大学や高校の同窓会の運営を支える同窓会費。近年、その納付率が劇的に改善している。全国の有名私立高校7校、有名私立大学13校への調査で、学校側が苦肉の策を講じる実態が浮かび上がった。

 アエラは主要な私立大学と中高一貫校に、同窓会費の納付方法や金額、2012年卒業生の納付率を聞いた。その結果、回答のあった13大学のうち10校、7高校のうち6校が、ほぼ100%の納付率であることがわかった。それらの多くは学校が同窓会の代わりに集める「代理徴収」という形で、卒業前に前納させていた。

 同窓会は学校を支えているとはいえ、学校とはあくまで別団体。入会は本来、自由のはずだ。納付率100%は、驚くべき数字だといえる。

 代理徴収は、一般的には入学時や授業料納付の時期に、入学金や授業料と同窓会費の合計金額を保護者に示し、一括して大学に振り込ませるという方法で行われる。金額の内訳も示されるが、わざわざ同窓会費を引いた額を振り込む人は少ないかもしれない。学費と同窓会費の振込用紙を別々にしているという東京理科大では、12年卒業生の会費納付率が67%だった。

 こうした代理徴収の実態について苦言を呈するのは、『危ない私立大学 残る私立大学』(朝日新書)などの著書がある大学教育ジャーナリストの木村誠さんだ。

「本来は任意であるべきものを、学費と錯覚させて強要するのはいかがなものか」

 木村さんによると、給付型奨学金なども含め、在学中だけでなく卒業後もさまざまな恩恵を受けられれば、愛校心が生まれ納付率改善につながるという。

「どうしても代理徴収をしたいのなら、卒業後にも、それに見合うだけのビジネス情報提供や語学学習などの優待、転職支援や資格取得サポートなどの具体的な支援を行うべきです。払ったお金が、卒業生や在校生のために目に見える形で使われることが大切です」

AERA 2013年2月11日