米国人記者も驚く日本の突出ぶり テレビ報道は危機を煽り過ぎ? (1/2) 〈GALAC〉|AERA dot. (アエラドット)

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米国人記者も驚く日本の突出ぶり テレビ報道は危機を煽り過ぎ?

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伊藤友治GALAC

●米国の武力行使が前提の推測報道に疑問符

 「日本のテレビ報道を観ていると、米国が今すぐにでも北朝鮮に軍事制裁を加え、周辺国を巻き込んだ戦争に発展しかねない一触即発の情勢にあるかのように伝えているが、行き過ぎた報道とは言えないだろうか?」。米有力紙の海外特派員だった友人の来日を機に夕食を共にした際、ふと彼が口にした感想である。数年前から北東アジア情勢を専門にしているといい、懐疑的な感想の大本について次のように解説した。

 「トランプ政権が本気で軍事力の行使に踏み切ると考えている米国民はほとんどいないと思う。主要なメディアの報道も努めて冷静だ」「東京を訪れる前に、北京とソウルに数日間滞在したが、中韓両国のメディアは危機を煽ることなく、国民も平静だった。ところが、日本の騒ぎぶりは突出している」

 実は、私も同じような疑念を抱いていた。事実をありのままに伝えるというよりも、番組の構成に都合のいい情報を断片的に切り取り、「もしも」「仮に」という推論を積み重ねてゆく報道手法についてである。特に情報ワイドの生番組にその傾向が強い。

 各局の編成表に占める情報生番組の割合が大幅に増え、今やどの時間帯に、どのチャンネルを合わせても、大同小異の番組が目に飛び込んでくる。それぞれの番組が視聴率の獲得競争にしのぎを削るなかで、北朝鮮問題は格好のテーマなのだろう。2月14日に「金正男氏がクアラルンプールで暗殺された」という一報が入るやいなや、北朝鮮を巡る報道合戦に火がついた。

 「米朝の軍事衝突」即「日本の有事」という構図の報道に一層の拍車をかけたのは、米海軍によるシリア空軍基地に対する巡航ミサイル攻撃だ。さらに原子力空母「カールビンソン」が朝鮮半島の沖合に派遣されることが発表され、どの番組も米国の武力攻撃を前提とする特集や企画に軸足を移し始めた。例を挙げれば、

・米国はいつ、どんな時機に、どの拠点を、どんな方法で攻撃するのか?
・金正恩朝鮮労働党委員長の斬首作戦は可能か?
・北朝鮮はどのように反撃してくるか? 核兵器や生物化学兵器の使用もあり得るか?
・日本は北朝鮮のミサイルを迎撃できるのか? 着弾した場合の想定被害は? 身の安全の守り方は?

――等々である。軍事専門家や自衛隊元幹部を交えてのスタジオ談義には一定のもっともらしさがある。視聴者の多くは「仮想の議論」を、「米国の武力攻撃⇒北朝鮮の反撃⇒韓国や日本などに対する攻撃」という図式でとらえ、「今そこにある危機」と受け止めてしまうだろう。

 それを象徴する2つの出来事があった。宮城県大崎市は4月19日、Jアラートの機器整備中に防災行政無線で「当地域にミサイルが着弾する可能性があるので、屋内に避難して下さい」と誤った警報を一斉送信するミスを犯した。その10日後の早朝、北朝鮮が弾道ミサイルを発射したとの報道を受けて、都内の東京メトロの地下鉄9路線全線と北陸新幹線が緊急停車して一時運転を見合わせる事態に陥った。


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