一見、非現実的なタイトルだが、海上自衛隊で28年間勤務する間に2億円を貯め46歳で「アーリーリタイア」を実現したという著者の方法論は堅実そのもの。徹底した節約術の数々が披露される。

 たとえば、電車では回数券を使う、公共料金はクレジットカードも使ってポイントを稼ぐ、等々。そこまでするかと思いかけた読者を、著者は「一人が月1000円節約できたら、家族3人なら月3000円、10年続けたら36万円」と説得する。そもそも自衛官になった理由の一つが「衣食住がついているから」というのだから、その合理主義は徹底している。

 後半で語られる投資術の成否は個人の才覚次第という印象だが、少なくとも節約術は万人が実践可能。先行き不安なこの時代、足元の生活から見直すきっかけになりそうな一冊だ。

週刊朝日  2018年7月6日号