「納税」というけれども、税金は「納める」より「取られる」感のほうが強い。税金の使い方に納得できない(軍事なんかより防災に使えよ)だけでなく、集め方に不公平感があるからだ。大企業のなかには、ほとんど法人税を払っていない会社もあるというじゃないか。節税と脱税の違いはどこにあるんだろう。

 三木義一の『税のタブー』を読むと、モヤモヤ解消どころか腹が立って眠れなくなる。税制はおかしなところだらけなのだ。著者は税法の第一人者で青山学院大学学長。東京新聞連載のコラムはオチが秀逸で、本書でもダジャレやギャグが頻発する。

 とくに腹が立ったのは、宗教法人についての章と、政治団体についての章だ。

 宗教法人が非課税なのは当たり前だと思っていたが、よく考えるとおかしな話なのだ。たとえ課税対象にしても、儲かっていない小さなお寺や神社が税金を取られることはなさそう。

 現状では、がっぽり儲けた宗教法人が自民党をはじめ政党に寄付をしている。安倍内閣は宗教団体の支援を受けた閣僚が多い。つまり、宗教法人が課税対象であれば税金としてみんなのものになっていたおカネが、政治家に流れている。

 しかも寄付を受ける政治家のほうは、政治団体をつくって税逃れをする。その驚くべきカラクリについては本書を読んでいただきたいが、政治団体というのはタックスヘイブンみたいなものなのだ。ぼくはいままで、なんで世襲政治家が多いのかわからなかったが、親のあとを継ぐのは儲かるからなんですね。

 著者もいうように、税法は政治家にまかせちゃだめ。

週刊朝日  2019年11月8日号