著者は国際機関で28年間働き、最後は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の駐日代表を務めた。都内の大学で開講中の講座「国際機関で働いてグローバル人材になる」をもとに、働き方や生き方のヒントを提供する。

 本書前半では、「契約制度」「実力主義」「専門職制度」が基本の国連で、多国籍の人とわたりあう方法を示す。紛争地や難民キャンプでの体験も紹介し、現場では「人の役に立つために、まずは自分を知る」ことが重要だと説く。本書後半の「生き残りと貢献のための9か条」では、「最初の100日で成果を出す」「上司を管理する」「政治的な行動は望ましい」など、日本人的発想に逆行するような項目が目を引く。

 文体は軽妙で、国際公務員を目指す人だけでなく、企業での働き方に悩む人にも参考になる一冊だ。(森田信子)

週刊朝日  2019年11月1日号