生活全般に浸透しつつあるAIの、利便性の陰に埋もれたネガティブな側面に光を当てる指南書。

 街角に遍在する監視カメラと連動した顔認識システムが、人ごみに紛れた容疑者を瞬時に炙り出す。そんなSF的な世界が、すでに現実と化している。

 ソーシャルメディアへの投稿内容をAIが自動判定して採用が決まる。特定個人の顔や表情の動きを学習したAIによって、フェイクポルノやフェイクニュース向けの動画が自動生成される。そんな空恐ろしくなるような事例の数々を、朝日新聞IT専門記者としての豊富な知見に基づいて紹介している。

 そんな世の中で、いかに騙されず、危険な目に遭わずに済ませるか。ユーザー側にAIリテラシーを高める必要があることも痛感させられる一冊。(平山瑞穂)

週刊朝日  2019年3月29日号