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●リアルとドラマの境界線に注目

 今月は東日本大震災から6年が経ち、震災をテーマにした番組が数多く話題に上った。月間賞となったNHKスペシャル メルトダウンFile・6「原子炉冷却 12日間の深層~見過ごされた“危機”~」は、東京電力福島第一原発の事故はなぜ起きたのかを探る番組。6年が経ち、新しい情報がなかなか出ないなかで、人工知能も使って会話から分析するところがスリリングだったとの意見が出た。

 このほか、NHKスペシャル「あの日 引き波が… 行方不明者2556人」や、テレビ岩手・宮城テレビ・福島中央テレビによる東北3局共同制作のNNNドキュメント'17「高校生がつなぐ~東北の未来、私たちの夢~」、NHKスペシャル シリーズ東日本大震災「“仮設6年”は問いかける」などが推薦され、今だからこその問題提起が評価された。震災の番組については、福島委員の私評を本誌にてお読みいただきたい。

 ETV特集「小野田元少尉の帰還~極秘文書が語る日比外交~」(NHK Eテレ)は、新資料と関係者の証言で小野田救出劇の舞台裏を明らかにした。住民30人を殺害した事実やその償いをめぐる外交交渉、小野田氏のその後の人生が克明に描かれ、事実は小説よりも奇なりと思わされる番組で月間賞に。

 そのほか、「ばあちゃんアイドル、シンガポールへ行く!」(NHK BSプレミアム)は、沖縄県の小浜島のおばあちゃんアイドルグループKBG84が、海外公演に行く模様を描いた番組。りゅうちぇるの沖縄弁での語りとともに話題に挙げられた。

 ドラマは「カルテット」(TBSテレビ)、「山田孝之のカンヌ映画祭」(テレビ東京)が月間賞に選ばれた。特に「カルテット」は、最初はミステリーと思わせつつ、会話劇としての細やかさを描きながら、俳優たちの演技とが見事に融合した作品と評価された。このほか「カンヌ映画祭」や「スーパーサラリーマン左江内氏」(日本テレビ)も、どうなるのか予想がつかないという作風で共通点が見られた。また、今期は「バイプレイヤーズ」(テレビ東京)や「住住」(日本テレビ)、「こんにちは、女優の相楽樹です」(テレビ東京)など、本人が本人役を演じる作品も多く、虚実ないまぜの作品が多くみられたことについても大いに議論された。

 バラエティでは、芸人がネタを書き、俳優が演じる「笑×演」(テレビ朝日)や、原作者のさくらももこの脚本の選りすぐりが放送された「連載30周年記念!さくらももこ脚本まつり!」(フジテレビ)などが挙げられた。「ちびまる子ちゃん」に関しても、GALAC6月号をご覧いただきたい。(西森路代)

※『GALAC(ぎゃらく) 6月号』より