テレビやラジオなどの放送業界にはなくてはならない存在である放送作家という職業。本書で、放送作家生活30年超の著者が、その実態を綴った。

 番組の企画の出し方やテロップの作成、アイデアの絞り出し方、一日の生活の流れ、収入など、仕事の内容を具体的に説明。求人募集もなく、放送局や制作会社に所属していないフリーの立場の不安、睡眠不足が続く過酷なスケジュール、不規則な生活時間の中での恋愛・結婚事情など、裏方としての苦労を語る。

 放送作家にどんな人が向いているのかを考え、放送作家であり続けるために大切なことは常に好奇心を持つことだと説く。長く続けてこられた原動力は、番組を完成させた達成感と、様々な分野の人たちが関わる共同作業の魅力だとも。放送業界に興味がある人に、手に取ってもらいたい一冊だ。

週刊朝日  2018年3月23日号