「倍返し」という流行語を生み出し、快進撃が止まらないTBSドラマ「半沢直樹」。このドラマの監督であり福澤諭吉の玄孫、福澤克雄氏(49)に今後の「倍返し」のシナリオを聞いた。

――福澤さんは、慶大の創始者・福澤諭吉の玄孫でもあります。

 子孫といっても、毎年2月3日の福澤先生の命日に、菩提寺である善福寺で一族が集まって、豪華な弁当を食べる、ということくらいでしょうか。多いときには100人くらい来ます。1、2月はドラマを作っている時期だから、僕はあまり行きませんけど。家訓は特にないですが、慶応幼稚舎(小学校)では、それこそ1、2年生のときから、「一生この仕事をやりたい、というものを早くみつけろ」ということを徹底的に言われました。そのおかげか、僕は中学2年のときに「スター・ウォーズ」を見て、これだと思い、映画監督になる、と決めたわけです。

――物語も終盤にかかり全体像が見えてきました。今後はどうなるのでしょうか。

 大和田常務が半沢を潰しにきて、それをはねのけていく半沢、という展開です。最終回の取締役会で、半沢が大和田常務を追及していく場面は台本30ページ分くらいありますけど、すごい迫力ですよ。

――これだけヒットすると、続編の話も出ていると思うのですが。

 原作の続編『ロスジェネの逆襲』は、シリーズの中で一番面白い。最高傑作だと思います。これはね、連ドラで、つまり10話かけてやったら上手くいかないと思うんです。それよりも2時間半くらいで短くバチーンと見せたほうが面白いとは思うんですが…。そもそも僕は、映画監督になりたくてTBSに入ったわけですよ。だから、お願いですから映画にしてください、と言われるようなテレビドラマを絶対に作ってやろうと思っていた。『ロスジェネの逆襲』がそうなればいいなあとは思っているんですけどね(笑)。まあ、テレビと映画のいずれにしても、続編を皆様のもとにお届けできたらいいなとは思っています。今回の10話分は、半沢直樹シリーズ全体の、まだ10分の1くらいにしかならないと思っています。今後の展開もぜひ、期待していてください。

週刊朝日 9月13日号