いつまでも美しくありたいというのは多くの女性の願望。美意識が高まり、美容にかける金額も増加する傾向にあるが、40代にさしかかるとさらに拍車がかかるらしい。

 37歳のある朝だった。いつものように鏡をのぞいたミカさん(41)は一瞬、目を疑った。目の下あたりに細かい黒い斑点が…シ、シミだ!

「ヤバい!と焦りました。美白には興味なかったのに、すぐにスティック状のシミ取りクリーム、美容クリーム、化粧水などをセットで買っちゃいました」

 この美白化粧品の大人買いを機に、化粧品クルーズが始まった。とりあえず安価で効果が高いと聞いた韓国の化粧品を手当たり次第試すことに。使って初めて「外からケアするとやっぱり違うんだ」と実感した。

 そうなると、止まらなくなった。40歳を過ぎて自分の体臭も「これって加齢臭?」と気になりだし、新陳代謝を高めようと今年から週イチでジム通いをスタート。ネイルは一回5千円で3週に1度、美容院は月に1回通う。パーマをかければ2万円超、カラーとカットで1万4千円だ。1リットル5千円の「ノニ」も復活させ、今は毎朝晩に30ミリリットルずつ飲む。最近では血液をさらさらにするための「アサイー」も加わった。

「手をかけずに美しさをキープできる時期は終わった。ずっと美しくいたいのであれば、お金と時間をかける必要があると思っています。美容代は37歳から上がりっ放しです」

「年齢を重ねても外見の若さを保ちたい」という40代、50代女性が増えている。美魔女ブームがそこに拍車をかけた。ブームの火付け役、40代女性向けの美容雑誌「美ST」が6月号で、読者100人に「美容にひと月いくら使うか」聞いたところ、月の平均美容代は約5万6千円だった。同誌の井上智明編集長は、

「この年代の女性たちは自身のメンテナンスにはこの金額が妥当だと思っています。単価は下げられても、アイテムを省くことはできない。情報が増える分、美容・医療の分野で必要なもの、ほしいものはどんどん増え、自分が諦めない限り美容代は増える一方だと思います。データからも読者は美容代を減らしたいとは思っていないし、今後も必要だと考えています」

AERA 2013年7月8日号