「カルテット」「Mother」「最高の離婚」など、人気ドラマの脚本家・坂元裕二が、過去に手がけた2作の朗読劇の書籍化。
収載の2編とも、2人の登場人物の会話(メールのやり取り)だけで進められる会話劇で、いわゆるト書きは一切なし。
シンプルでありながら臨場感のある言葉のやり取り、絶妙なテンポ、細かなディテール、やり取りの中での少しのズレ。2人の登場人物のやり取りを追ううちに、いつの間にか大きくふくらんでいたイメージの世界にどっぷり誘われていたことに気づく。
余計な具材なし、だからこそ、心のむき出しになった部分を触られるような、“坂元ワールド”を濃密に味わうことができる気がする。ドラマ後もなお続く「カルテットロス」の解消にも。
※週刊朝日 2017年9月29日号