自宅で就寝中、夫が急死した。心筋梗塞による急性心不全だった。妻である著者が、その後の日常を綴った実用漫画エッセイだ。

 著者が暮らす東北地方では火葬後に告別式を行う。会場の手配や合間に流すビデオ映像を夫の友人に作ってもらう様子が素朴なタッチの絵で描かれる。二人の幼子を抱え、やらねばならないことがいっぱいある。中でも、夫がネットで注文していたグッズが死後に次々届くうえ、大量にコレクションしていた遺品の整理が大変だった。

 夫の実家は遠方で、両親も他界。お墓については迷った末、子供が大きくなるまで遺骨を自宅にとどめると決める。子供たちが遺影の前にお菓子を置く場面がいい。葬儀から各種届け出や保険、お墓、相続まで、煩雑な手続きを整理した文章パートもコンパクトでわかりよい。(朝山 実)

週刊朝日  2019年3月8日号