高齢犯罪者はここ20年で4倍に膨らみ5万人に迫っている。犯罪全体が減少する中、高齢者人口の増加もあり、高止まりしている。

 高齢者はなぜ暴走するのか。裁判傍聴マニアの著者によれば、カネの問題や不寛容さがひきがねになっているという。

 事件の背景は他の年齢層と大きく変わらないが、厄介なのは老化により、粘着質になり、怒りに自制が利かなくなっていることだ。

 本書ではいくつもの事例を取り上げているが、誰もが慎重なようで大胆、緻密なようでずさんだ。長靴を底上げして背丈を高く装う半面、血まみれで犯行現場に戻るなどはその最たる例だろう。

「まさかこんな高齢者が凶悪犯罪を」というニュースを時々耳にするが、「また老人か」となる日は、すぐそこまで来ているのかもしれない。

週刊朝日  2018年1月19日号