演。今も変わらず仲睦まじい姿を見せていた。(文・久保田龍雄) ●プロフィール久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2021」(野球文明叢書)。
dot. 2021/12/19 10:00
楽天・オコエ瑠偉に“トレード要員”の声も…球団内外から意外と高い評価
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楽天・オコエ瑠偉に“トレード要員”の声も…球団内外から意外と高い評価
来季プロ入り7年目を迎える楽天・オコエ瑠偉  毎年ブレイクが期待されながらここまで目立った成績を残せていない楽天・オコエ瑠偉。今シーズン後半には“覚醒”の予感を感じさせつつもクライマックスシリーズ(CS)では出場なし終わった。  今季終了後には左膝の手術を受けて新たなシーズンへ向け不安も残る。年齢も来季で25歳となり、目に見える結果が必要なのは明白だ。活躍できなければ戦力外やトレード要員といった声も上がっているが、甲子園を沸かせた“スピードスター”は来年こそ活躍することができるのだろうか……。  プロ6年目の今年は2月26日に左手関節TFCC縫合術を受け、スタートから出遅れた。一軍合流は7月24日、東京五輪を控えた侍ジャパンとの練習試合だった。 「キャンプ序盤からコンディションが上がらず悩んでいた。開幕直前の手術でメンタル的にもきつかったと思うが、地道にリハビリや練習に取り組んでいたのが印象的だった。才能だけでプレーしている印象がついているが野球に対しては地道に努力する。一軍合流が決まった時は何も言わなかったがうれしそうに見えた」(楽天関係者)  侍ジャパンとの試合では2番センターで出場。第2打席では森下暢仁(広島)から左中間を破る二塁打を放った。妹・桃仁花が白線ヘルニアという難病を克服して女子バスケ日本代表として五輪に出場することもあり、揃って兄オコエの活躍も大きく取り上げられた。 「仲が良い妹の頑張りを見ていたし活躍を自分のことのように喜んでいた。比較されることも多いが嫌がっているところを見たことがない。妹の活躍が刺激になっていたはず。手術から予定されていた時期よりも早い復帰を果たせた原動力になっていたのかもしれない」(楽天関係者)  その後オコエはシーズン終盤の10月15日に登録抹消されるまで一軍の試合に出場。42試合で打率.223(94打数21安打)、0本塁打、6打点、3盗塁という結果に終わった。攻撃面では今ひとつだったが守備、走塁では見せ場も作り、優勝争いをしていたチームの中で存在感も見せた。 「悲観ばかりの年ではなかった。俊足でアグレッシブなオコエが塁上にいることで相手守備陣には間違いなく重圧がかかる。ソフトバンク戦のミスが大きく取り上げられるが、それ以外は守備での貢献度も高い。勘違いされやすいが評価は決して低くない」(在京球団編成担当)  10月14日のソフトバンク戦(楽天生命)では致命的なミスを犯した。3点リードの8回に自らの悪送球で同点とされ、最終的にチームも5対6で敗戦。この試合の翌日に二軍に降格となったことから、懲罰的な措置ではないかという声も上がったほどだった。  だが、昨年はプロ入り後初の一軍出場なしとなったが、今季は時折“光るプレー”も披露しており、トータルで見れば評価を上げたシーズンにはなったのは間違いない。 「優勝、CS出場争いの真っただ中とはいえ、あのプレーだけで懲罰的に二軍に降格させることは考えられない。膝の具合が良くないのは周知の事実だったが限界に差し掛かっていたのもあるはず。シーズン終了直後の手術を球団が許可したのはそういった経緯からではないか。来季を見据えて戦力として期待しているからだろう」(在京球団編成担当) 「石井一久監督は期待している。自身も現役時代はマイペースで気持ち次第でパフォーマンスが大きく変わるタイプだった。同じ匂いを感じているのでしょう。今季のオコエはポジティブにプレーしていたのを知っている。編成トップとしてコンディションが悪いのも知っていたはずで、来季への期待があり手術に備えさせた部分もあるはず。決して懲罰的なことはない」(楽天担当記者)  シーズン後、オコエは秋季練習に参加せず11月30日には左膝の手術を受けた。同22日の契約更改では現状維持の年俸1000万円(推定)でサインし、既に気持ちは来季へ移っているはずだ。 「少しでも一軍で出られて、自分としてはホッととしています。(来季は)レギュラーを取りたいです」(オコエ/11月22日)  契約更改時コメントからも来季に向けやるべきことが明確になり迷いがなくなったようにも聞こえる。今度こそブレイクできなければプロ野球選手としての生活に終りがやって来る可能性もある。ここから本気のオコエがどういったプレーを見せてくれるか注目したい。
オコエ瑠偉楽天
dot. 2021/12/16 18:00
SILENT SIREN、オールタイムベストAL『SILENT』『SIREN』リリース
SILENT SIREN、オールタイムベストAL『SILENT』『SIREN』リリース
SILENT SIREN、オールタイムベストAL『SILENT』『SIREN』リリース  SILENT SIRENが、オールタイムベストアルバム『SILENT』『SIREN』、映像作品『SILENT SIREN きららリベンジ~サイサイ10歳祭~ @ 日比谷野外大音楽堂』をリリースした。  そして“4人のSILENT SIRENとしてのラストライブ”となった同作より「女子校戦争」「REBORN」のライブ映像を公開した。永久保存版のライブ映像作品を垣間見ることができる。  また、上記作品を全てコンパイルしたファンクラブ3,131セット完全生産限定スペシャル・コンプリートボックス『SILENT SIREN PREMIUM BOX~11年分詰め込みました~』も残りわずか。メンバー考案の超てんこ盛りの特典が続々と発表されている。  そして今週末からは活動休止前のラストツアー【SILENT SIREN 年末スペシャルLIVE TOUR 2021『FAMILIA』】がサポートメンバーを迎えていよいよ開始となる。 ◎リリース情報 アルバム『SIRENT』 2021/12/15 RELEASE UPCH-20608/9 3,131円(tax out.) アルバム『SILEN』 2021/12/15 RELEASE UPCH-20610/1 3,131円(tax out.) 映像作品『SILENT SIREN きららリベンジ~サイサイ10歳祭~ @ 日比谷野外大音楽堂』 <Blu-ray1枚+LIVE PHOTOBOOK 20P> UPXH-20111 6,800円(tax out.) <DVD2枚組+LIVE PHOTOBOOK 20P> UPBH-20285/6 5,800円(tax out.) ◎ツアー情報 【SILENT SIREN 年末スペシャルLIVE TOUR 2021「FAMILIA」】 2021年12月18日(土) 福島・HIPSHOT JAPAN 2021年12月19日(日) 福島・HIPSHOT JAPAN 2021年12月22日(水) 愛知・Zepp Nagoya 2021年12月24日(金) 大阪・Zepp Osaka Bayside 2021年12月30日(木) 東京・東京体育館
billboardnews 2021/12/16 00:00
石川遼の不祥事も痛手…“人気低迷”男子ゴルフが「復活」のために必要なもの
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石川遼の不祥事も痛手…“人気低迷”男子ゴルフが「復活」のために必要なもの
国内ツアーで石川遼に続くスター選手は出てくるのか…  新型コロナウイルス感染拡大の影響で2年またぎのシーズンとなった男子ツアーは、12月5日に最終戦のゴルフ日本シリーズJTカップが終了。43歳のベテラン、谷原秀人が11月の三井住友VISA太平洋マスターズに続くシーズン2勝目を挙げ、幕を閉じた。  シーズン3勝を挙げ賞金王となったチャン・キム(米)は、渡航制限などコンディションキープが困難だったが、ようやく悲願を達成。「これまで2度(賞金王の)チャンスがあったが、今年ようやく賞金王になれたことにホッとしている」と1987年のデービッド・イシイ以来となる米国選手2人目のマネーキングを喜んだ。  このようにベテランの追い上げや外国籍選手の賞金王などコース上での話題もあった男子ツアーだが、それに水を指す形になったのが、石川遼が起こした自主隔離中の不適切行動だ。当時、JGTO副会長で理事だった石川は、アメリカから帰国後の14日間の自主隔離期間中に一般客も利用するゴルフ場で練習し、複数人で飲食していたと指摘された。結局1カ月の出場停止処分を受け、それぞれの役職も辞任。ツアー人気回復の要となるはずのスターの自覚なき行動により、男子ツアーのイメージが毀損したことは間違いないだろう。  今年の男子ツアーは24試合を開催した一方、女子ツアーは38試合を行なった。アース・モンダミンカップは賞金総額3億円と国内最高を誇り、それ以外にも男子ツアーよりも賞金総額が高い大会が数試合を数える。男子ツアーは80年代に年間46試合を消化し、各会場とも多くのギャラリーで賑わったが、いまは見る影もなく、女子ツアー人気に完全に押されているという状況だ。  ここ数年、国内ゴルフはこのように賞金、試合数、人気全てで「女高男低」だ。その度に囁かれるのが、女子に比べ男子ツアーにはスターが不足しており、選手たちのファンサービスが欠如しているというネガティブなことばかり。しかし男子プロたちだって、懸命にツアーを戦い、SNSでセルフプロデュースをし、ファンサービスに努めているプロもいる。人気低迷の主な要因をスター不在、ファンサービス不足と指摘しても、何も前に進めることはできないだろう。  では、どうすれば男子ツアーは人気回復への道を歩むことができるのか? さらなるファンサービスの向上や選手の認知拡大などは日々、議論されていることだろうが、やはり新スターを生み出すことがシンプルで分かりやすく、そしてインパクトのある方法だろう。  どの時代でもプロスポーツにはスーパースターは欠かすことができず、男子ゴルフが隆盛を誇った80年代は青木功、尾崎将司、中嶋常幸の「AON」というビッグスターがいた。女子ツアーは2000年代中盤に宮里藍や横峯さくらがツアーで活躍するようになりブームを作り、人気が女子に押され気味だった男子ツアーには、石川が彗星のごとく現れたことで旋風を巻き起こした。もちろん、様々なPR活動など草の根の地道な施策も必要だが、結局は、スターの輩出が人気向上に有効な特効薬となる。  