夏から秋にかけて夜空を見あげる機会が増える気がする。夜風にあたりながら、あるいは旅の宿で窓辺にもたれて。ゆったりとした気持ちで星を眺めるのは格別だ。

 本書は、星を眺める時間を更に豊かにしてくれるかもしれない。プラネタリウムで働く著者による、星にまつわる教養本だ。四季の星座の探し方やそれにまつわる物語、日食や月食のしくみ、流れ星を見るコツなどが簡潔にまとめられている。「じつは大人でも、月の動きをしっかりと説明ができる方は案外少ないものです」。そうなのだ。むかし学校で習ったけれど、わかっているようでわかってない……。著者はそういう部分をわかりやすく説明してくれる。さすがプロの解説員! 最終章はプラネタリウムの裏話。機器トラブルを乗り越えた「はくちょう使いの永田」の話は笑えます。

週刊朝日  2017年9月22日号