社員の7割が知的障がい者である川崎市内のチョーク製造会社「日本理化学工業」の、福祉への取り組みと経営姿勢に迫ったノンフィクション作品。3年半にわたる取材をもとに“日本でいちばん大切にしたい会社”と呼ばれる理由や、障がい者雇用の理想と現実、苦悩と葛藤を描く。

 業界シェアナンバー1の同社では、文字が読めない人には「色合わせ」という手法で、時計の文字盤が読めない人には大きな砂時計を置き、それぞれの理解力や能力に合わせて作業工程を工夫している。常時改善を繰り返すことで、職場の必要不可欠な戦力となってもらい、定年まで勤める人がほとんどだという。

 障がい者雇用と会社経営の両立を描いた本書は、「人は働き、役に立つことによって幸せになれる」ということを伝える一冊となっている。 

週刊朝日  2017年9月29日号