「強いつながり」の世界を経験してきた元新聞記者が、広く弱くつながって生きるための「多拠点生活」を提案する。家だけでなく、人間関係においても、1カ所にとどまらずに、複数の拠点を持つようにしようというのだ。

 今の時代は様々な価値観がシフトしていく過渡期である。そのため、何をどうすれば楽しく生きられるかというロールモデルが明確に見えない。就職結婚、金銭的な成就などは、一瞬の喜びしか得られない偽のゴールである。

 大切なのは、偽のゴールに縛られることなく、人生の「プロセス」を「自分でコントロールできるものにする」ことだ。そのためには身を軽くし、臨機応変になる必要がある。柔軟で、何でも吸収して、壊れない人生を築き上げること、それが著者の言う「広く弱くつながって生きる」意味なのだ。

週刊朝日  2018年6月15日号