●ニュース女子検証番組に東日本大震災 丁寧な現地取材が求められる

 次にTOKYO MXの「ニュース女子」にも、一言ふれる。1月2日放送の「ニュース女子」が、沖縄の基地反対派を「テロリスト」とか「2万円の日当をもらって参加している」などと伝え、問題視されていることは周知のとおりだ。3月13日、「ニュース女子」の制作会社は、検証番組と称するものをネットで公開。1月の放送分に誤りはなかったと主張した。これについてはBPO(放送倫理・番組向上機構)で審議中だが、その先駆けにもなるような番組が、1月29日、関西ローカルで放送された。「映像'17 沖縄 さまよう木霊~基地反対運動の素顔~」(毎日放送)である。丁寧な現地取材で、「ニュース女子」の間違いを具体的に指摘した。この番組の努力は多としたい。

 最後に3月11日東日本大震災から丸6年を迎え、9日から11日にかけて各局の夜のニュースは、それぞれメインキャスターを大きな被害を生んだ地域に派遣して報道した。しかし「ユアタイム」(フジテレビ)だけは、その体制をとらなかった。キャスターが現地に行けばいいというものではないが、キャスターが現地を踏むか踏まないかでは、伝わるものの重さが違う。「ユアタイム」はその点、どう考えているのか。見解を聞きたいものだ。

※『GALAC(ぎゃらく) 6月号』より

辻 一郎(つじ・いちろう)/ジャーナリスト。元毎日放送取締役報道局長、大手前大学教授など。「対話1972」「20世紀の映像」でギャラクシー賞、「若い広場」「70年への対話」で民間放送連盟賞などを受賞。著書に『私だけの放送史』など。