ただし、スターは待っていても勝手に生まれてくるものではない。そこには、ツアーだけでなくゴルフ界が一丸となりスターを創るシステムを構築し、スターを継続して誕生させることが必要だ。となると、ゴルフは他スポーツに比べこの「スター育成システム」が機能していないのではないだろうか。  もちろん、現在も個々にはジュニアの育成に注力しているコーチや組織があり、日々、ジュニアのスキルアップに貢献している。育成財団や育成プロジェクトも存在しているし、高校大学などの多くの教育機関でもゴルフ部があり、未来のプロゴルファーが切磋琢磨していることはご承知の通りだ。  しかし、業界団体で統一された体系的な取り組みは聞こえてこないし、何よりゴルフはジュニア世代への注目が他スポーツに比べてかなり低いと言える。例えば、高校スポーツで言うと、野球には甲子園があるし、サッカーならお正月の高校サッカー、バレーボールなら春高バレー、バスケットボールならウインターカップがあり、それぞれがテレビで中継され注目度も高い。  高校野球や大学野球ならプロ入りしそうな選手が、日頃から新聞紙面を飾り、高校サッカーの有望ストライカーも卒業後の去就がニュースで扱われることは珍しいことではない。そしてそのような有望株がプロ入りするのだから、当然プロスポーツもさらに注目されるわけだ。  一方、「緑の甲子園」と言われる全国高等学校・中学校ゴルフ選手権大会にどれだけの人が注目しているか謎だし、注目しているのは関係者だけで、ゴルフ愛好者でも知る人ぞ知る大会なのではないだろうか。宮里さんが通った東北高校や、松山英樹など強豪選手を輩出してきた東北福祉大など有名校もあるが、他スポーツの強豪校ほど世間一般で有名かと言われれば、答えはノーだろう。  そして、業界を挙げた体系化した育成システム作りは当然必要だが、それ以上に重要となるのは高校や大学などの大会をしっかりと訴求し、メディアに取り上げてもらうことだ。ゴルフは個人スポーツで、部活動ではなくジュニア時代から個々にコーチに師事することがプロゴルファーになるための主要ルートの一つ。実際、そうしたシステムの中で「黄金世代」や「プラチナ世代」など次々にヒロインが誕生する女子ゴルフが存在していることは事実だ。  しかし、より多くのスターを生み出すためには、例えば「緑の甲子園」のようなアマチュア大会が、スポーツニュースなどで扱われる機会を増やすべきだろう。こうした大会が認知されれば、当然プレーしていた選手は脚光を浴びる。脚光を浴びれば、選手もさらに努力しスキルアップする可能性も高くなる。  そして、そんなジュニアゴルファーたちが次々とプロトーナメントで活躍し、プロ転向それは若きスターがツアーに参入することであり、自然とツアーの人気もアップするはず。いつ吹くかわからない神風を待っているのではなく、スターが育つ「箱」を設け、それを世間にしっかり発信することで、自ら風を吹かすことができるのだ。  今でも将来有望なジュニア層がプロの大会に出場しているが、これはあくまでも限られたジュニアだけのもの。やはり、ジュニアゴルフそのものの人気を高めて、トップの人気を押し上げるボトムアップ型のシステムとすることで、プロツアーは息の長い繁栄を享受することになるのだろう。
男子ゴルフ石川遼
dot. 2021/12/14 18:00
「看護師の愛子」に「ごきげんよう弁当」まで 愛子さまが継いだ文才と“孤高”
矢部万紀子 矢部万紀子
「看護師の愛子」に「ごきげんよう弁当」まで 愛子さまが継いだ文才と“孤高”
ティアラや勲章を着用したロングドレス姿で成年の行事に臨む天皇、皇后両陛下の長女愛子さま/2021年12月5日、皇居  愛子さまが成年を迎えた12月1日、成年にあたってのご感想の文書が公表された。この文書に加え、これまでに書かれた作文などから見えてくるのは、確かな文才とぶれない姿勢、そして人柄だ。AERA 2021年12月20日号の記事を紹介する。 *  *  * 「愛子内親王殿下ご成年に当たってのご感想」が12月1日に公表された。愛子さまは、ぶれない。読んでわかったことだ。  20年を振り返り、多くの人々への感謝を綴(つづ)った愛子さま。これからのことは、こうあった。 <成年皇族の一員として、一つ一つのお務めに真摯に向き合い、できる限り両陛下をお助けしていきたいと考えております。そして、日頃から思いやりと感謝の気持ちを忘れず、小さな喜びを大切にしながら自分を磨き、人の役に立つことのできる大人に成長できますよう、一歩一歩進んでまいりたいと思います> ■通底している価値観  愛子さまらしいな、と感じた。言葉遣(づか)いやトーンに見覚えがあったのだ。少し考え、学習院女子中等科の卒業記念文集に愛子さまが書いた作文「世界の平和を願って」を思い出した。  修学旅行で訪れた広島を書いたものだが、「感想文」ではなく、「平和論」になっている。「ご感想」と特に重なると感じたのは、ほぼ最後のこの一節だ。 <空が青いのは当たり前ではない。毎日不自由なく生活ができること、争いごとなく安心して暮らせることも、当たり前だと思ってはいけない。なぜなら、戦時中の人々は、それが当たり前にできなかったのだから。日常の生活の一つひとつ、他の人からの親切一つひとつに感謝し、他の人を思いやるところから「平和」は始まるのではないだろうか> 「空が青い」は作文の書き出しを踏まえていて、巧みな構成なのだが、ここでは「ご感想」との重なりを見てみる。文字遣いはやや違うが、共通する言葉がある。「一つ一つ」「感謝」「思いやり」だ。「日常の生活一つひとつに感謝し」という表現は、「ご感想」の「小さな喜びを大切にしながら」に重なる。  通底しているのは、「小さなことを大切にし、互いを思いやり、努力を積み重ねる」といった価値観だと思う。そういう営みへの信頼感がトーンとなっている。それが平和への道で、成年皇族の日々。言い換えるなら、成年皇族の道は、平和に通じる。愛子さま、深い。 皇太子ご夫妻(当時)と共に学習院女子中等科入学式場に向かう愛子さま/2014年4月6日、東京都新宿区 ■人柄がにじむ記述  この作文、昨年8月12日に中満泉(なかみついずみ)国連事務次長がツイッターで紹介している。前日、陛下と雅子さまに核軍縮について話をした席で渡されたという。進講に関連して娘が立派な作文を書いていたら、ついつい渡したくなる。そんなお二人の親の気持ちが伝わって、ほっこりしたことも思い出した。  ところで愛子さまの「言葉の力」だが、「世界の平和を願って」に限った話でない。学習院女子高等科の先生が、太鼓判を押しているのだ。成年にあたり宮内記者会が「在学中で印象深かった思い出」を中学、高校時代の恩師に尋ねた中で、高3のクラス担当教員がこう答えている。 <現代文の授業の感想では人生は有限だということを再認識され時間は戻らないものなので今を充実させたいということ、休み時間に学内で販売されている「ごきげんよう弁当」を注文して楽しみにしていること、高3になるまで無欠席であった友人の急な欠席を非常に心配していることなど、お人柄がうかがえる記述が思い出されます>  きっと作文の話だろう。人生の有限性からお友だち、そして「ごきげんよう弁当」。幅広く、具体的な記述から人柄がにじむとは、まさに「文才」だ。  ということをお誕生日当日の朝に報じたのが、「めざまし8」(フジテレビ系)。皇室担当解説委員も出席、紹介したのが中学1年時に執筆したという“短編小説”だった。学習院女子中等科・高等科「生徒作品集」(2014年度版)に掲載されたものだそうだ。 ■看護師愛子を包む空気 「私は看護師の愛子。最近ようやくこの診療所にも患者さんが多く訪れるようになり、今日の診療も外が暗くなるまでかかった」と始まる。  待合室で居眠りをしてしまった愛子が気づくと、診療所は海の上。流されたのか、町が海に変わったのか。助けを呼ぶにも電話が通じない。翌朝、扉を叩く音がする。片足を怪我したカモメだ。手当てをしたら、それから次々と海の生き物が来るようになる。治療するうち、愛子の名は海中に知れわたる。そして、話はこう終わる。 <そう。愛子の診療所は、正に海の上の診療所となったのだ。今日も愛子はどんどんやって来る患者を精一杯看病し、沢山の勇気と希望を与えていることだろう> 「塩山蒔絵(まきえ)十種香道具」を眺める愛子さま/2021年11月22日、三の丸尚蔵館  愛子さまは「ご感想」で、「人の役に立つことのできる大人に成長できますよう、一歩一歩進んでまいりたいと思います」と綴っていた。海の上の診療所における「愛子」そのものだ。愛子さまはぶれていない。冒頭でも書いたが、また書いた。  この小説を読んで、もう一つ感じたことがある。愛子さまも看護師愛子も、落ち着いているのだ。全体が、しーんとした空気で包まれている。そこはかとない寂しさと言い換えてもよい。この感覚を表すにふさわしい言葉を探してみた。浮かんだのは「孤高」だった。 ■美智子さまから継いだ  愛子さまの文才はどこから来たのかと聞かれたら、「上皇后美智子さまから」と答えたい。美智子さまが語り、書いた美しい言葉は枚挙にいとまがないのだが、中から『新・百人一首 近現代短歌ベスト100』に収録された御歌をあげることにする。 <帰り来るを立ちて待てるに季のなく岸とふ文字を歳時記に見ず>(12年歌会始)  お題は「岸」。前年に起きた東日本大震災を詠んでいる。亡くなった人々を岸で待つ人々に、思いを致す。「岸」が歳時記にないというのは、つまり待つ人の心は季節を問わないということ。とは、選者で日本を代表する歌人、故・岡井隆さんの解説からの受け売りだ。岡井さんは美智子さまを「技芸すぐれた歌詠みでいらっしゃる」と書いている。  この才能をまず受け継いだのは、娘の黒田清子さん。愛子さまが今回ティアラを借りた、叔母にあたる人だ。清子さんの才は結婚直前に『ひと日を重ねて 紀宮さま 御歌とお言葉集』という本が出版されたほどだが、中からある短歌を紹介する。 <遠い海今は見えないこの目でも波の音しかきこえない海>  小学校2年生の清子さんが初めて歌会始に詠んだものだと、元東宮女官の和辻雅子さんが巻末で紹介している。すぐに「海の上の診療所」を思い出した。題材が同じだという以上に、そこはかとなく漂う寂しさのようなものが共通しているのだ。  清子さんも愛子さまも、「皇太子の長女」として生まれ、「天皇の長女」として成年した。2人がまとう、孤高の空気。皇室に生きる厳しさを幼い頃から感じているのだろうか。  来年の歌会始には、愛子さまの歌も披露される。お題は「窓」だ。(コラムニスト・矢部万紀子)※AERA 2021年12月20日号
愛子さま皇室
AERA 2021/12/14 08:00
雅子さまは愛子さまのお手本「出しゃばらず、“絵”になる気品」 果たした5つの貢献とは?
