小さな男の子チャーリー・ブラウンとその仲間、そして飼い犬スヌーピーとの日常を描いたコミック「ピーナッツ」。1950年に米国の新聞7紙で連載が開始されて以来、多くのファンを魅了し続けているシリーズが、生誕70周年を記念し、全集となって帰ってきた。

 登場するキャラクターの愛くるしさは年月を経ても変わらず、彼らが交わす機知に富んだ会話は大人のハートにも響く。それは作者が描き続けたテーマである、自身の心の内に生じた弱さや葛藤が、多くの人にも共通する感情だからだろう。

 翻訳は詩人の谷川俊太郎。刊行にあたり、未訳だった約2千作を新たに訳し下ろした。シュルツの手書きの台詞に対応するように、訳文を添えたバイリンガル仕様なので、読み比べても楽しい。月2冊ずつ刊行。現在は11、15~19巻が発売。(山内リカ)

週刊朝日  2020年1月17日号