書評『映画極道 五社英雄』五社 巴著 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

《話題の新刊 (週刊朝日)》

映画極道 五社英雄 五社 巴著

このエントリーをはてなブックマークに追加
栗下直也書評#話題の新刊#読書

 異色の映画監督の後半生を長女が綴った。五社英雄の私生活は作品さながらに、修羅そのものであったことがわかる。

 妻が数億円の借金を残して失踪。在職していたフジテレビでは敏腕ディレクターとして名が売れていたが、出世コースからはずれ、生活は荒れに荒れる。短銃不法所持での逮捕、背中に彫り物。凄惨な環境下で「なめたらいかんぜよ」が流行語になった「鬼龍院花子の生涯」を世に送り出し、復活する。その後も「極道の妻たち」など女の情念を描いた作品を多く手がけた。

 死後30年近く経つ今、はみ出し者は生きにくい社会になり、五社のようなあくの強い男にはめったにお目にかかれなくなった。五社の存在感の強烈さを再認識すると同時に、読後に寂しさを抱いてしまう一冊でもある。(栗下直也)

週刊朝日  2019年6月7日号


トップにもどる 書評記事一覧

続きを読む


関連記事関連記事
このエントリーをはてなブックマークに追加
あわせて読みたい あわせて読みたい