(撮影/直木詩帆、写真部・植田真紗美)
(撮影/直木詩帆、写真部・植田真紗美)

 親なら誰しも、自分の子どもにはいい大学に行ってもらいたいと思うのでは。受験には親の協力が不可欠。でも働く母は受験生には不利? いえいえ、そんなことはありません。実は、共働き家庭だからこその「ほったらかし」が重要なんです。東大合格者の親を取材した。

「中学高校と子どもが自分で弁当を作り、東大受験当日はおにぎりを用意していました」

 昨年、長女が東大理Iに合格した東京都港区在住の堀内睦子さん(56)。長女が小学校高学年のとき、学校事務員として再就職した。それで、弁当作りも自然に長女の仕事になった。小中高と伝統的な私立の女子校だったため、他の母親は専業主婦ばかり。

「娘に対する先生の評価は、クラスで一番勉強しない子。私は子どもの勉強には干渉しなかったので、熱心で努力家の母子と比較されました。確かに娘は計算ミスばかりでしたね(笑)」

 しかし、単なる放任ではない。振り返ると、勉強以外では厳しい親だった。小学校時代、プールの後に、友達がいつもジュースを飲んでいるからと小遣いをせがまれても、お茶で我慢させた。歩ける距離はバスもNG。目指したのは、東大に合格する子ではなく、強くたくましい子だ。

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