書評『鉄路の果てに』清水潔著 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

鉄路の果てに 清水潔著

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朝山実書評#話題の新刊

「樋川ストーカー殺人事件」の追跡取材で知られる著者が、亡き父の足跡をたどった旅行記だ。陸軍の鉄道聯隊に配属されて中国に送り込まれた父は、敗戦後、なぜ貨車でシベリアに運ばれたのか? 旅は日清・日露の戦争勝利に酔い、大陸侵攻に突き進んだ日本軍の歩みとも重なる。

 人体実験を行った関東軍731部隊の跡地を訪れるなど硬派のリポートに加え、食べ物の話も。特に黒パンにこだわり、抑留者が口にしたまずい糧食は今も存在するのかと、父の面影を追うかのように探し回る。

 著者は鉄道オタクでもあり、国によって異なる軌道幅についての薀蓄が読ませる。厳寒の中ロ国境の駅で、「侵略戦争の生き証人」でもある鉄路の幅を測ろうとする場面では、スパイの嫌疑を受けかねない行動にドキドキさせられる。(朝山実)

週刊朝日  2020年8月7日号


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