学校だけでなく、企業やママ友グループ、スポーツチーム、地域コミュニティーといった集団の中で必ず起こりうる現象が“いじめ”だ。なぜなら、いじめという行為は、種を保存するための本能に組み込まれているから……。

 脳科学者である著者は、いじめをなくすことより、この本能をどのようにコントロールするのかという方向に、いじめの回避策が見いだせる、と説いている。

 本書は刺激的なタイトルではあるが、自身を客観視する能力である「メタ認知」を高め、自分のとるべき言動を判断して適度な距離を保ち、互いに傷つけ合わない“60%の仲”を目指すことや、相手に腹を見せる「アンダードッグ効果」の有効性などを指南。脳の性質やいじめの行動について、科学的な理解を深めながら読み進められる。

週刊朝日  2017年12月22日号