SF映画の概念を変えた「ブレードランナー」(1982年)とその続編「ブレードランナー2049」(2017年)に貢献した4人のキーパーソンへのインタビュー集。
 二つの映画に関わった脚本家2人とアニメーション監督、批評家が、それぞれ発想の秘密や制作現場の様子を語り、原作小説と映画とのつながりや、主人公は人間なのかレプリカント(人造人間)なのかなどについて答えていく。両作を比べて忌憚のない評価も下す。

 本書は二つの映画の込み入ったプロットを知る絶好の書でもある。映画とは、多くのスタッフとの共作による「集団創造芸術」だということがわかる。ハリウッドのような巨大娯楽産業の中で採算を度外視し、芸術世界でのみ許されるような表現の質への飽くなき追求が行われていたことにも驚く。(山口啓介)

週刊朝日  2019年9月20日号