上田耕司 上田耕司
雅子さまは愛子さまのお手本「出しゃばらず、“絵”になる気品」 果たした5つの貢献とは?
58歳を迎えられた雅子さま(宮内庁提供)  皇后陛下、雅子さまは12月9日、58歳の誕生日を迎えた。外務省のキャリア官僚としてバリバリ働いていた生活から、皇室に入った雅子さま。その歩みは平坦ではなかったものの先日、長女の愛子さまが成人を迎えられた。令和の皇室における雅子さまの存在の大きさと役割について、皇室ジャーナリストの神田秀一氏に聞いた。 *    *  * ふりかえれば、雅子さま(当時・小和田雅子さん)が天皇陛下(当時・皇太子)との婚約会見を行なったのは1993年1月19日のこと。雅子さまは婚約会見で「6年近く務めた外務省(北米2課)を去ることに、寂しさを感じないと申しましたらうそになると思います」と率直に語った。半年後の6月9日に結婚の儀をあげた。  神田氏は、当時の様子をこのように語る。 「雅子さまが結婚した頃、私は宮内記者会の一員でした。東京都目黒区の小和田邸にもちょくちょく出向いて、取材したものです。たくさんの取材陣や見物人が黒山のようにいましたね」  婚約会見から28年11カ月の歳月が流れた。神田氏によると、雅子さまは皇室に「5つの貢献」を果たしてこられたという。 トランプ前米大統領来日の際に、メラニア夫人と談笑する雅子さま  まず、国賓を日本に招いた時の雅子さまの貢献。 「雅子さまは外務省の外交官として通訳官もしていたほどに英語が堪能ですから、海外から国賓を招いた時、言葉に不自由しないんですね。宮中晩餐会が催されても、国賓と心が通った会話できる。その国との絆が強くなり、見えない“外交”で貢献なさったと思います。さらに、相手に通訳がついている時は、雅子さまは出しゃばらず、目で合図して通訳に任せるんですね。そうやって気を配る人なんです」  2つ目の貢献は、皇室の人気や気品を保ったこと。 「雅子さまがご結婚した頃は、英国のダイアナ元妃が日本でもプリンセスとしてお茶の間で話題になっていました。雅子さまもプリンセスのイメージがあって、追っかけ主婦が登場するほどの人気となりました。雅子さまが車の窓を開けてお手ふりする姿が“絵”になるんですね。気品があり、海外のどこの国に出しても安心できる皇后だと思います」  体調がすぐれない時期もあったが、令和の時代になると国民の人気は復活。平成から令和へのお代替わりで行われたパレードでは、沿道につめかかけた多くの国民が「雅子さま~」と熱心に呼びかけた。雅子さまも感極まって、目がうるみ、そっと手を添える印象的なシーンもあった。 うるんだ目元に手を添える雅子さま  3つ目の貢献は「適応傷害」に苦しみながらも、女性皇族のトップとして公務をこなしていること。雅子さまは2004年6月、適応障害の診断を受け、長い療養生活に入った。天皇陛下は当時の記者会見で「雅子のキャリアや、そのことに基づいた雅子の人格を否定するような動きがあったことも事実です」と発言した。天皇陛下が雅子さまを温かく守っていることも垣間見えた。 「皇室に入って苦しんで病気になられた。美智子上皇后も一時期、声が出なくなったことがあった。皇居の中は古くて、息苦しい世界なのです。天皇家には姓がなく、名前しかない。これ一つ取っても 一定の縛りの中で生活しているということです。結婚した女性は男子を生むことを期待される。皇室典範によってふるまいなどさまざまな制約を受け、勝手なことができないようになっています。雅子さまは日本国民として生まれながら、一般国民とは全く違う生活を送らなければならないのです」  なぜ雅子さまが体調を崩したのか、だれかが雅子さまをイジメるようなことがあったのか、神田氏も取材でかけずり回った覚えがあるという。 「具体的な推測をする記者もいました。体調不良の原因となったことはわからずじまいです。だけど、女性皇族はかくあるべしというものは変えられずに依然として残っていますね。ティアラやローブ・デコルテの正装も明治天皇の時代でできあがったものなんですよ。皇室のしきたりは、時代に合うようにそろそろ見直してもいいのではないかと思います」  4つ目の貢献は保護犬を育て、ご養蚕の伝統を守るなど、生き物を大事にされていること。 「天皇ご一家は動物好きで、赤坂御用地に迷い込んだ犬が産んだ子犬2匹も飼っていました。現在の愛犬・由莉(ゆり)も、保護犬。ご養蚕については明治天皇の妻である昭憲皇太后から始まり、歴代皇后の伝統として引き継がれてきた“私的行為”。 美智子上皇后から引き継いで伝統を守っていますね」  5つ目の貢献は、愛子さまを成人皇族に育て上げたこと。 「愛子さまがあんなに立派に成長し、20歳を迎えられたのは、雅子さまがいつもそばにいて大切に育て、女性皇族としてのお手本を示して来られたからだと思います。女子が生まれたことで、『女性天皇』『女系天皇』の皇位継承の議論にも火がつきました。小泉政権の時には女性・女系が容認する方向となりましたが、その後、気運はしぼんで、流れてしまいましたが」 三権の長からの祝辞を受けるため、皇居・宮殿「梅の間」に入る天皇、皇后両陛下と愛子さま  現政権下では、政府の有識者会議が皇位継承のあり方を議論し、年内にも報告書をまとめて、政府が国会に報告する予定だ。 「だけど、あまり期待できなさそうですね。皇族が減少しており、手を打つことは必要だと思います」  神田氏は雅子さまがバースデイを迎えたことをこう祝福した。 「一国民として、誕生日おめでとうございますと申し上げます。もしも、どうしても解決できない問題があったら、リモートの時代ですから、スマホやPCなどを使って、ヨーロッパの王室の方々とも意見を交わしながら、日本の皇室のために力を尽くしていただきたいと思います」  来年1月2日の恒例の皇居の一般参賀は密を避けるため、残念ながら中止。雅子さまはコロナ後の皇室の「ニュースタンダード」をどのように作ろうとしているのだろうか。多くの国民が期待している。(AERAdot.編集部 上田耕司)
愛子さま皇室誕生日雅子さま
dot. 2021/12/09 10:00
稲垣えみ子「インスタ女子・男子たちの心はここではなく、画面の中にある」
稲垣えみ子 稲垣えみ子
稲垣えみ子「インスタ女子・男子たちの心はここではなく、画面の中にある」
元朝日新聞記者 稲垣えみ子  元朝日新聞記者でアフロヘア-がトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。 *  *  *  先日、縁あって友人のカフェのお手伝いへ。もともとは普段着の常連さんがまったりダラダラ過ごす店だったんだが、なぜか最近、キラキラ女子(時々男子)が大挙して押し寄せるようになり、開店から閉店までてんてこ舞いの忙しさなのである。  そう彼女(彼)たちこそは、噂(うわさ)に聞く「インスタ女子(男子)」なのであった!  なぜそうなるのかはよくわからないのだが、注文する品は皆ほぼ同じで、折に触れ連発するセリフは「かわいい~」。インスタのために来店されているので、スープが先に来ても、すべての皿が揃(そろ)うまで何分でもじっと待っておられる。当然、スープは冷めるので申し訳なく思うが、さりとて混んでくると狭い厨房(ちゅうぼう)ではサクサク全ての品を用意できぬこともある。それでも文句一つ言わず、というかそもそも気にしている風もなく、すべてが揃ったところであれこれの角度から丁寧に写真を撮り、互いに写真を撮りあって、その後は普通に食べて「ごちそうさま」と帰って行かれるのだった。 暖かかった東京もようやく木々が色づき始める。地面の落ち葉を見て歩くのが楽しい季節(photo 本人提供)  驚くのはその熱意だ。  店が小さいのですぐ満席になってしまうのだが、1時間ほどお待ち頂くかもと言っても「待ちます」と即答。遠方から来たとおぼしき、スーツケース持参の方もいる。  そして、待っている間も食べている間も、絶えずスマホで何かをチェック。総じて礼儀正しく、感じが良い。挨拶(あいさつ)もしっかりにこやかに。スーツケースの置き場所を確認することも怠らない。  なのに。なぜだろう。大忙しの1日を終えた時、行き場のない思いがたまっていることに気づく。  彼女たちの心は「ここ」ではなく、「画面の中」にあった。接するこちらの心も、気づけばスカスカになっていた。互いの礼儀正しいやり取りは、誰にも受け止められずどこかへ飛んで行った。  なるほど人は同時に二つの人生を生きることはできないのだと気づく。どんなにテクノロジーが発達しても、人生は一つ。あちらを選べばこちらはないのである。 稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行※AERA 2021年12月6日号
稲垣えみ子
AERA 2021/12/06 17:00
タイガー・ウッズ復帰への道 丸山茂樹「相変わらずきれいなスイング」
丸山茂樹 丸山茂樹
タイガー・ウッズ復帰への道 丸山茂樹「相変わらずきれいなスイング」
