全米トップの交通専門家である著者は、自動運転車が普及した社会では、交通インフラは様変わりするという。

 運転ミスがない自動運転車が走行する道路は道幅を狭くでき、駐車スペースも大幅に縮小できる。これにより生まれるスペースは有効活用できる。だが、そんな道路を人が運転する車が走行するのは難しい。では、自動運転車以外の走行を禁止するのか?

 交通問題は一例にすぎない。たとえば、移動しながら睡眠も仕事もできるので、自動運転車に“住む”人が現れる。住宅産業は激変するかもしれない。ほかにも保険制度、エネルギー政策、プライバシー問題など、あらゆる産業に変革を迫るのだ。

 高齢運転者による事故対策や買い物難民問題など、自動運転車への期待は大きいが、課題も山積みであることが実感できる一冊だ。(鈴木裕也)

週刊朝日  2020年2月7日号