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●振り回される米国と世界 先行きへの不安が関心度の高さに

 トランプ米大統領の「America First (米国第一)」主義が早くも米国の内外で波瀾を巻き起こしている。その独善的ともいえる発言や政治手法もそうだが、矢継ぎ早の大統領令は同盟国や経済連携国を困惑させ、かつてないほどの軋轢を生み出した。「米国第一」主義に振り回され、世界はどうなってしまうのか、と行く末を危惧する声は地球規模で広がっているようだ。

 それだけに、トランプ政治の動向に対する関心度は高い。各局の報道・情報系番組は連日、かなりの時間と分量をトランプ報道に割き、その一挙一動を仔細に報じている。就任式の前後を挟み、その露出度は小池百合子都知事や芸能人を凌駕した感さえある。

 各局の報道にとって、「国民の知る権利」に応える絶好機が到来したと思う。だが、一部の番組を視聴していると、トランプ氏の破天荒な言動ばかりを取り上げ、ことさら、その異端者ぶりを強調し過ぎる内容に閉口することがある。本欄では、5つの要望を記しておきたい。

 1点目は、トランプ流「米国第一」主義を体現する政策とは何か。伝える側がその一つひとつをきちんと見極めて視聴者に提示することである。就任早々、いくつかの輪郭が浮上してきたように見える。私の見立てでは、▽産業・通商政策(保護主義傾向)▽金融政策(ウォール街寄り、規制の緩和)▽エネルギー政策(化石燃料に軸足を移す)▽環境保護行政(規制の廃止・大幅緩和)などである。それぞれの分野の政策について、各局が独自の視点で、より踏み込んだ取材を進めていけば、輪郭の内側に肉薄できるはずである。

●国益最優先に舵を切り始めた米英 大局観のある報道を

2点目。大局観のある報道を心がけてもらいたい。今や国際政治の潮目は明らかに変わった。新しい潮流とは何か。そして、その潮流はどちらの方向に進もうとしているのか?――それらを見据えた国際報道が今ほど求められている時代はないと思う。

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