丸山茂樹  ゴルファーの丸山茂樹氏はタイガー・ウッズ氏(45)のスイングに驚きの声を上げた。 *  *  *  今年2月にアメリカのロサンゼルス近郊で交通事故を起こしたタイガー・ウッズが、練習場でボールを打つ動画を自身のSNSで公開しました。  20回は見ました。相変わらずきれいなスイングですね。ただ試合に復帰することを考えると、歩いて4日間できるところまでいくのかっていうのが一番の問題点じゃないですかね。そこをどう克服していくか。  でも右のフットアクションを使ってボールを打てたってのは、タイガーの医療チームが相当にすごかったんだなと。改めて思いましたね。粉砕骨折ですからね。どうやって立ち直ったんだと思います。  12月2日に彼主催の試合があります。そこに出場するのはちょっと厳しいとは思うんですけど、カートに乗ってプレーできるところまでいけばいいですね。  さて、国内男子ツアーの「ダンロップフェニックス」(11月18~21日、宮崎・フェニックスCC)はチャン・キム(31)が逆転優勝でツアー7勝目を挙げました。チャンは賞金王争いのトップに立ち、2位の木下稜介(30)に1183万円以上の差をつけました。  あの試合は一発逆転ウルトラチャンスなので、そこで優勝するってのは大きいですね。あと残り2試合ですけど、木下をはじめとする日本勢にも意地を見せてほしい。  木下はこの試合、最終日に単独トップで出ましたが逃げ切れず。でも決して悪いプレーをしたんじゃないんでね。相手がよすぎたんで、これはもう仕方ないことですから。  大事なところでああいう試合ができたというのを誇りに思って、残り2試合で安定したプレーができるかってのが大事ですね。それが必ず賞金王につながる道だと思うんで。木下には残り2試合を命がけでやってもらいたいですね。最初で最後のチャンスと思ってやってほしいです。  チャン・キムは春から15キロほどやせたんですってね。そもそも細くてスラッとした選手だったのに、いきなりけがから10キロぐらい太っちゃってね。それから戻らなくなってたんですよ。やせたというより戻ったって感じです。  国内女子の下部ツアー「京都レディース」(11月17~19日、京都・城陽CC)で、18歳の佐久間朱莉さんが優勝しました。今年3月22日に開いた「丸山茂樹ジュニアファンデーション高校3年生卒業ゴルフ大会」で女子の2位に入った選手です。1位だった岩井千怜(ちさと)さん、3位だった明愛(あきえ)さん(ともに19)の岩井姉妹に続く下部ツアー優勝でした。  僕らに関わってくれた子たちがこうやってツアーに勝ってくれるなんて、喜ばしいです。とくに3月のマルジュニアは何とか高3生に思い出を作ってあげたいという思いから計画した試合でしたから、あそこから出たみんなが早くもいい結果を出しているのは、ほんとにうれしいですね。 丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。※週刊朝日  2021年12月10日号
丸山茂樹
週刊朝日 2021/12/05 07:00
15歳の茶トラ愛猫の看取りと旅立ち 「ここにおるよー」瀕死の借りぐらし猫が喪失感を埋めた
水野マルコ 水野マルコ
15歳の茶トラ愛猫の看取りと旅立ち 「ここにおるよー」瀕死の借りぐらし猫が喪失感を埋めた
先住猫の「きな」。新入りは名前の一字をもらいました(提供)  飼い主さんの目線で猫のストーリーを紡ぐ連載「猫をたずねて三千里」。今回お話を聞かせてくれたのは、福岡県在住のヨガ講師、児玉妙子さん。自営業の夫と高齢猫とのんびり暮らしていた夏の終わり、家の前で一匹の三毛猫と出会いました。その猫は顔に大けがを負っていて、獣医師によると「傷口からしてエンジンルームでの事故」だそうです。前編・後編にわけて掲載します。今回は後編。保護から2ケ月が過ぎると、その猫と猫をとりまく環境に変化がおきました。  >>【前編:振り返った猫を見て「まさか顔に穴?」 ガリガリの一匹を保護した夫婦「どうか猫バンバンを」】から続く  <前編の記事のあらすじ> 顔に穴が空いてように大きなけがを負った野良猫。車のエンジンルームに入って事故にあったと思われました。傷は深く、生々しく治癒していない上に、病気もあり、相当厳しい状態。それでも児玉さん夫婦は見捨てることができず、保護することを決めました。先住猫いたので、隔離しながらの生活です。児玉さん夫婦は、まだ名前をつけることができず、親しみを込めて「あいつ」と呼んでいました。 けた外れのがんばりをみせる「あいつ」。獣医さんにも厳しいと言われていたが生命力を信じたい(提供) *  *  * 保護から2ケ月、「あいつ」に変化が起きました。 「あいつ」は玄関でひとりでいる時に、にゃあにゃあと鳴くようになったのです。ごはんをあげる時の狂わんばかりのトーンとは違う感じの声です。人恋しい、とでもいうような。  もしかしたら、わが家にきて、外の生活では感じなかった「さみしい」という感情に出会ってしまったのかもしれません。大けがをしてしんどい時に、そばに人間でもなんでもいた方が気がまぎれるとか、そんな感じなのでしょうか。  前編でも紹介したとおり、家には15歳の「きな」という茶トラのおばあちゃん猫がいました。大けがを負った「あいつ」は、白血病ウイルスは陰性、猫エイズが陽性でした。傷がひどいので、「きな」といきなり接触させないように隔離していたのです。だから「あいつ」は玄関のケージで生活していました。  にゃあにゃあという声が玄関から聞こえると胸が痛みました。始終そばにはいられないし、まだまだ(傷の具合からしても)「きな」と一緒にできません。そこがすごくつらかった……。でも「こちらも最大限尽くすので、君も早く傷を治して、私たちや『きな』と思いきり一緒にいられるようにがんばれ」と思うようにしました。  完治するまで(お金も時間も)どれくらいかかるかわからないけど、「きれいになった顔の写真が撮れる日が早くきたらいいなあ」と思うようにもなりました。  獣医の先生は「どうなるかわからないが、鼻ぺちゃのパグみたいになるかもしれない」とおっしゃいました。私は、ニュータイプの猫さんになるかもな、と。もちろん、どんな見た目でも気にしません。猫である時点でもう、かわいいのだから。  とにかく助けた以上はなんとか命をつなぎたいし。私にできることがあれば、精いっぱいやってあげたい。まさに、これは献身のヨガ。バクティヨガです。何でも修行に結びつけてしまいますが(笑) ◆ 先住猫と同居はかなわなかったけど 一字もらって命名 在りし日の「きな」と「まる」どちらも偶然に出会った(提供) 「あいつ」と出会ったのは8月の終わり。9月、10月と「あいつ」が玄関のケージ内でけがの治癒に向けてがんばる一方で、部屋にいるおばあちゃん猫「きな」の状態が悪くなっていきました。もともと「きな」は慢性腎臓病を患っていたのですが、11月になり容体が悪くなり、半月ほど点滴を受けるなどして、闘病を続けました。  悟り開き系の女子猫と、おばあちゃん猫は、“合う”かもなんて同居を夢みましたが、残念ながら叶わず、「きな」は先日、息をひきとりました。  「きな」は15年前、以前住んでいたアパートの前で出会った野良の茶トラでしたが、茶トラの雌というのは珍しいそうです。わがまま放題のお姫様で、気が強くて……でも優しく、美しかった。  じつは私たち夫婦は、1月にも、茶トラの「まる」という雄猫を14歳で亡くしているんです。「まる」は、私と夫の目の前を走る車に急にぶつかり、保護した猫でした。まるで、体を張って「僕を拾って」とアピールするようでした。  『ラブストーリーは突然に』という歌がありますが、猫との出会いもいつも突然に訪れる。そして別れはいつも悲しいもの。  「まる」の最期は(都合で)夫だけで看取り、「きな」の最期は私がしっかり看取りました。ひとりぼっちで逝かせなかったことはよいのですが、いざいなくなると想像以上の喪失感でした。私たち夫婦には子どもがいませんが、子どもが巣立った後はこんな感じかなと……。  けれど「あいつ」がおなかをすかせています。「ここにおるよー」と鳴きます。「あいつ」のお世話をさせていただけるのだから、ぼんやりしてもいられません。 「きな」が旅立ったあと、「あいつ」の正式な名前を決めました。  それまで呼んでいた「あいつ」の“つ”と、「きな」の“な”をもらい、「つな」としました。  これは想像ですが、「きな」は体が悪くなる前に、扉越しに「つな」に猫語で話していたんじゃないかな。 「私、だいぶ腎臓が悪いんよ、こいつら夫婦のこと頼むよ。こいつら、猫おらんかったらダメだから」  ……そう思えるほどのがんばりを、「つな」は「きな」亡き後に、見せてくれました。 ◆「つな」の頑張りと、わたしからのお願い ミラクルな頑張りをみせる「つな」(提供)  12月に入り、「つな」との生活は、3カ月を越えました。獣医の先生も驚いていました。  かさぶたが取れて傷が少しよくなったので、ケアも前進。今は「つな」を洗面台に連れていき、洗浄ボトルにいれた水で顔の傷口を洗い流すようにしています。洗った後は赤ちゃん用のおしりふきで優しくぬぐい、そこに抗生剤入りの軟膏を塗り、目薬も差すようになりました。 ふつう、猫は一つの場所にとどまるのが苦手だと思うのですが、「つな」は洗面所でもおとなしくして、やはり動じません。  ただ、少し前に病院に行った時。先生が、「傷は治ってきているが、基礎疾患もあるし、年を越すのは難しいかも。怪我が治る前に病気で逝くかもな」とつぶやいたのです。  余命を突き付けられた感じです。  でも余命はあまり気にしていません。  毎日お世話をしてきて、人間とは違う猫の生命力のすごさを身に染みて感じているから。  もし「つな」が先生のいうように年を越せなかったとしても……寒くないようにして、ごはんを食べて、最期の時までゆっくりと過ごしてくれればうれしいし、もっと生きてくれるのは大歓迎。  そもそも、「つな」は、事故がなければ地域猫として、(病気を抱えながらも)外で今も自由に暮らしていたはずです。大けがを負ったのは、車=人間のせいだと思っています。  私は「つな」のけた外れのファイトを称えたいと同時に、事故に遭ったことに意味を付けたかった。だから、少し衝撃的な話だけれど、このコーナーに応募しました。  これから寒くなるにつれて、外にいる多くの猫さんが、暖を取るためにタイヤの間やエンジンルームに入りやすくなります。どうか、車に乗ったらエンジンをかける前に、車のボンネットをバンバンと叩いて猫さんに知らせる(車から出す)「猫バンバン」をしてみてください。  「つな」と私からの、お願いです。  (水野マルコ) >> 【前編:振り返った猫を見て「まさか顔に穴?」 ガリガリの一匹を保護した夫婦「どうか猫バンバンを」】を読む 【猫と飼い主さん募集】「猫をたずねて三千里」は猫好きの読者とともに作り上げる連載です。編集部と一緒にあなたの飼い猫のストーリーを紡ぎませんか? 2匹の猫のお母さんでもある、ペット取材歴25年のベテラン・水野マルコ記者が飼い主さんから話を聞いて、飼い主さんの目で、猫との出会いから今までの物語をつづります。虹の橋を渡った子のお話も大歓迎です。ぜひ、あなたと猫の物語を教えてください。記事中、飼い主さんの名前は仮名でもOKす。飼い猫の簡単な紹介、お住まいの地域(都道府県)とともにこちらにご連絡ください。nekosanzenri@asahi.com 連載一覧はこちら>>
