モリカケから桜を見る会まで、とにかく安倍政権の腐敗ぶりはひどい。外交もトランプに追従するだけで、何ひとつ成果を上げていない。それでも支持率が高いのは、経済だけはうまくいっているように見えるからだ。

 だが、本当にそうか?

 田中信一郎『政権交代が必要なのは、総理が嫌いだからじゃない』は、安倍政権の経済政策を徹底的に批判する。著者は千葉商科大学准教授。

 日本がいま直面する問題は主に三つある。人口減少、経済成熟(低成長)、そして気候変動。安倍政権はそのいずれにも無為無策だ。

 典型的なのは少子化対策。少子化の背景には非正規雇用の増加がある。経済的に不安定で将来に希望を持てないから、結婚しない、子供もつくれない。

 ところがこの20年、政府は構造改革の名のもとに、非正規雇用を増やす政策ばかり行ってきた。たとえば派遣労働の原則自由化のように。それによって大企業は利益を増やし、株価は上がり、投資家は大儲けした。少子化は進んだ。国の将来を犠牲にして、大企業や金持ちに大盤振る舞いしたようなものだ。

 あちこちの自治体がやっている婚活パーティーなんてまったく無意味。足りないのは男女の出会いではなく、安定した雇用と賃金なのだから。

 人口はこれからも減り続ける。ところが各省庁は、経済成長と人口増加を前提とした計画策定をやめられない。役人に「来年度予算は、今年度の3割減で」などという思考はできないのである。

 人口減少だけでなく、低成長や気候変動についても同様だ。1日も早い政権交代を。

週刊朝日  2020年2月28日号