人間とゾウとの関わりの歴史は長い。東南アジアなどでは古くから馬のように使役され、日本でも室町時代には最初の一頭が献上されている。動物園での展示も明治時代に始まり、陸上最大の哺乳類として昔も今も人気者だ。そのわりに、適切な飼育法が比較的最近まで確立されていなかったという事実に驚かされる。

 本書は、上野動物園で長くゾウの飼育に携わった川口氏と、ゾウ飼育のコンサルタントとして活躍するルークロフト氏による共著。絶滅の危機に瀕するゾウを50年後にも動物園で見られるようにするためにどうすればいいかを問うている。

 事故による殉職が相次ぐ危険な職業だったというゾウの飼育員。その安全を最大限確保し、同時にゾウの福祉も向上させて繁殖に結びつける「準間接飼育」に、動物園の未来が見える。(平山瑞穂)

週刊朝日  2019年9月20日号