ねこ三千里猫バンバン茶トラ
dot. 2021/12/04 14:00
「嘲笑の的」だったフレディの姿は“戦略的演出” 楽曲は「人生の応援歌」 80年代のQUEENの魅力
「嘲笑の的」だったフレディの姿は“戦略的演出” 楽曲は「人生の応援歌」 80年代のQUEENの魅力
クイーンの魅力を存分に味わえる展示。未公開写真、貴重映像、楽器などの品々が堪能できる(撮影/写真部・戸嶋日菜乃)  結成50年、フレディの死から30年。足跡をたどるQUEEN展が開催中。「ボヘミアン・ラプソディ」に代表される70年代に限らない、彼らならではの魅力がそこに。AERA 2021年12月6日号の記事を紹介する。 *  *  *  大型スクリーンに映し出されたフレディ。一度見たら忘れられないあの顔が、マイクを手に歌い上げる。1985年7月、世界規模で開かれたロックのチャリティーコンサート「ライブ・エイド」でのクイーンの雄姿である。 「QUEEN50周年展─DON’T STOP ME NOW─」のメインビジュアル。86年のツアーで撮影された有名な一枚だ(撮影/写真部・戸嶋日菜乃)  ああフレディ・マーキュリー。早世したロック界のマラドーナ、異形の大輪の華よ。フレディなくしてクイーンが不朽の存在であることは、おそらくなかったろう。91年にエイズのため45歳で死去。その生涯を描いた大ヒット映画「ボヘミアン・ラプソディ」のクライマックスは、圧倒的パフォーマンスで語り草になったこのシーンだった。  フレディ、ブライアン・メイ、ロジャー・テイラー、ジョン・ディーコン。不動のメンバーがそろった結成から50年、フレディの死から30年の今年、その足跡をたどる「QUEEN50周年展」が東京・渋谷の西武渋谷店モヴィーダ館で開催中だ(来年2月13日まで)。 クイーンのステージの雰囲気を間近で体感できるコーナー。ロジャーのドラムにブライアンのギター。華麗な演奏が思い浮かぶ(撮影/写真部・戸嶋日菜乃)  メンバー4人の子どものころの貴重な写真(ブライアンの女装姿など)に始まり、前身バンド「スマイル」時代、73年のデビュー、そして美貌の4人が織りなす、ロック史に輝く不滅の名曲「ボヘミアン・ラプソディ」に代表される怒濤の快進撃が年代順に紹介される。 80年代は人気低落?  QUEEN展は結成40周年の年や昨年初めにも開かれたが、「今回はあまり日の当たらない『ライブ・エイド』後の80年代後半以降に焦点を当てた」と製作委員会の担当者。86年の欧州ツアーでフレディが身にまとったド派手なマントと王冠や、晩年の曲「愛しきデライラ」のアイデアが走り書きされたメモ用紙の展示が目を引く。 初期の手作り感が伝わるアイテムの数々。バンドの紋章はフレディのデザイン(撮影/写真部・戸嶋日菜乃) 「彼は先が長くないのはわかっていたけれど、決して哀れみを乞うようなことはなかった」  とフレディについて語るブライアンの最近のインタビュー映像も。 「企画の趣旨はとてもうれしい。80年代の楽曲はずっと無視されがちだったから」  と話すのは朝日順子さん(51)。英語と日本語のバイリンガルで、全楽曲の歌詞を解説した『クイーンは何を歌っているのか?』を一昨年に出版。曲を深掘りするNHK-FMの毎週日曜の番組「ディスカバー・クイーン」にも出演している。  朝日さんと一緒に、クイーン展を見て回った。  父の仕事で子ども時代を米国で過ごした朝日さんは80年、小学4年のときに帰国。年上のいとこからクイーンのライブ盤を借りて聴き、夢中になった。 「でも80年代になってクイーンの人気は落ち込み、私の周りにはファンなんていなかった。音楽雑誌にも載らなくなっていた」(朝日さん)  75年に初来日したクイーンは、長髪で痩身、中性的で美しいルックスもあいまって、それまでロックと縁のなかった少女たちから絶大な支持を獲得。洋楽ロックの世界を席巻した。  当時筆者は(すでに解散していた)ビートルズ好きの北海道の中学生。キャッチーでノリのいいハードロックと「キラー・クイーン」「ボヘミアン・ラプソディ」の素晴らしさに仰天した。アルバム「オペラ座の夜」は新時代の「サージェント・ペパー」のようだった。ロック以外のさまざまな要素を取り込む創作法もビートルズと似ていた。 80年代前半の活動を紹介するコーナー。82年発売のアルバム「ホット・スペース」は全米トップ20に入れず苦戦した(撮影/写真部・戸嶋日菜乃) 舞台芸術と自己演出  だが全身にぴったり張り付いたタイツに身を包み、怖いもの見たさの女子をドキドキさせるようなフレディのパフォーマンスは、ロックの華麗さと猥雑ぶりが満開。田舎の男子学生をひるませた。  80年代になると短髪にひげ、「ハードゲイ風のファッション」が彼の定番となり、「遠い存在」と正直感じた。  80年にクイーンの楽曲にほれ込み、ファンになった朝日さんにとっては、ファッションより曲こそが重要だった。 「80年代、フレディの姿は嘲笑の的だった。でもそれはいい。ゲイファッションが欧米のロック界で流行、彼は戦略としてその波に乗ったんです。70年代の中性的な衣装もそう。彼は舞台芸術と自己演出に関心と才能があった」「でも、80年代の彼らの素晴らしい音楽まで馬鹿にされるのが不思議で、とても腹が立ちました」 86年のマジック・ツアーで披露されたフレディの衣装。深紅のヴェルヴェットに毛皮がついたゴージャスなマントに王冠 寄り添ってくれる歌  85年5月、中学3年の朝日さんはオリジナルメンバー最後のクイーン日本公演に行った。2カ月後のライブ・エイドではテレビの前にかじりつき、クイーンの「伝説のチャンピオン」の途中でCMになり激怒した。  91年11月24日、フレディ死す。朝日さんは大学生だった。生前最後のアルバム「イニュエンドウ」を聴けなくなった。正気を保てなくなる気がしたからだ。2018年に映画「ボヘミアン・ラプソディ」公開。見て平静でいられなかった。クイーンはいまも生々しい存在なのだった。  クイーンの歌詞は、70年代では伝説や神話を取り入れるなど英国的に作りこんだ曲が目立つが、80年代になると、米国進出を意識したこともあり、シンプルさが特徴という。 「人生の応援歌と解釈できる歌がいくつもある。厳しい現実に立ち向かう勇気を与えてくれる。現実から逃れたいときに聴いても最強。しっかり寄り添ってくれる歌だから。SNSでバッシングされて悩む人にもクイーンのよさを勧めたい」(朝日さん) フレディの熱唱。85年「ライブ・エイド」での歴史的パフォーマンスが上映されている(photo 小北清人) あこがれと美を体現  クイーンは、デビューからずっと英国などで評論家筋に叩かれ続けたバンドだ。ロックがカウンターカルチャーでなくなり、娯楽となった時代に大成功したせいもあるかもしれない。 「第二の母国」と呼ぶほど愛した日本のファンへの対応は格別だ。一部が日本語で歌われる曲「手をとりあって」では「僕らはみんな愚かで無知だと人は言うだろう でも心を強く持って くじけてしまわないで」と呼びかける。それがファンの心に刺さるのだ。  70年代に日本の少女の心をワシ掴みにしたクイーン。あこがれと美を体現する存在として、メンバーを少女漫画のイラスト風に描くなど多くの人が「私だけのクイーン」愛を育てた。年齢を重ねたいまも想いが変わらない人もいるだろう。  長年のビートルズファンである筆者は何となくわかる気がする。ジョンとポールが演奏中に軽く笑顔でうなずきあう映像を見ると、満ち足りた、幸せな気分になる。この喜びは他のものでは代えがたい。ファンにしかわからない愛し方があるのだ。 「地獄へ道づれ」「永遠の誓い」「アンダー・プレッシャー」「ブレイク・フリー(自由への旅立ち)」「ONE VISION─ひとつだけの世界─」「アイ・ウォント・イット・オール」──。80年以降の名曲の数々。あ、どこかで聴いたな、という曲ばかりだ。  アフリカの非キリスト教徒の家に生まれ、インドで育ち、難を逃れ英国に移り住んだフレディの人生を思うとき、その背景と才能が、クイーンを唯一無二の「娯楽としてのロックの巨人」たらしめたと思わずにいられない。  THE SHOW MUST GO ON.(ライター・小北清人)※AERA 2021年12月6日号
AERA 2021/12/04 11:30
時代とともに変わるジェンダー・ギャップを知る40作品 映画を学ぶ学生や上野千鶴子さんらが選んだ過去と現在のリアル
中村千晶 中村千晶
時代とともに変わるジェンダー・ギャップを知る40作品 映画を学ぶ学生や上野千鶴子さんらが選んだ過去と現在のリアル
