新聞のコラムニストで川柳の選者もしている毎日新聞客員編集委員が、文章や会話の中でいい言葉が思いつかない人のために、語彙力を鍛える方法を伝授する。55の質問に答える形式で、語彙や表現を増やすヒントを説く。

 第1章の「類は言葉を呼ぶ」では、似た言葉の微妙な違いを感じとる。例えば、アイドルグループ「嵐」の大野智さんが活動休止を発表したときの言葉を引き、「見たことのない○○を見てみたい」の○○に入る言葉を問う。風景、光景、景色……どの言葉か。違いは説明できるか。ほかに「感動と感激」「思うと考える」の違いなども問い、誤用しやすい語句について考える。

 第2章の「読み書き歌う」では、読むことと文章力の関係を説明。昭和歌謡やJポップの歌詞を比べ、谷川俊太郎の詩から比喩表現を考えるなど、「心に届く言葉」の大切さを訴えている。(森田信子)

週刊朝日  2021年3月5日号