北海道土産「白い恋人」の賞味期限改ざんが2007年に発覚してから10年。一時は倒産も危ぶまれた製造元の石屋製菓はその後、売り上げをV字回復させ、16年度には過去最高を更新した。当時、跡継ぎとして入社した直後だった現在の社長である著者が、復活劇を率直に振り返る。

 会社が拡大しても家族経営的な意識を消せず、大ヒットした「白い恋人」が聖域化してしまったと、著者は反省する。地銀や大手菓子メーカーの助けを得て業務改善に取り組み、社長就任以降は社員との意見交換や研修の充実を図り、社風の改善に努める。今春には初の道外直営店を銀座に出し、攻勢をかける。07年11月の販売再開の日、まず商品を買い求めたのは北海道の人たちだったという。地元の愛に応え、銘菓を成長させ続ける著者の決意が透ける一冊だ。

週刊朝日  2017年9月8日号