「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」(2019年、日本)片渕須直監督によるアニメーション。大ヒットした「この世界の片隅に」に、遊郭で働く女性リンのエピソードなどを追加した新作(c)2019 こうの史代・双葉社/ 「この世界の片隅に」製作委員会  日本大学芸術学部の学生たちが企画する映画祭が12月4日に始まる。今回のテーマは「ジェンダー・ギャップ」。1930年代から現代まで、幅広い年代の作品を選んだ。若者たちが映画のなかに見つけた問題と、そこから学んだものは何か。AERA2021年12月6日号の記事を紹介する。 *  *  *  ジェンダー・ギャップ映画祭は、日本大学芸術学部映画学科映像表現・理論コースの映画ビジネスゼミの一環。11回目の今年は19人(男性3人、女性16人)が半年をかけて準備を進めた。企画・運営メンバーの一人、長谷川諒(りょう)さん(21)が、こう話す。 「最初はLGBTQを含むジェンダーをキーワードにしていました。ちょうどそのころ、森喜朗氏の女性蔑視発言があったんです。こんなことを言ってしまうのかと衝撃を受け、時事性と若い世代に訴えたいとの思いから『ジェンダー・ギャップ』がテーマに決まりました」  作品の選出や上映の交渉も学生たちが行う。担当教授の古賀太さん(60)は「2017年に始まった#MeToo運動以降、ジェンダー・ギャップを題材にした映画は増えています。だからこそ、若者ならではの切実な視点と、映画を学ぶ学生らしい意外性のある作品選びを、とアドバイスしました」という。 昔も今も問題は同じ  メンバーは学校やアルバイト先で実際に感じたことを話し合い、15作品を選んだ。性差に疑問や悩みを持ち、行動する女性を描いた作品が中心だ。企画リーダーの林香那さん(21)は「選出過程にも学びがありました」と話す。 「1930年代の『新女性』や『浪華悲歌』と、最も新しい『ある職場』は、いずれも職場でのセクハラを扱っています。時間が経っても変わらない問題があると、改めて思いました」  佐々木悠佳(ゆうか)さん(21)も言う。「『はちどり』や『RBG 最強の85才』など、ジェンダー・ギャップの概念ができてからの映画は理解しやすく、みんなの意見もまとまりやすかった。でも、1930年代の映画には、女は台所にいるべきだという考えが露骨に表現されていたりして、ん?と思うことも。でも、それが当たり前だった時代を知ることで、今がどうなっているかが分かると感じました」  社会学者で東京大学名誉教授の上野千鶴子さん(73)はラインアップを絶賛する。「歴史的な映画を選んでいることに感心しました。女性のいまを知るには、まず過去や歴史を知ることが大事です。私たちの問題はどこから始まって、現在どこまできているのか。映画からはリアルに学ぶことができます」 取材に応じた運営メンバー。映画祭は12月4~10日、東京・渋谷のユーロスペースで。前売り券は900円~。詳細はhttp://nichigei-eigasai.com 男性も自分事と感じて  メンバーの経験や視点の違いも15作品に表れている。海外留学経験のある嶋田萌さん(20)は「少女は自転車にのって」など海外の女性の現状に目を向けた。田崎優歌さん(21)は「人によってギャップの受け取り方が違った」という。 「私は『5時から7時までのクレオ』にジェンダー・ギャップの視点があるとは感じてこなかった。映画祭は、この作品をそう感じる人がいるのだ、ということを考えるきっかけにもなるのではないでしょうか」 「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」の監督で映画学科特任教授の片渕須直さん(61)は、2000年に手がけた「アリーテ姫」が自身のジェンダー・ギャップへの意識を高めるきっかけになったと話す。 「女性の問題を男性である自分が描くことで、問題の本質が明らかになるのではと挑戦した」と振り返る。以降、女性作家による原作の映画化を、自身の解釈を交えて手がけてきた。 「『この世界の~』では、主人公のすずさんが嫁ぎ先で『自分の新しい名字をとっさに思い出せない』というシーンを、原作より強調して描きました。結婚によって、自分という存在が薄まっていく感覚を表現したかったんです」  一方で、生きにくさの実感は女性に限ったことではない、と片渕さんは指摘する。「人間がいかに自己を圧迫されるか、それはどういうときかを考えると、女性、男性に関係なく、その瞬間はある。女性のことを描いた映画を見ながら男性も『これ、自分のことだよな』と感じられることが大事だし、そうした映画の見方が増えてほしい」  しかし日本の現状は厳しい。ジェンダー・ギャップ指数は世界156カ国中120位。男女格差は依然として埋まらない。  古賀さんによると、映画学科の現在の学生数は635人。3分の2にあたる395人が女性だが、映画業界の門戸は決して広くない。佐々木さんもぼやく。 「撮影・録音コースの学生はほぼ女子ですが、実際にプロの撮影現場にいくと女性は一人もいない。ここで学んでいる女の子たちはどこへ消えていくのだろう?と思ってしまう」 「新女性」(1935年、中国)1930年代の上海を舞台に自立か男性への依存かで揺れる女性を描く。山内菜々子の活弁と宮澤やすみの三味線付きで上映。蔡楚生(ツァイ・チューション)監督/国立映画アーカイブ所蔵 学びが行動につながる  そんななか、映画祭での学びは行動にもつながった。先の総選挙では、取材したメンバー5人中、実家に住民票がある1人をのぞく全員が投票した。「選択的夫婦別姓やジェンダーについての政策を気にするようになった」と全員が口をそろえる。  上野さんもエールを送る。 「日本の状況を変化させるためには、行動して社会を変えないとダメ。いまはSNSでのアクティビズムなどハードルが下がりました。こうした映画祭をはじめ、どんどん声を発信してほしい」  前出の林さんは言う。 「ジェンダー・ギャップを一過性のブームにしたくない。そのためにも私たち自身が考え、行動を続ける必要があると感じています」 ジェンダー・ギャップ映画祭運営メンバーが選んだ15作品 「新女性」(1935年、中国)1930年代の上海を舞台に自立か男性への依存かで揺れる女性を描く。山内菜々子の活弁と宮澤やすみの三味線付きで上映。蔡楚生(ツァイ・チューション)監督 「赤線基地」(1953年、日本)米軍基地周辺で生きる女性の現実を描き、公開直前に反米映画として上映が見送られた異色作。谷口千吉監督 「浪華悲歌」(1936年、日本)父の借金返済のため社長の愛人となった電話交換嬢だが──。溝口健二監督が働く女性の現実を冷静に見つめる 「月は上りぬ」(1954年、日本)女優・田中絹代による監督第2作。3姉妹の恋愛から当時の女性を取り巻く社会が見える。父親役は笠智衆。脚本は斎藤良輔と小津安二郎 「女が階段を上る時」(1960年、日本)女性映画の名手・成瀬巳喜男監督が銀座のバーの雇われマダム(高峰秀子)や同僚女性たちの生きづらさを描く 「5時から7時までのクレオ」(1961年、フランス・イタリア)女性監督の筆頭、アニエス・ヴァルダ作。街をさまようヒロインが男性から多くの視線を向けられる様も印象的 「叫びとささやき」(1973年、スウェーデン)巨匠イングマール・ベルイマン監督が19世紀スウェーデンの上流貴族女性たちの孤独を鮮烈な色彩で描く 「百万円と苦虫女」(2008年、日本)タナダユキ監督。100万円をためるごとに各地を転々として生きるヒロイン(蒼井優)の成長を描く 「ハンナ・アーレント」(2012年、ドイツ・ルクセンブルク・フランス)アイヒマン裁判を傍聴し「悪の凡庸さ」を世に問うた女性哲学者を描く。マルガレーテ・フォン・トロッタ監督 「少女は自転車にのって」(2012年、サウジアラビア・ドイツ)サウジアラビア初の女性監督、ハイファ・アル=マンスールが自国の女性差別に抗う少女の奮闘を活写する(c)2012, Razor Film Produktion GmbH, High Look Group, Rotana Studios All Rights Reserved. 「少女は自転車にのって」(2012年、サウジアラビア・ドイツ)サウジアラビア初の女性監督、ハイファ・アル=マンスールが自国の女性差別に抗う少女の奮闘を活写する 「RBG 最強の85才」(2018年、アメリカ)女性最高裁判事として国民的アイコンとなったルース・ベイダー・ギンズバーグを追ったドキュメンタリー 「はちどり」(2018年、韓国・アメリカ)学生たちが満場一致で選出。女性監督キム・ボラが1990年代の韓国で14歳の少女が直面する世界を描く 「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」(2019年、日本)片渕須直監督によるアニメーション。大ヒットした「この世界の片隅に」に、遊郭で働く女性リンのエピソードなどを追加した新作 「この星は、私の星じゃない」(2019年、日本)1970年代のウーマンリブ運動をカリスマ的に牽引した田中美津さんを追ったドキュメンタリー。吉峯美和監督 「ある職場」(2022年公開、日本)実際のセクハラ事件をもとに舩橋淳監督が後日談をフィクションとして映画化。本映画祭でプレミア上映 女性たちの声よ届け!ジェンダー・ギャップを学べる映画25選 <歴史&名作が教えること> 「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」(2019年、アメリカ)シアーシャ・ローナン主演。1868年に発表された名作『若草物語』をアップデートした作品。グレタ・ガーウィグ監督(日芸生おすすめ) 「ビリーブ 未来への大逆転」(2018年、アメリカ)RBG=ルース・ベイダー・ギンズバーグの人生をフェリシティ・ジョーンズが演じる。ミミ・レダー監督 「未来を花束にして」(2015年、イギリス)女性参政権を求めて立ち上がった女性たちの運動「サフラジェット」を描く。キャリー・マリガン主演。サラ・ガヴロン監督 「燃ゆる女の肖像」(2019年、フランス)18世紀、画家として表に出ることのできなかった女性肖像画家と、望まぬ結婚を控える貴族の女性の恋。メイドの女性とのシスターフッドも描かれる。セリーヌ・シアマ監督 「アンモナイトの目覚め」(2020年、イギリス)19世紀イギリスで功績を男性に奪われ続けた実在の女性古生物学者(ケイト・ウィンスレット)と主婦(シアーシャ・ローナン)の邂逅を描く。