ペットブームを作り出すテレビの姿勢を問う (3/5) 〈GALAC〉|AERA dot. (アエラドット)

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ペットブームを作り出すテレビの姿勢を問う

太田匡彦GALAC
スコティッシュフォールド(左)とポメラニアン

スコティッシュフォールド(左)とポメラニアン

ブームにより飼育数が急激に変化

ブームにより飼育数が急激に変化

太田匡彦(おおた・まさひこ)/1976年東京都生まれ。98年東京大学文学部卒。読売新聞東京本社を経て2001年朝日新聞社入社。経済部記者、『AERA』編集部記者、メディアラボ主査などを経て16年4月から現職。著書に『犬を殺すのは誰か ペット流通の闇』(朝日新聞出版)、共著に『動物のいのちを考える』(朔北社)などがある

太田匡彦(おおた・まさひこ)/1976年東京都生まれ。98年東京大学文学部卒。読売新聞東京本社を経て2001年朝日新聞社入社。経済部記者、『AERA』編集部記者、メディアラボ主査などを経て16年4月から現職。著書に『犬を殺すのは誰か ペット流通の闇』(朝日新聞出版)、共著に『動物のいのちを考える』(朔北社)などがある

 ペット業界幹部は「『犬だけでなく猫も』という安易な兼業繁殖業者が増えてきている」と懸念する。犬は普通、年に2回しか繁殖できないが、猫は日照時間が長くなると発情期が来るタイプの季節繁殖動物。大手ペット店チェーン経営者によると「猫は蛍光灯をあて続ければ年に3、4回繁殖できる。犬のように運動させる必要もないから狭いスペースで飼育でき、とにかく効率がいい」という。母猫の健康を考えない繁殖が行われているおそれがあるのだ。

 遺伝性疾患の増加を懸念する声もあがっている。前出の大和教授は「日本国内の繁殖用の猫は、犬に比べるとまだ集団が小さく、犬よりも遺伝性疾患が広がりやすいと考えられる。原因遺伝子が特定できている遺伝性疾患は、繁殖業者の段階でアフェクティッド(発症者)やキャリアー(保因者)の個体を繁殖から徐々に外していけば、確実に減らしていける。しかし犬ではそれがあまり実践されず、猫も同じ轍を踏みつつある」と指摘している。

 冒頭に紹介した人気猫種のスコティッシュフォールドは、骨軟骨形成不全症が優性遺伝する。優性遺伝する場合、原因遺伝子を持っている個体とそうでない個体とを交配させると、2匹に1匹が発症する個体になってしまうため、事態は厄介。スコティッシュフォールドでは、折れ耳の場合はすべてがこの病気を発症するとされている。発症すれば、前脚や後ろ脚の足首に骨瘤ができて脚を引きずって歩くような状態になるなどする、根治が困難な病気だ。

●ブームのツケを払わされる動物への想像力を持ってほしい

 テレビが流行らすのは犬猫に限らない。例えば日本テレビ系の「天才!志村どうぶつ園」では、タレントがコツメカワウソを飼育してみせた。犬や猫は長い時間をかけて人間が家畜化してきたペットだが、コツメカワウソは本来、野生動物。寿命は10~15年ほどといわれており、犬猫と同じくらい長寿だ。一方で、その飼育は容易ではない。にもかかわらず、テレビでその姿を放送し続けたことで、コツメカワウソをペットとして飼おうという人が出てきた。

 余波はすでに、動物園動物にも及んでいる。16年4月に鹿児島市平川動物公園が動物商に渡したコツメカワウソ2頭が転売され、静岡市内のペットショップで販売されているのが発見された。動物愛護団体が問題視し、抗議を行うなどした。自分たちが繁殖させた動物たちの行方を管理できていない動物園も問題だが、そもそもペットとしてのニーズが高まらなければ、こうした「流出」も起きなかったはずだ。コツメカワウソがこれから日本でどんな運命をたどってしまうのか、注視していく必要がある。


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