かの大滝詠一氏が「日本語ロックの始祖」と呼び、熱烈なファンたちに偲ばれつつ、昨年70歳で逝去した「純音楽家」エンケン初の著書。その強烈な個性から、フォーク、パンクといった安易なジャンル分けや、音楽的な成熟すらも拒絶し、流行とは無縁に自前の音と言葉を模索し続けた。

 ラジオから流れたボブ・ディランに触発され、二十歳の時に衝動的に歌い始めて半世紀。本書には「言音一致の純音楽家」を標榜した「不滅の男」が、その道なき道を歩み続けた軌跡、辿り着いたまっすぐな境地が自らの言葉で刻まれている。

「誰もが偉大な純音楽家なんだ」。現在目の前の人生から、自分であることから逃げるな、あくまで自分のリズムで生きろ──優しく厳しく語り掛けてくる切実な言葉たちが、読む者に勇気を与えてくれる。

週刊朝日  2018年12月14日号