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ミサワバウハウスコレクション

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 「バウハウス」という名前を耳にした人は、デザイン、美術、建築業界以外の一般的な人たちの中ではそう多くないだろう。でも、バウハウスでデザインされた幾つかの椅子は、そうだと知らずに使っていたり、身の回りのデザインの多くがルーツをたどるとバウハウスの思想につながる。

スイス・ネフ社により復刻されたバウハウスの積み木「バウスピール」(輸入元:㈱アトリエ・ニキティキ)
スイス・ネフ社により復刻されたバウハウスの積み木
「バウスピール」(輸入元:㈱アトリエ・ニキティキ)
 「バウハウス」は1919年、ドイツに設立された造形学校。建築、インテリアなど生活にまつわるものの開発に対し実験的な試みを行った。第一次世界大戦後の混乱した社会情勢の中、14年という短い期間ながらその活動内容は濃密で、モダンデザインの基礎を築いた。
 教師陣はカンディンスキーやヨハネス・イッテンなど多彩な顔ぶれ。創立者ヴァルター・グロピウスを始め3人の学長、3拠点、それぞれの時代背景により特色は異なるが、常に既成概念にとらわれない取り組み姿勢がいきいきさを映し出し、いまなお世界中から注目される理由の一つだろう。
現代にも生きるマルセル・ブロイヤーのデザインした椅子「チェスカ」(1928年)
現代にも生きるマルセル・ブロイヤーのデザインした
椅子「チェスカ」(1928年)
 また、装飾性を良しとする時代に、素材が持つ要素そのものを美しさとしてとらえた。工業用のガラスと金属をむき出しに組み合わせた照明、その視点は斬新で「機能と美」の可能性に迫った。フラットな屋根の箱型住宅、子供とともに成長する家具なども当時は画期的で、かつ、単なるデザイン追求ではなく、使い手である人間を無視していないということもバウハウスの要だ。

 日本唯一のバウハウス専門美術館「ミサワバウハウスコレクション」。
造形教育での習作から織物や陶・金属器、インテリア、グラフィック、舞台芸術、そして建築まで、幅広い分野で残された作品1500点を始め、資料や蔵書を所蔵。
1996年に開館した小さな美術館だが、もはやバウハウスに関する情報が国内外から集まる拠点となっているそうだ。
バウハウスの学生であり教師でもあったヨースト・シュミット の「バウハウス展覧会」ポスター(1923年)
バウハウスの学生であり教師でもあった
ヨースト・シュミットの「バウハウス展覧会」ポスター
(1923年)
 あるバウハウス学生の習作の束がコレクションの中にあった。ドイツの研究者を介して連絡がとれたその学生の遺族が感動し、彼の写真や資料を寄贈してくれた。それにより解明できたバウハウスの具体的な授業内容。「戦火もくぐり抜け無傷で残っていた上に、海を越えて日本にやってきた。不思議な縁を感じます。『学生の習作』という作品名が、調査の末に詳細が判明することで、適切なタイトルに変わるのは研究の醍醐味です」と学芸員の杣田佳穂さん。

 毎回切り口を熟考し、構成される企画展では、既知の一面的なバウハウス像ではなく、多様性を含んでいるバウハウスの真の面白さに触れることだろう。
 2014年3月14日まで「バウハウス、3つの地」と題し、展覧会開催中。バウハウスの3拠点とそれぞれの時代活動、作品を迷路のようなユニークな空間構成で紹介している。
ミサワホーム本社の「バウハウス応接室」。すべてバウハウスのインテリアでまとめられた特別な空間
ミサワホーム本社の「バウハウス応接室」。
すべてバウハウスのインテリアでまとめられた特別な
空間
 収集品を美術品としてとどめることなく、日本のデザイン発展につながる勉強材料として活かすミサワホーム。実際にモダンデザインの精神をお客さまに体感してもらうことを目的に、本社の応接室1室をバウハウス名作の椅子やカーペット、小物でしつらえている。バウハウスの作品群は色あせることなく、私たちにまだ可能性を問いかけ続けていることを感じる。

ミサワバウハウスコレクション
*企画展会期中のみ一般公開・予約制
所在地:東京都杉並区高井戸西1-1-19ミサワホーム総合研究所1F・B1F
開館日:会期中の月・火・木・金(12月27日~1月5日を除く)
開館時間:10時~12時・午後1時30分~5時(金曜日は~午後7時)
TEL:03-3247-5645(予約受付)

http://soken.misawa.co.jp/bauhaus/

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