フランシス・リー監督 「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」(2017年、アメリカ)エマ・ストーン主演。女子テニスプレーヤーの地位向上をかけて闘った実在の元世界チャンピオン、ビリー・ジーン・キングを描く。ヴァレリー・ファリス&ジョナサン・デイトン監督 「ドリーム」(2016年、アメリカ)NASAに貢献した女性科学者たちの知られざる物語。セオドア・メルフィ監督 「アリーテ姫」(2000年、日本)フェミニズムの児童文学とされる『アリーテ姫の冒険』をアニメーション映画化。望まぬ結婚で人格を奪われた姫が、自分の力で自分の生き方を切り開いてゆく。片渕須直監督 <世界の状況を知る> 「ペトルーニャに祝福を」(2019年、北マケドニアほか)北マケドニアの女性禁制の祭りで1番になった女性の実話をもとに描く。テオナ・ストゥルガル・ミテフスカ監督(日芸生おすすめ) 「モロッコ、彼女たちの朝」(2019年、モロッコほか)未婚女性の妊娠が「ふしだら」とされるイスラム社会を描く。マリヤム・トゥザニ監督。公開中 「モロッコ、彼女たちの朝」 (2019年、モロッコほか)未婚女性の妊娠が「ふしだら」とされるイスラム社会を描く。マリヤム・トゥザニ監督。公開中 (c)Ali n’ Productions - Les Films du Nouveau Monde - Artemis Productions 「少女は夜明けに夢をみる」(2016年、イラン)薬物や売春などで更生施設に収容されたイランの少女たちにカメラを向けたドキュメンタリー。メヘルダード・オスコウイ監督(上野千鶴子さんおすすめ) 「あなたの名前を呼べたなら」(2018年、インド・フランス)インドで若くして未亡人になった女性が田舎にいられず、都会でお金持ちの男性のメイドとして働くうちに叶わぬ恋が芽生える、現代社会の問題を内包したラブロマンス。ロヘナ・ゲラ監督 「ソニータ」(2015年、スイス・ドイツ・イラン)アフガニスタン難民の16歳の少女が強制結婚から逃れようとラップで世界に苦境を訴えたドキュメンタリー。ロクサレ・ガエム・マガミ監督 「裸足の季節」(2015年、フランス・トルコ・ドイツ)トルコの田舎の封建的な社会のなかで自由を奪われた5人姉妹を描く。デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン監督 「第三夫人と髪飾り」(2018年、ベトナム)19世紀ベトナム。富豪に嫁いだ若き第三夫人の運命を描く。アッシュ・メイフェア監督(上野千鶴子さんおすすめ) 「娘よ」(2014年、パキスタン・アメリカ・ノルウェー)パキスタン北部で部族間の争いの代償として婚姻させられる10歳の娘を救おうとする母の逃避行を描く。アフィア・ナサニエル監督(上野千鶴子さんおすすめ) 「パピチャ 未来へのランウェイ」(2019年、フランス・アルジェリアほか)アルジェリア暗黒の10年のなかの少女たちを描く。ムニア・メドゥール監督(日芸生おすすめ) <#MeToo先進国の現状は?> 「プロミシング・ヤング・ウーマン」(2020年、アメリカ)キャリー・マリガン主演。レイプされて自殺した親友の仇討ちを独自の方法で実行する女性の復讐劇。エメラルド・フェネル監督 「17歳の瞳に映る世界」 (2020年、アメリカ)現代の米ペンシルベニア州で望まぬ妊娠をした高校生が中絶のため従姉妹とニューヨークへ旅する。エリザ・ヒットマン監督 DVD:3,980円(税込み) 発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント (c)2020 Focus Features LLC. All Rights Reserved 「17歳の瞳に映る世界」(2020年、アメリカ)現代の米ペンシルベニア州で望まぬ妊娠をした高校生が中絶のため従姉妹とニューヨークへ旅する。エリザ・ヒットマン監督(古賀太さんおすすめ) 「スキャンダル」(2019年、アメリカ)シャーリーズ・セロン×ニコール・キッドマン主演で#MeTooの先駆けとなった全米テレビ局のセクハラスキャンダルを描く。ジェイ・ローチ監督 「スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち」(2020年、アメリカ)ハリウッドで道を切り開いてきた女性スタントたちを描くドキュメンタリー。エイプリル・ライト監督 「<主婦>の学校」(2020年、アイスランド)ジェンダー平等・連続12年1位のアイスランドの「男女共学」の家政学校のドキュメンタリー。ステファニア・トルス監督 <現代の日本を生きる女性たち> 「あのこは貴族」(2020年、日本)山内マリコ原作。地方出身者の苦労人女子(水原希子)と東京・松濤生まれのお嬢様(門脇麦)のつかの間の邂逅に、階級や女性の生きにくさを潜ませた話題作。岨手由貴子監督 「明日の食卓」(2021年、日本)椰月美智子原作。フリーライター(菅野美穂)、専業主婦(尾野真千子)、シングルマザー(高畑充希)、それぞれ子育てとキャリアの両立や、ワンオペ育児に苦しむ3人の女性をミステリータッチで描く。瀬々敬久監督 「由宇子の天秤」(2020年、日本)フリーのテレビディレクター由宇子が思わぬ事件に巻き込まれる。男性の身勝手さを前に正義を揺さぶられる女性をリアルに描く。春本雄二郎監督(古賀太さんおすすめ) (フリーランス記者・中村千晶)※AERA 2021年12月6日号
AERA 2021/12/04 08:00
愛子さまと雅子さまの髪形には意味があった? “お揃いヘア”卒業に見た2人の「強さ」
矢部万紀子 矢部万紀子
愛子さまと雅子さまの髪形には意味があった? “お揃いヘア”卒業に見た2人の「強さ」
2021年9月6日【19歳】新しく完成した皇居の御所へ入る天皇、皇后両陛下と長女愛子さま。愛子さまは学習院大学に在学中  愛子さまが成人する。その際に注目するのが、ヘアスタイルだ。髪形には、愛子さまの思いや雅子さまとの距離感などが投影されてきたようなのだ。 AERA 2021年12月6日号から。 *  *  *  天皇陛下と皇后雅子さまの長女愛子さまが12月1日、20歳の誕生日を迎える。大学の授業の関係で、成年の行事は1日と5日に分けて行うという。  5日に宮中三殿の参拝、勲章(宝冠大綬章だそうだ)親授などを経て、上皇ご夫妻にあいさつ、その後、宮殿で皇族方や三権の長から祝賀を受ける。  行事にあたり、愛子さまは参拝服、ローブ・モンタント、ローブ・デコルテと3着を新調したという。どんなデザインなのか、とても楽しみだ。が、それ以上に私が注目しているのは、愛子さまのヘアスタイルだ。  秋篠宮家の佳子さま(2014年に成人)と眞子さま(小室眞子さん、11年に成人)は、そろって長い髪をアップにして式に臨んだ。紀宮さま(黒田清子さん、1989年に成人)は、顎のラインでまっすぐに切り揃えたボブスタイルだった。愛子さまはこのところ、髪の毛を伸ばしているようだ。やはりアップにするのだろうか……。  などと思うのは、愛子さま、そして雅子さま、お二人にとって髪形はとても大きな意味を持つ──勝手にそうとらえているからだ。ある時からずっと、お二人はそっくりのロングヘアになった。写真をさかのぼると、愛子さまが先に伸ばし、雅子さまが追いかけたことがわかる。「適応障害」という病を得た雅子さま。学校に行きづらい時期もあった愛子さま。お二人そっくりの髪形は、皇室という場所で悩みながら生きる母娘の「絆」の象徴のように思っていた。 おでこ見せロングヘア  ところが今年4月、愛子さまは腰近くまであった髪をばっさり切り、肩までのボブヘアになった。その日、愛子さまが乗っていた車の隣には雅子さまがいて、ロングヘアをまとめる定番の髪形だった。ああ、もうお揃いは完全に卒業なのだとしみじみした。お二人がそれぞれの「強さ」を得た、と思えたのだ。  まずは簡単に、愛子さまのヘアスタイル史を振り返ってみる。  06年4月、学習院幼稚園の入園式に出席した愛子さまは、制帽から肩下10センチほどの髪を見せている。お隣で微笑む雅子さまの髪は、肩まで届いていない。それから2年、08年の学習院初等科の入学式。愛子さまの髪はさらに長くなり、前髪を上げておでこを見せている。雅子さまも前髪を上げたロングヘア。お揃いヘアでの入学式。  雅子さまのお誕生日に公表される写真を見てみると、07年にはお二人お揃いになっている。つまり06年から1年かけて、雅子さまが愛子さまお好みのロングヘアに追いつき、以後それをキープしているということになる。お揃いの「おでこ見せロングヘア」は愛子さまが5歳の時からの定番なのだ。 2008年4月21日【6歳】雅子さまと手をつないで学習院初等科に通学する愛子さま。一時期、雅子さまが通学に付き添った つらい状況の風除け  あの当時を振り返ると、雅子さまの「適応障害」が公表されたのが04年。その年と翌年は、お誕生日にも写真が公表されないという事態だった。06年に皇太子さま(当時)も一緒にオランダを私的訪問、雅子さまと愛子さまが「笑っている」ことが話題になったりした。その時、雅子さまはまだ肩くらいの髪、その横で長い髪を可愛く編み込んだ愛子さまがはしゃいでいた。  07年以降のお二人そっくりの髪形は、つらい状況に耐える風除けのようにも見えた。雅子さまには髪を娘と同じ長さにすることが心の支えだったろうと思う。10年、初等科2年の愛子さまに不登校問題が起きた時も、お揃いヘアの雅子さまが毎日のように付き添った。が、中等科でも不登校が報じられる。  愛子さまの「生きづらさ」のようなものの深刻さは、15歳になった16年のお誕生日写真にはっきり写っていた。折れそうなほど痩せた姿だった。「生きにくさ」はどこから来るのか。