平凡な主婦が一念発起。観測隊員の試験を受け、3度目の挑戦で掴んだ夢は、「昭和基地」での南極地域観測隊の調理隊員。現地での日々を、美味しいご飯と共に綴った。

 隊員30人が1年間生きていくために、2千品目30トンを超える食材を用意。それを2人の調理隊員でやりくりする。過酷な環境にもかかわらず、途中の食料補給は一切なし。水の使用量には制限があり節水はもちろん、環境への配慮から生ゴミも最小限にする必要がある。極限の環境がエコで美味しい料理の数々を生み出した。毎週金曜日は残った食材を鍋に入れてカレーにリメイク、最後はカレースープに。家庭でも真似できるリメイク料理術が多数紹介されている。

 憧れの地での任務の記録が、普段はうかがい知ることのできない南極観測の日常を伝える。(二宮 郁)

週刊朝日  2019年4月12日号