第43回(2017年度)木村伊兵衛写真賞の一次審査が行われ、ノミネート作家と作品が決定しました。選考は写真関係者の方々からアンケートにより候補者を推薦いただき、選考委員会で決定しました。受賞者の発表は本誌4月号(3月20日発売)および朝日新聞紙上で行います。なお、選考委員は写真家の石内 都、鈴木理策、ホンマタカシの各氏と作家の平野啓一郎氏です。
【第43回木村伊兵衛写真賞ノミネート作家】
<片山真理>
展示「帰途」 群馬県立近代美術館(2017年1月21日~3月20日)
展示「無垢と経験の写真 日本の新進作家 vol.14」出展作 東京都写真美術館(17年12月2日~18年1月28日)
1987年埼玉県生まれ。群馬県育ち。先天性の四肢疾患により、9歳で両足を切断。幼少の頃から裁縫に親しみ、手縫いの作品や装飾を施した自身の義足を使用しセルフポートレートを撮影。2011年から「ハイヒールプロジェクト」をスタートし、歌手やモデルとしてハイヒールを履き、ステージに立つ。その他、講演、執筆など、多岐にわたり活動している。
<小松浩子>
展示「The Wall, from 生体衛生保全, 2015」(「THE POWER OF IMAGES」出展作)MAST(イタリア、ボローニャ、2017年5月3日~9月24日)
展示「人格的自律処理」(「鏡と穴-彫刻と写真の界面 vol.4 小松浩子」出展作)ギャラリーαM(17年9月9日~10月14日)
1969年神奈川県生まれ。2009年の初個展以降、国内外で個展、グループ展多数。10 ~ 11年、自主ギャラリー・ブロイラースペースを主宰、毎月個展を開催。15年、ドイツのThe 6th Fotofestivalで発表された作品がイタリアのMAST財団に収
蔵。17年、DIC川村記念美術館の光田ゆり氏のキュレーションで行われた『鏡と穴-彫刻と写真の界面 vol.4 小松浩子』が、「Artforum」のアーティストが選ぶベスト写真展(原美樹子選)に選出。
<笹岡啓子>
展示「SHORELINE」 photographers' gallery(2017年12月8~24日)
1978年広島市生まれ。東京造形大学卒。photographers' galleryを拠点に活動。広島を撮影した写真集『PARK CITY』で、2010年度日本写真協会賞新人賞を受賞。東日本大震災後、被災地域などを撮影した小冊子『Remembrance』( 全41号)で、林忠彦賞を受賞。このほかにVOCA展奨励賞(08年)、さがみはら写真新人奨励賞(12年)を受賞。現在、東北の被災地域だけでなく、海の記憶をもつさまざまな地域を交えた後続シリーズ『SHORELINE』の刊行と個展での作品発表を続けている。
<春木麻衣子>
写真集『_etc.』 赤々舎
1974 年 茨城県生まれ。玉川大学芸術学科在籍中、Goldsmiths College に留学。東京を拠点に活動。2018年1 月から新進芸術家海外研修員(文化庁)として渡仏。15 年東川賞新人賞、08 年「六本木クロッシング2007:未来への脈動」特別賞。展覧会に11 年「photographs, whatever they are」( 1223 現代絵画)、14年「写真の境界」(横浜市民ギャラリーあざみ野)、17 年「vision | noisiv」(TARO NASU)など多数。
<藤岡亜弥>
写真集『川はゆく』 赤々舎
展示「アヤ子、形而上学的研究」ガーディアン・ガーデン(2017年5月9~26日)
1972年広島県呉市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒。2008年新進芸術家海外研修員(文化庁)としてニューヨークに滞在。12年に帰国し、現在、東広島市在住。写真集に『さよならを教えて』( 04年、ビジュアルアーツ)、『私は眠らな
い』( 09年、赤々舎)、『川はゆく』(17年)。05年第24回写真『ひとつぼ展』入選、10年日本写真協会賞新人賞、16年伊奈信男賞受賞。サンフランシスコ現代美術館に作品が収蔵。
<細倉真弓>
写真集『jubilee』artbeat publishers・G/P gallery
1979年京都府生まれ。立命館大学文学部、日本大学芸術学部写真学科卒。主な個展に2017年「JJuubbiilleeeee」(G/P gallery)、「祝祭─Jubilee」(nomadnomad、香港)など。主な写真集に『クリスタル ラブ スターライト』(TYCOON BOOKS、14年)、『Transparency is the new mystery』(MACK、16年)、『Jubilee』など。17年12月に磯部涼と手がけた連載「ルポ 川崎」が単行本化、また連載の写真を再編集した『写真集 川崎』も同時発売された(ともにサイゾー)。