書評『だから、居場所が欲しかった。』水谷竹秀著 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

だから、居場所が欲しかった。 水谷竹秀著

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朝山実書評#話題の新刊

 バンコクの高層ビルの一室で、日本からの電話を受け続ける邦人を取材したルポだ。多くは30~40代で経歴は様々。共通するのは日本を逃れてタイにたどり着いたという点だ。ノンフィクション作家の著者は取材を申し込んでは断られ続けたという。

 日本に見切りをつけた非正規労働の男性、ローンが払えず一家で夜逃げしてきた元郵便局員、現地のイケメン風俗男子に貢ぐ姉妹……。最長4年にわたってインタビューを重ね、それぞれの「近況」を更新してゆく根気強さに驚かされる。

 月給約9万円。在留邦人のヒエラルキーで「最底辺」と見なされ、離職率も高い。自堕落からその職すら喪失し、路上生活に陥りそうになるも「日本には帰りたくない」と語る中年男性。灯の見えない煩悶に耳をそばだててしまう。

週刊朝日  2017年12月1日号


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