文章を書く「作文」という行為は、自分の気持ちを言葉で表現する大切なスキルとなります。夏休みの宿題で親子を悩ませるのが「読書感想文」。

 学校でもなかなか教わらない「作文力」を身につけることで、子どもたちが夏の難関をらくらく突破できるよう、取り組んでみてはいかがでしょうか。

■良書をたくさん読ませて読解力を身につけさせよう

 読解力とは、本を読んで内容を理解するとともに、行間から書き手の言いたいことを汲み取る力のこと。この読解力は、表現力とも密接に関係しています。

 たとえば、同じテーマで何かを書かせると、本をたくさん読んでいる子どもと、いない子どもとでは、その違いがすぐにわかるといいます。

 読解力のある子どもは、話のつながりが自然で、修飾語や比喩を上手に使いながら、作文全体をまとめることができます。一方、あまり本を読まない子どもは、事実を短く記述するだけの文になりがち。ですから、作文力をアップさせるには、まずはたくさんの本を読んで読解力を身につけることが大事なのです。

 物語が苦手なら、絵本や写真集、工作本などでもいいでしょう。大事なことは、そこに含まれているメッセージについて親子で語り合うこと。そうすることで、メッセージを読み解くことができるようになるうえ、メッセージに対する子どもなりの意見や感想を引き出すこともできます。それが、表現力へとつながっていくのです。

■読書感想文を利用して作文力を磨く

 作文の目的は、「自分の思いを言葉でわかりやすく伝える」こと。自由作文では自分の感じたことだけを書けばいいのですが、読書感想文はそうはいきません。作者の意図を理解し、自分の意見も書かなければならず、同じ作文でもよりハードルが高いのです。それでも、読書感想文にチャレンジすることは、間違いなく「作文力」を磨くことになりますから、上手に導いてあげることが大切です。

 まず、子どもがどんな感想文を書いているのか、どんなところで困っているのかをしっかり整理することから始めましょう。次に、3つのステップを踏みながら下準備を行います。そのうえでいよいよ書き出してみる。そうしたトレーニングを繰り返すことで、少しずつ「自分の思いを言葉でわかりやすく伝える」ことがスムーズにできるようになります。

 そして、本をたくさん読むことに加え、作文を書くことに苦手意識を持たないようにするためにも、日ごろから本のあらすじや感想などを言葉にし合う習慣を親子で身につけるようにしたいものです。

<書けない理由を整理しよう!>

「読書感想文を書いてみよう」と言われても、なかなか書けない子どもの場合、その理由はどこにあるのでしょう。まず、子どもがどこでつまずいているのかを探ってみることが大切です。

【どうしても書けない……】
 とにかく作文が苦手で前に進めないということはありませんか?原稿用紙に向かっても、何をどう書いていいかわからず、少し書いただけで止まってしまいがちです。

●書き進まない原因は、本を読んでもあまり喜怒哀楽を感じないからかも。書く前に、「感想を口に出す」練習から始めましょう。

●書くことが決まっていても、なかなか鉛筆が進まない場合は、単に書き慣れていないことが原因。日記や手紙などで、紙に文字を書く習慣をつけてあげてください。

【あらすじをそのまま書くだけ……】
 本を読んだ感想ではなく、あらすじを長々と書いてはいませんか?原稿用紙は埋まっているので、本人は書けた気持ちになっていることも。

●本を読んで思うことはあっても、言葉で表現することができずに、とりあえずあらすじを書いていることが多いもの。この場合も、感想を口に出して話す練習を続けてみましょう。

●気持ちを言葉にできても、どうしてそんな気持ちになったのか、その理由を説明できない場合もあります。「なぜそう思ったの?」と、その理由を引き出してあげるようにしましょう。

【言いたいことだけを書く……】
 すらすらと書いているように見えますが、思いつくままに書いているため、話があちこちに飛んだり、同じような話が何度も出てきてはいませんか?結局何を主張したのかがわからないことが多いケースです。

●思いついたことから書いてしまっています。その場合は、書く順序が決められなかったり、文章をどうつないでいいのかわからないのかもしれません。まず、感想をすべて口に出してしまい、整理することが大切です。そのうえで、いろいろ感じたことのなかから何を書くのかを決めていくようにしましょう。

<すぐに実践できる 感想文を上手に書くための3ステップ>

【ステップ1】 書く前に「心の動き」を付箋でチェックしよう
「感想」を自分で認識することができるようになります。

●感想文を書くために本を読む場合は、丁寧に読み込むことが必要です。全体のストーリーを追うと同時に、「自分の心が動いた場面」をはっきり意識するために、気になる場面に付箋でしるしをつけるようにします。本を読んで感じたことのうち、何を書くかが決まらずに迷っている子どもも、前に進めるようになります。

●低学年の子どもの場合は、「本を読んで心が動く」といってもピンとこない場合もあるかもしれません。そんなときは、「ドキドキしなかった?」「心配しなかった?」など、声をかけることで「感想」という概念を理解させることも大切です。

【ステップ2】 付箋を貼った場面を書き出してみよう
内容をしっかり整理することができるようになります。

●ノートを用意して、付箋を貼ったページ番号とその場面を簡単に表現した見出しを書き出します。加えて、悲しいとか心配したといった自分の気持ちもまとめます。低学年なら、わかりやすいマークを記入してもいいでしょう。

●各見出しを見比べ、実際に書くときの優先順位を決めます。書く順番はあまり深く悩まずに、まずは一番心に残った場面を子どもに選ばせ、ノートに順番をつけていきます。

【ステップ3】 感想文を豊かにする材料をそろえよう
読み手を引きつける感想文が書けるようになります。

●本の内容とリンクする自分の体験についてまとめてみましょう。本の主人公の行動や感情と比較したり、その体験で何を感じ、何を学んだかまで書くようにすると、さらに内容が豊かになります。

●書き出しの工夫を親子で考えてみましょう。素直な感想から入るパターン、本の中の言葉で始めるパターン、自分の思いを強く語るパターンなど、アイデアを出し合いながら進めると楽しくなります。

●ラストのまとめ方も大事です。単に面白かったではなく、本から学んだことなどで締めくくると完成度が変わってきます。

AERA with Kids × ミサワホーム

その他にも住まいに関するコラムがたくさん!
homeclub.misawa.co.jp/column/