「生まれた時から男の子でないことが自己否定につながっている」と指摘してくれた女性がいて、目から鱗が落ちたのは令和になる直前だった。それはさておき。  翌17年、高等科に入学してから愛子さまは元気になっていった。お代替わりに向けて雅子さまの活動も確実に増えた。愛子さまは「前髪ありのロングヘア」が定番になり、時に顔の両横に長い髪を一筋垂らすこともあり、「今どきの女の子だなあ」とホッとした記憶がある。  20年、学習院女子高等科の卒業式はコロナ禍もあり、愛子さま1人で報道陣の前に立った。堂々とした受け答えの後、式場に向かう後ろ姿には、ポニーテールが揺れていた。 19歳の春ボブに変身  そして今年4月、愛子さまはボブヘアへと大変身した。30センチ近くは切ったであろう思い切りの良さに、愛子さまの強さを感じた。愛子さまは皇室を「自分の場所」としたのだろう、と。皇后となった雅子さまもきっと同じ思いに違いない、とも。 2021年5月6日【19歳】皇居に入る愛子さま。長く可愛がっていた愛馬「豊歓(とよよし)号」に別れを告げるための皇居訪問。髪形をボブに  などという勝手な解釈より、愛子さまの言葉だ。聞ける日が近い。成人にあたっての記者会見が開かれるのが、内親王の恒例だ。いつになるのか、宮内庁は発表していない。来年以降という報道もあったが、愛子さまが初めて国民に対して思いを語る場となる。これからと将来、両方を語ることになるだろう。  愛子さまは「女性皇族」としての自分をどうとらえているのだろう。眞子さんが儀式なし、一時金辞退という結婚を選択したのは、女性皇族と一個人とのせめぎ合いの結果だったように思う。「天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」とだけ皇室典範で定められている女性皇族。公務に励んでも、その先に待っているのが何なのか、すごく曖昧な存在だ。愛子さまは、「天皇家の長女」という立場と、「愛子」という一個人としての立場をどう捉えているのだろう。(コラムニスト・矢部万紀子)※AERA 2021年12月6日号より抜粋
愛子さま皇室雅子さま
AERA 2021/12/01 07:00
村上茉愛 「2時間の説教」がもたらした転機と「日本女子」を強くしたいという思い
村上茉愛 「2時間の説教」がもたらした転機と「日本女子」を強くしたいという思い
村上茉愛(むらかみ・まい)/1996年生まれ。リオ五輪に出場、東京五輪では銅メダルを獲得。今年の世界選手権では種目別ゆかで金メダルに輝いた。現役引退後は指導者の道に進む[撮影/蜷川実花、hair HIROKI(W)、make up 早坂香須子、styling 大和田ゆき、costume KLOSET(H3O ファッションビュロー)]  東京五輪で銅メダル、世界選手権では2度の金メダルに輝いた。「日本女子として初」がつく功績をいくつも残し、名を歴史に刻んだ。だが、体操人生は決して順風満帆ではなかった。AERA 2021年11月29日号から。 *  *  * ――最初に脚光を浴びたのは2010年。14歳のとき、得意のゆかで全日本チャンピオンになった。日本の女子は「脚力が弱い」といわれていた中、132センチ、30キロの小さな体で高々と跳び上がり、高難度の宙返りを連発。まさに「ゴムまり」が弾むような演技で見る者を驚かせた。池谷幸雄(ソウル、バルセロナ両五輪メダリスト)の体操クラブの1期生という話題性もあった。  あれから11年ですよね。あの頃は人より筋力があって、体も丈夫でした。このままポン、ポン、ポンと上にいくのかなと思っていました。 ――13年には、初出場した世界選手権のゆかでいきなり4位に入った。だが、ここから苦悩が始まる。  日本に帰ってきてから燃え尽きた感じになってしまって、体操に真剣に取り組まなくなっちゃいました。仮病を使って練習を休んだこともありました。もともと気分屋でコツコツ練習を積めない弱さがあるのも自分でわかってはいたんです。でも、指摘してくれる人がいないからと、甘えていました。 ――翌年は国内最高峰のNHK杯で4位に沈んだ。高校3年生。女性として体に変化が現れる時期と重なり、減量にも苦しんだ。当時、母がこっそり見たノートには「こんなんじゃ、死んだ方がましだ」と書かれていたという。  今じゃ考えられないですけど、重量が軽いものを食べれば体重が増えなくて、体が動くと思っていたんです。だから、ごはんを残して、隠れてお菓子を食べていました。だらしないアスリート、っていうか、アスリートですらなかったですね。「村上茉愛は終わった」っていう声も聞こえてきたし、私自身もそう思っていました。 「考えを改めなさい」 ――それでも、大学は練習が厳しいことで知られる強豪の日体大を選んだ。  社会に出て普通に仕事につけるように、とりあえず大学に行って卒業しておこうという思いがあった一方で、弱い自分を変えたいという気持ちもありました。日体大に入れば、立て直してくれるかなと(笑)。「もう、このままでいいや」と投げやりなことを言いながらも、心の底で諦めていなかったのは、体操が好きだったからだと思います。 AERA 2021年11月22日売り表紙に村上茉愛さんが登場 ――この選択は結果的に吉と出た。そして、入学直後、どん底から抜け出すきっかけとなる出来事が起こる。15年4月の全日本個人総合選手権。ゆかで予定していた最後の宙返りを「放棄」したのだ。  朝起きたら腰が痛くて、「今日の試合はだめだな」とすぐに諦めてしまった。今考えたら、すごく恥ずかしいことをしてしまったけど、あの時は深く考えていなかったから、平然とああいうことができたんだと思います。 ――24選手中21位という散々な結果に終わったあと、指導を受ける瀬尾京子監督に呼び出され、2時間の説教を受けた。 「考えを改めなさい」と言われました。その時は気持ち的にも荒れていて、「改めるって言われてもなあ」と思ったんです。そのあとも、すぐに行動を変えられたわけじゃなく、髪の色を明るくして注意されたり、態度の悪さが原因で母が呼び出されたり。でも、母が隣で泣いているのを見て「これじゃダメだ」と。そうやって時間をかけて「改める」という言葉の意味を理解していきました。  練習も徐々に変わっていきました。以前は失敗したら、そこで終わっていた技の練習も「成功するまで」とか「あと何本はやる」とか毎日コツコツやれるようになりました。 ――今月8日の引退会見でも、最も思い出深い試合として、この「惨敗」を挙げた。そして、言葉を詰まらせながら言った。  あれで強い意志とアスリートとしての自覚を持てるようになりました。あの言葉がなかったら、今はないのかなと思っています。 メダルをとり続ける ――17年の世界選手権のゆかではついに頂点に立った。そして、2大会連続出場となった東京五輪ではゆかで銅メダル。日本女子が表彰台に上がるのは、団体で銅メダルを獲得した1964年の東京五輪以来という快挙だった。  自分の存在を広く知ってもらえるようになったと感じたのは16年のリオデジャネイロ五輪なので、「遅咲き」と言う人もいると思うんです。でも、日本の女子体操界でこれだけ長く一線でやる選手も、五輪に2度、出る選手もなかなかいない。そういう選手になれて誇らしいです。 ――自身の功績には胸を張る一方、日本の女子体操界を見渡すと気がかりなこともある。  私がメダルをとるまで、日本の女子は前回の東京五輪以降、一度もメダルがなかったことを考えると、もっと強くなっていかなきゃいけないな、と。世界で常に決勝(予選の上位8人)に残れる選手、メダルをとり続ける選手がいる体操界になってほしいと思うようになりました。 ――現役生活の終わりが近づくにつれ、その思いはどんどん強くなっていった。だから、セカンドキャリアは指導者の道を選んだ。まずは母校の日体大でコーチとして後輩の指導にあたる。  いつか日本代表選手にも関わりたいです。日本の女子を強くするためなら何でもします。審判や指導者の資格をとるための勉強をして、振り付けもできるようになりたい。もともと踊ることは好きなんです。現役の時から、家でひとりで平気で3~4時間は踊っていました。BTSのファンで、振り付けも完コピできます! 今月末からダンスレッスンも始めるんです。早く体を動かしたい。競技としての体操はもういいですけど(笑)。 (朝日新聞記者・金島淑華)※AERA 2021年11月29日号
AERA 2021/11/29 11:30
学校現場の大問題

学校現場の大問題

クレーム対応や夜間見回りなど、雑務で疲弊する先生たち。休職や早期退職も増え、現場は常に綱渡り状態です。一方、PTAは過渡期にあり、従来型の活動を行う”保守派”と改革を推進する”改革派”がぶつかることもあるようです。現場での新たな取り組みを取材しました。AERAとAERA dot.の合同企画。AERAでは9月24日発売号(9月30日号)で特集します。

学校の大問題
働く価値観格差

働く価値観格差

職場にはびこる世代間ギャップ。上司世代からすると、なんでもハラスメントになる時代、若手は職場の飲み会なんていやだろうし……と、若者と距離を取りがちですが、実は若手たちは「もっと上司や先輩とコミュニケーションを取りたい」と思っている(!) AERA9月23日号では、コミュニケーション不足が招く誤解の実態と、世代間ギャップを解消するための職場の工夫を取材。「置かれた場所で咲きなさい」という言葉に対する世代間の感じ方の違いも取り上げています。

職場の価値観格差
ロシアから見える世界

ロシアから見える世界

プーチン大統領の出現は世界の様相を一変させた。 ウクライナ侵攻、子どもの拉致と洗脳、核攻撃による脅し…世界の常識を覆し、蛮行を働くロシアの背景には何があるのか。 ロシア国民、ロシア社会はなぜそれを許しているのか。その驚きの内情を解き明かす。

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