まっすぐな眼差しで知的に語りかける 国谷裕子が残したもの (1/5) 〈GALAC〉|AERA dot. (アエラドット)

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まっすぐな眼差しで知的に語りかける 国谷裕子が残したもの

特集 さらば平成のキャスターたち

水島宏明GALAC
くにや・ひろこ 1957年生まれ。米国ブラウン大学卒業後、外資系会社勤務を経て、報道の世界に。87年NHK「ワールドニュース」のニューヨーク駐在キャスター、「NHKニュースTODAY」などに出演。93年4月より2016年3月まで「クローズアップ現代」キャスター。 (c)朝日新聞社

くにや・ひろこ 1957年生まれ。米国ブラウン大学卒業後、外資系会社勤務を経て、報道の世界に。87年NHK「ワールドニュース」のニューヨーク駐在キャスター、「NHKニュースTODAY」などに出演。93年4月より2016年3月まで「クローズアップ現代」キャスター。 (c)朝日新聞社

●まっすぐな眼差しで知的に語りかける国谷裕子が残したもの

カメラ目線で語りかけ、いつも相手の目を見つめて言葉を引き出す。どんなテーマも事前勉強を怠らず、自分の感情を抑えて練られたコメントで視聴者を問題の在処へ誘う。そんな国谷裕子が23年間で残したものとは?

* * *

●見えにくい問題を可視化した番組

 「こんばんは。クローズアップ現代です」。この挨拶で始まる国谷の言葉。まっすぐな眼差しで視聴者に「信頼感」を与えてきた。

 「クローズアップ現代」は、見えにくい現代という時代の〝かたち〟を視聴者に示そうとした番組だった。視聴者の代わりに問題のありかを探る切り込み隊長役を担ったのが国谷裕子だ。

 23年間の最終日、国谷の頭上には番組が挑んできたさまざまなテーマの言葉が映し出された。

 ヘイトスピーチ、集団的自衛権、労働の崩壊、ブラック企業、ひきこもり、いじめ、過労死、格差社会、原発避難、少子高齢化、テロの脅威、集団的自衛権、介護離職。自殺……。

 おびただしい言葉の数々は、オウム真理教事件、同時多発テロ、イラク戦争などのニュースになった出来事や、非正規労働、子どもの貧困、女性の貧困などの社会問題、困窮者を食い物にする貧困ビジネス、「居酒屋甲子園」で店員たちが訴える「ぽえむ」と呼ばれる自己陶酔型メッセージの蔓延など、そのつど、最先端のテーマといえた。わが子を産んだ後に母親が事情があって役所に届け出しなかった「戸籍のない子どもたち」の存在を世に知らせたのも「クロ現」だった。

 そうしたテーマについて国谷は、ゲスト出演する当事者や専門家らと向き合ってインタビューした。その手法は英国のBBCや米国の三大ネットワークがかつて行ったオーソドックスな報道スタイル。お手本は米ABCのキャスターで75歳まで現役だったテッド・コペルだというが、自分の主張や信条は極力抑えて伝える姿勢を貫いた。

 国谷の勉強熱心なことには定評がある。さまざまな問題を事前勉強し、問題の「本質」を自分なりに咀嚼するための努力を惜しまない。


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