現代日本のエアポケットに落ち込んだ「貧困女子」を描く物語。テレビドラマにもなった人気作『感情8号線』の著者が21冊目の小説に挑んだ。

 主人公は文房具メーカーで派遣社員として働いていた26歳の女性。正社員になる契約をしていたはずなのに、結局その契約は履行されず失業してしまう。求職活動もうまくいかず、ホームレスになって漫画喫茶に入り浸っていた彼女に手を差し伸べたのは、同じような境遇ながら「出会い喫茶」で働く女の子だった。他人に甘えられない、自分のことは自分でやるしかない、と教えられてきたゆとり世代が、突然の「貧困」という現実に直面する。

 彼女の貧困の原因は自己責任なのか。作者の綴る切実な現実は、神さまを待っている場合ではなく、私たちで変えていかなくてはと考えさせられる。(三宅香帆)

週刊朝日  2019年3月1日号