レバノン出身でクウェート王室付きの教師という経歴をもつ著者が、日本人と結婚し、日本の大学で長年教鞭をとってきた中で感じた、日本で感動した88の「幸せ」。

 弁当箱の中の整然とした美、エレベーターガールの上品な接客、「ありがとう」「好き」という言葉の魅力、温かいおしぼりやお冷やが当たり前のように出てくるレストラン、自販機や無人販売所から見える道徳心。外国人の目から見れば驚きと感激、いっぽう日本人にとってはあまりにも当たり前すぎて気づけていなかった「幸せ」が、あたたかな文章で綴られる。項目が88あるのも、漢字の「米」の字の構成など<日本において非常に意味のある数字>だから。

「日本人はもっと自分たちの良いところを知るべきです!」。帯にも書かれた著者の言葉にも、ハッとする。

週刊朝日  2017年10月13日号